諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

瑞牆 富士見平 定着クライミング

2020年08月16日 | クライミング
瑞牆 富士見平 定着クライミング

ルート:13日 瑞牆山西面 秋桜ライン(2Pまで)
    14日 金峰山 千代の吹上 第2フェース 四苦八苦ルート
    15日 瑞牆山 トムソーヤの冒険(別記事)
日時:8月13~15日
メンバー:O石、U山 (15日は他メンバーと合流)
 
富士見平に定着して、周辺のマイナーマルチピッチルートで遊んできました。

 

<千代の吹上げ 四苦八苦ルート 4P目>

13日 瑞牆山西面 秋桜ライン(2Pまで)
 
富士見平にベースを設営後、大ヤスリ岩基部のパノラマルートへ。そこからまずは大ヤスリ岩の西方向に向かっている行先不明のピンクテープを辿り、最後は勘を頼りに藪を漕いだらそれっぽいワイドクラックが走る岩の基部に出た。
よくよく見ればワイドクラックの入り口をふさぐ松の木には半分脱色した赤いロープスリングが巻かれていてどうやら運良くルートに到着できたようだ。準備を整えて、クライミング開始。

<秋桜ライン 黄色矢印の裏手から取り付く 青線が1P後半~2P ピークから黄線に沿って下ったところで終了>

1P目 5.8 25mぐらい U山担当
入り口の松の木は邪魔だが、それをかわしてクラックに入り込めば ワイド→ハンド→フィンガーサイズのコーナー と登るにつれてサイズが細くなっていって、けっこう楽しい。途中の草付きセクションを掃除して廻り目平に持っていったらそこそこの人気ルートになりそう。
 
アプローチの藪が濃くて終了後に取付きまで戻るのが嫌だったので持ってきたものを全部荷揚げしたが、案の定、荷物が何度もスタックして随分時間を食ってしまった。
 
2P目 5.8 25mぐらい O石担当
1P目と打って変わって、濡れた陰湿な感じがするワイドクラック。中間部までの左の壁は濡れ濡れコケコケでそこの苔を踏むとなぜか乾いた右壁でもシューズが滑ってかなり恐ろしい。


<2P目 最後のスクイズチムニーを登る>

最後の5mはスクイズチムニー。壁の中の自然の造形を使えば5.8だが使わなければ10台はありそう。リードのO石さんは、向きが悪かったので自然の造形に気づかず、大奮闘クライミングとなりました。
このピッチの終了点が名も無い岩塔のピークで、ここの木にも脱色した緑のテープスリングが巻き付けられていた。


<登頂証明>

我々はこの木にロープスリングをかけて裏側に懸垂下降。降り立ったルンゼの(下を向いて)右側の岩が秋桜ラインの3・4Pとなる弘法岩2峰で、ルンゼを歩き下って末端を右に回り込むと、これまた濡れ濡れコケコケの3P目のワイドが目に飛び込んできた。
その姿を見てすっかり登攀意欲も減退し、ここまで時間が掛かりすぎていることもあってこれにて秋桜ラインは終了することに。
 
秋桜というぐらいだから、秋の乾燥した時期にくるべきだったかもしれないが、個人的には今回で満足かな。
 
使用ギア:キャメロット #0.5 ~#4 


14日 金峰山 千代の吹上げ 第2フェース 四苦八苦ルート

この日は遠いアプローチに備えて富士見平を5時に出発。金峰山への気持ちの良い尾根を歩くこと2時間半強で、第2フェースの展望台(千代の吹上P3)に到着。
壁全体を眺めて、四苦八苦ルートのラインに見当をつける。



<四苦八苦ルート 黄色矢印から先は裏側を登る>


その先のコルからガレ場を下り、途中から岩の基部に沿って下ると、明らかに人工的と思われれるな小さな切り開きに到着。四苦八苦ルートの1P目はコーナーということで(登山大系)、そこから少し戻った所にあった汚いけどプロテクションが取れそうなコーナーから取付く。

1P目 Ⅳ+~Ⅴ- 30m 担当 U山
出だしのもろいコーナーから右上のテラスに移るとサビサビのリングボルトが一本。
その上のスラブに気休めのピトンを打って上がり、左上のコーナに入ると残置ピトンが出現してホッとした。このコーナーももろく気を遣うが、ところどころにカムが効く。コーナーを抜けると、次は完全に草付き化した凹角でナチュプロは全く取れない。が、開拓時も同様の状態だったのだろう、凹角の入り口にはサビサビでリングが全く動かなくなったリングボルトが一本あって、それを最後のプロテクションに草付きを上がるとこれまたサビサビリングボルト2本のビレイ点に到着。左の広いクラックにトライカムを突っ込みビレイ点を補強してビレイオフをコール。


