諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

戸隠 年末山行

2018年01月07日 | アルパインクライミング
コース:戸隠 P5尾根
日時:12月27日~30日
メンバー:O石、F見、U山

年末山行で戸隠のP5尾根に行きましたが、雪の多さに判断ミスが加わってルート半ばで中退。悔いが残る山行になってしまいました。


27日 雪
諏訪を5時に出発するが、麻績インター付近での事故渋滞や長野市街の通勤渋滞にはまり現地到着が10時を過ぎてしまった。

当初はP1尾根を計画していたのだが、直近の降雪状況や入山中の予報を考えると登頂の見込みが低いので、車中にて第二候補のP5尾根に転進することを決め会に連絡を入れる。
が、品沢高原に入るとほどなくして除雪区間が終わってしまいそこから先に進むことができない。おまけに適当な駐車スペースも見つからないので作戦を変更。P1尾根登山道を辿り、牧草地まで登って、そこからP5尾根まで続く林道をアプローチにとることにした。

P1尾根登山口まで戻って、雪降る中を出発したのが11時過ぎ。(ちなみに、この登山道は大雨による崩壊のため平成23年に廃道となっていたようです)



最初の2時間ほどは積雪量もひざ下程度でどうということはなかったのだが鏡池からの登山道との合流地点手前から急に積雪量が増え、スピードががくんと落ちる。



鏡池からの登山道との合流地点ですでに3時過ぎ。この時点で、牧草地からの林道トラバースは現実的でないことを悟り、来た道を引き返して、日がとっぷり暮れたところでテントを設営。予想以上の雪で思わぬ展開の一日となった。

入山口 11:00 ~ 鏡池からの登山道との合流点 15:00 ~ 幕営地 17:30


28日 雪のち高曇り
昨晩のテン場から、30分弱で駐車場に戻り再び品沢高原へ。
昨日走った道を戻ると、除雪区間がはるかに奥に延びていてラッキーと喜ぶ。除雪区間終点近くの道路わきの雪をかいて車を停め、ようやく入山できそうな気になってきた。

さて、以前P3尾根に行った時に車を止めた別荘地の最奥部までどのぐらいかかるかな?と地図を広げてみたら、今いる道だけでなく別ルートからも最奥部まで行けることに気が付いた。というか、別荘地の広がり方から見て、どうやらそちらがメイン通りのようだ・・・。
昨日、除雪区間終了点から引き返すときに、きちんと地図で確認していればその時点でこのことに気が付いたはずなのに、その手間を省き、地理に不案内なO石、F見ペアにナビを任せっきりにしていたのが間違いだった。
ともかくそちら(メイン通り)の様子を確認しようと再び車に乗り込み、昨日途中から分かれた道をどんどん上がっていったら、なんのことはない、完璧に除雪された道が別荘地最奥の駐車スペースまで続いていて、昨日の降雪の中の行動が全く無意味なものだったことを悟ることに・・・。
駐車スペースでは、業者さんが除雪作業の最中で、彼らに断って作業の邪魔にならないところに車を止めさせてもらう。

さて、こんどこそ本当に出発。林道までのショートカットを時折腰まで埋まりながらラッセルに励む。



尾根を越え向こう側の林道に合流してみたら、なんと先ほど言葉を交わした業者さんの除雪車が除雪作業中。わざわざラッセルしてショートカットする必要なかったじゃん!

そんなことなら、ここから先は除雪車の後をついていくかと思ったら、我々の魂胆を見透かすように除雪車は再び下っていってしまい、がっかり。
そこから先、ワカンをはいて、平均ひざ丈、深いところで腿ぐらいの平坦地ラッセルが続く。ときおり、後続する除雪車が結構近くまで来るのだが、一定の区間を除雪するとそこからバックして掻き残しを除雪をするというピストン作業を繰り返し、結局この日は除雪車に追い抜かれることなく、文明の利器の恩恵にあずかれなかった。

11時すぎに、大沢を渡ったところから林道を離れ1398ピークとのコルに向け深いラッセルを開始。


<ようやく山登り開始>

トップ空身だが海に近い低山故の湿った重い雪に苦闘する。トップを終えてザックを取りに下りすがらふと目を前にやると、すぐ下を除雪車が林道をきれいに掻いていく。



林道からコルまでのたかだか120mの標高差にたっぷり3時間をかけ、14時過ぎにようやくコルに到着。ここで、パーティーを分け、O石、F見はルートの偵察に、U山はテント設営を行うことになった。

自分は、コルから少し下ったところの大きなブナの傍にテントを設営。
雪が深いので全員のザックを移動して整地をするだけでも結構時間がかかってしまう。
ヘッデンが欲しくなる時間になってようやく設営を完了し、そのころになって偵察の二人も戻ってきた。

