チンネ左稜線
ちょっと遅くなりましたが、9月三連休にチンネへ行ってきましたので、報告します。
左稜線は20何年間の課題(何度か計画して都度登れず)だったので、今回登る事ができて非常に感慨深いものがあります。
9月22日 天気晴れ時々ガス <S原・nami>
池の谷乗越しからグズグズのガリーを下り、三の窓に着くと大きなテントが張られている。チンネには左稜線に1P(3人)取り付いているのが見えるのみ。
<池ノ谷ガリーを下る> <三の窓から左稜線>
アイゼンを着けて消え残った雪渓を左稜線取り付きに向け下り気味にトラバース、途中からガレ場をアイゼンの歯を利かせて取り付きへ。
トポにある左稜線取付きは不明瞭で、容易な岩場を登り2P目のバンドに上がり、登攀開始(8時)。
最初の5ピッチは北向きの岩場のため、晴れてはいるが日陰で肌寒い。このピッチはちょっと暗いフェースを直上(nami)。しょっぱなから傾斜の強い岩場で苦労するが20mでバンドに達し、切る。
3P目、S原、トポでは直上すべきところをルートミス、残置ピンにだまされ右上。ピンは何本もあるがホールド・スタンスとも細かくなり奮闘を要す。最後に苔むした凹角の一手がどうしようもなくなってA0。20mでバンドに達し区切る。フォローのnami、途中で指を負傷、バンドで手当てをしているうちに次のガイドパーティに先に行ってもらう。
4P目nami、フェースを直上~右上、傾斜も落ちて登りやすくなる。テラスで切って後続の若者二人Pに先を譲る。
5P目S原、凹角を右上、尾根を回りんで次の傾斜のゆるい凹角を詰めピナクル下まで。三の窓に居る人の話し声が風に乗って良く聞こえる。
6P目nami、出だし傾斜の強いフェースを登り明るいリッジへ。
7P目S原、ハイマツ交じりのリッジをロープを引きずりフェース基部まで。高度間があり、周囲の眺めが楽しめるところ。
<7P目のハイマツのリッジ> <8P目のフェース>
8P目nami、ハイマツ交じりのフェースを快調に登る。平和なところ。
9P目S原、凹角を登り、核心部のハングの見えるテラスまで。先行Pがちょうど取り付いているのが見え、参考になった。
<9P目> <核心部を望む>
10P目nami、ピナクルをいくつか越えるのだが、ロープの流れが悪くなり途中で切る。11P目S原、T5まで。T5で核心部に入る前に周囲を眺めながら飲み食い。幸い後続Pは来ない。この辺り、並行する八つ峰が良く見え、登っている人の話声が良く聞こえた。
12P目核心部、引き続きS原。それまでの平和な楽しいリッジクライミングから一転、垂壁となる。
ほぼ垂直のフェースを3mほど登り、右のリッジに出るが、このピッチに限って残置ピンはたくさんあり、適当に間引きながらランニングを取る(このピッチは12,3箇所程ランニングを取った)。
<核心部>
ルートは直線的なので、ロープの流れは良い。一度フェースに戻り、ハングを乗越す。長い残置スリングがぶら下がっているが、ここはホールド・スタンスもあって登り易い。(逆に出だしの3mの方が怖かった)
再び右のリッジに戻り、大き目のスタンスに乗ってちょっと休む。
この先は少し傾斜が緩み、登り易くなるが、両側がすっぱり切れ落ちているので高度感あり。
核心のこのピッチも、探せばホールドも多くフリクションも良く効くので、あわてないこと、左稜線自体が長いルートなので疲れてしまわないことが肝心(S原は核心部までに疲れてしまってA0のお世話になった)。
約35mでクラック入り口のちょっとしたテラスと言えない様な場所にピンが固め打ちしてあり、ここで区切る。
この頃からガスが湧いてきて寒さを感じるようになる。更に、富山県のヘリが飛来してうるさく、周囲を飛び回った末、三の窓雪渓に人を二人下ろしていた。(下山後、遭難者があったと知る)
13P目nami、クラック沿いにロープを伸ばす。
<14P目>
あとの14P/15P目は高度感はあるが容易なピッチで、S原がロープを引っ張って終了点へ(15時)。
この頃にはすっかりガスに覆われ、時折向かいの三の窓の頭が見え隠れする中、小休止。
下山は三の窓の頭側のハイマツ帯の中の踏み後を下り、コルから右手へ下る。すぐに支点があり懸垂25m。左寄りに踏み跡を少し下ると更に支点があり、更に懸垂25m。あとはガレ場を下り池の谷ガリーへ。
そこから池ノ谷乗越まで少しの登り。静かな乗越で休憩後、泊まり場目指して長次郎谷を下った。
★装備
8mm×50mロープ2本、ランニング15箇所程度のカラビナ・スリング、カム5個など
★アプローチ
長次郎谷雪渓は八つ峰ⅠⅡ峰間ルンゼ出合い付近で切れており、登りは真っ直ぐ詰めたが最後の部分が不安定、かつスラブの岩場を登る羽目に。
下りは右岸側の踏み跡を下り、ちょうどルンゼ正面付近のペンキマークとケルンのある地点で雪渓に降り立った。ここも雪渓が薄くなりつつあり、要注意。
<剣沢雪渓にて> <雷鳥坂の紅葉>
それにしても熊の岩からメールが届いたのには驚いたなあ。便利さと引き換えに、山がどんどん下界化していくことが寂しいですね。