<1P目 草付き凹角入り口>

2P目 5.9? 20m 担当 O石
ビレイ点から続くフレークからバンドへ上がる。


<2P目 出だし>

そこから右にブッシュ目指してトラバースするが結構悪い。登山大系にも非常に難しいとの記述あり。安全のために一度バンドに戻ってピトンを打ち再トライ。両足を目いっぱい開いたダイナミックなムーブで無事クリア。
 

<2P目 トラバース>

フォローした印象は、5.9ぐらいかなという感じだが(自分は足はあまり広げず細かいスタンスを拾う作戦)、ここをリードするのは結構怖い。
ちなみに、バンドまで上がりきらずにもう少し下でトラバースすることも可能かもしれないかなと思った。
 
3P目 Ⅲ 20m 担当 U山
登山大系のTOPOではブッシュから上に伸びるコーナーを登るように書いてあるが、土が詰まっていて状態が悪く、右のブッシュ帯に逃げ込んでコーナーを迂回する。
 
4P目 5.10-~5.10 担当 O石
ビレイ点から本来のラインに戻るようにスラブを左上するとコーナーに残置ピトンが見つかって狙い通りラインに戻ることができた。そこから垂直のコーナーを上がり、最後はルーフを左にかわしてカンテを回り込んで安定したビレイ点に到着(ビレイ点はカムで構築)。


<4P目 カンテを回り込む>

このピッチ、核心部のプロテクションが残置ピトンだったのでリードは無理をせずA0を交えたが、フォローの自分はフリーで登り、体感 10-ぐらいという感じ。なのでリードなら5.10 としてもよいかなと思った。
ところどころフリー的なムーブも交じり、岩もきれいで、本ルートのハイライトといえるピッチである。

5P目 5.9~5.10- 担当 U山
ビレイ点から上に積みあがる大岩のコーナーを辿るピッチで、大まかにみると三段になっているが、それぞれの段の登り始めがいずれも薄被りで、少しダイナミックなムーブが混ざる。


<ビレイヤーの上に続くコーナーが5P目>

登り上がると目の前に縦走路が現れ、ハイカーの好奇の目にさらされる。
 
6P目 Ⅲ 担当 O石
担当のO石さんはピークまで登りたそうにしていたが、ピークから縦走路に降りられるかわからなかったので、大事を取ってピークを巻いてガレ場から縦走路に上がって終了。が、縦走路から見てみれば、ピークから容易に歩いて降りてこられそうだったのでちょっともったいないことをした。


<左のピークを右側から巻いて終了>

終了点では何人かのハイカーからいろいろ質問を受けたが、その中に一人、登山やクライミングに精通していそうな年配の男性がいて、所要時間は?と問われたので4時間ぐらいと答えると、”アプローチ3時間でクライミング4時間か。それなら小川山でボルダリングをやるってもんだね”と言われ、その通りですねと答えておいた。たしかにそれが効率的でマジョリティーの楽しみ方であることに異論はない。が、今回の我々のような非効率的なクライミングも、(マイナーな)楽しみ方の一つには違いないだろう。

終了後、余裕があったら金峰のピークをピストンすることも考えていたが、思った以上に五丈岩が遠くに見えたので割愛し、終了点からベースに向けて下山して、富士見平の地ビールで完登を祝った。

私が学生時代にその存在を知った千代の吹上の岩場であるが、いつも気になりながら、ウン十年目にしてようやくトレースすることができて感慨深いものがある。今回登った四苦八苦ルートは40年以上前に拓かれたルートであるが、ナチュプロ前提のライン取りと必要最低限の残置物といった現代でも十分楽しめる内容を持ち、もっと登られてもよいルートだと思った。こんな内容の濃い(楽しくかつ怖い)ルートを作ってくれた開拓者達に敬意を表します。
 
所要時間:縦走路~取付き 30分 ルート 約4時間 我々は荷揚げをしたので随分と時間がかかったがそれがなければ2時間台で済むだろう。
使用ギア:キャメロット #0.5 ~#4 2セット 1P目終了点の補強には #4以上が有効、ピトン2本(自分たちで打ったものは回収)
残置物:リングボルト 4本(うち2本はビレイステーション用)、残置ピトン 4本 リングボルトは老朽化が激しく、今後登る場合は打ち換えを考えてもよいかもしれない ただしビレイステーションの2本は大きめカムで代用可
その他:2P目のトラバース後ブッシュに上がるところにある大きな岩が浮いているので要注意。
 
以上


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