話を聞けばコルの先にピークがあってキノコ雪を切り崩して上がってみたらその先が切れ落ちていて通過不能。そこで基部をトラバースして尾根の向こう側をのぞいたりといろいろ試みた結果、ようやく行けそうなラインの目星がついたので帰ってきたそうな。

P5尾根の計画は下から数えて6番目のピークの上にある平坦地(プラトー)までテントを上げて、そこから頂上をピストンするというものだったが、残り二日でそれは成り立たないだろう。そこで、明日はビバーク前提でアタックに出てみようかと算段をしたが、天気予報で明日の好天は疑似好天と言っているので即却下。仕方ないので今いる場所をベースにして、天気が悪くならないうちに行けるところまで行って帰ってこようということになった。

駐車場 8:30 ~ 大沢 11:00 ~ コル 14:00 ~ 行動終了 16:30


29日 晴れ時々曇りのち雪
昨日までの濡れでワカンのバンドが凍り付き出発準備に手間取る。本日はアイゼン+ワカンの足回りで出発。入山して初めての青空を目にする。



昨日の偵察のトレースの終点から岩峰間に食い込むルンゼ状に取り付く。



傾斜が強くなるところからF見君がワカンを脱いで大量の雪を落としながらロープを伸ばし稜線に合流。



そこから先もヤブっぽい雪稜が続くがどうやらこのまま行けそうだ。傾斜の強いところではロープを出しながらラッセルに精を出すとそのうちひょっこりコルにでた。多分ここが下から3番目と4番目のピークの間のコルだと思われるが、1~3番目のピークはどれがどれだかわからなかった。その先、5番目のピークを途中まで上がったところでようやくP5尾根上部と主稜線が視界に入ってきた。


<P5尾根上部とP4>

この時点で、時間は12時半。今日はこれ以上行動しても、樹林帯のラッセルに終始するだけなのは目に見えているし、予報の通り雲も広がってきたのでここで行動終了とする。
下りは、懸垂と歩きを交えて下降。時折意外なところに古い残置スリングを発見し、自分たちがとったラインがあながち間違っていなかったことを確認できた。
テント帰着15時。アタック装備だけの軽装でこの時間のかかり方なので、プラトーまでテントを上げることなどこの雪では非現実的だったのだろう。

この日は、最終日ということで、登頂の喜びこそなかったものの、のんびりした気分で遅くまで飲み食いした。夜が更けるにつれ、テントを叩く湿雪の音が強まっていった。

テン場 7:00 ~ P5下 12:40 ~ テン場 15:00


30日 晴れときどき曇り
明るくなるまでゆっくり寝てのんびりと出発。昨晩の降雪量は20センチ程度と思ったほどのこともなかった。



コルから林道までわずか20分ほどで着いてしまう。おまけにラッセルに苦しんだ林道は完全に除雪されていて薄い雪の下に隠された氷のスリップを気を付けなければいけないほど。


<除雪済みの林道>

なんでこんな林道を除雪するのか不思議に思っていたが、昨日、一夜山方面に大きな施設が見えたので、そこの工事でもやっているのかもしれない。
林道を歩きながらP5尾根を見上げて登攀ラインを確認したり写真を撮ったりしたので多少時間はかかったが、それを差し引けば、コルから駐車場まで1時間ぐらいしかかからなかったのではないだろうか。


<P5尾根全景>

その後、温泉で汗を流し、昼ご飯には少し早い時間にそば定食にありついて早々に帰宅。あっという間の4日間でした。

テン場 9:00 ~ 駐車場 10:30

今回は初日のポカミスが大きく響いて登頂を逃したが、それが無かったとしても登頂できた可能性は高くないと思う。
ポカミスがなかったとして、初日はコルまでが精いっぱい。二日目はトップ空身が前提となるので、今回ロープを出したところは荷揚げを強いられたと思うが、その場合、ヤブに邪魔されてかなり手間取っただろう。なので、二日目はプラトーまで届かず、4番目と5番目のピークのコルがいいところだったのではないか。すると、三日目はそこから頂上ピストンになるが、今回の時間のかかり具合から見て登頂は微妙。うまくいったとしてもヘッデンを点けての下降になっただろう。しかし、たとえ登頂できなくて出し切った満足感は残ったかもしれない。

いずれにしても、悔いの残る山行となり残念であった。


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1 コメント

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Unknown (S原)
2018-01-11 01:22:51
お疲れ様でした,御無事で何よりです。戸隠特有の湿雪の厳しさが伝わってきます。雪との格闘、魅力を再認識しました。
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