諏訪山岳会公式ブログ

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甲斐駒 赤石沢奥壁中央稜 敗退行

2011年01月08日 | アルパインクライミング

甲斐駒 赤石沢奥壁中央稜 敗退行 
日時:2011年 1月3~5日
参加メンバー:まっきー、U山

年明けに、甲斐駒の赤石沢奥壁中央稜を目指しましたが、
好天にもかかわらず力不足であっさりと敗退しました。
いまいちぱっとしない山行でしたが、以下に快適だった七丈小屋泊の様子とあわせて報告します。

3日 晴れ
この日は竹宇駒ケ岳神社から七丈小屋まで。

今回は、アタック前日の晩はテント生活のわずらわしさから逃れたいと思い、初めて小屋泊まりを山行計画に組み込んでみた。

宿泊した七丈小屋は(ほぼ)年間を通じて管理人さんが常駐をしていて、
料金も素泊まり¥3,500- といまどきの相場から見るとかなり低料金。
黒戸尾根という立地条件もあわせ考えると、ほとんど慈善事業でやっているとしか思えない小屋である。

小屋内は室温が20℃もあって暑い位で、就寝時は寝袋のサイドファスナーを全開にして寝たが、それでも暑さで何度か目が覚める始末であった。

<七丈第一小屋>

この日の宿泊者数は我々含めて10名ほどで、まわりに気を使う必要なくごろごろできる。お湯も使い放題で、持参したガスコンロを使った時間はほんのわずか。これだけ快適でこの料金なら泊まらない手は無いよなというのが正直な感想。

夕食後、金沢の労山の二人連れから酒、和菓子をご馳走になったが、持参分も含めてアタック前日に少し飲みすぎたかな・・・。

今回は、念のためテント泊の準備もしてきたのだが、テント泊装備無し+寝具付宿泊を前提にしたらどんだけ軽い荷物で冬の甲斐駒に登れるんだろうか。一度試してみたいもんだ。

竹宇駒ヶ岳神社 8:00 ~ 七丈小屋 14:00

4日 晴れ
6時前に先陣を切って小屋を出発し、夜明けを八合目で迎える。

以前は鳥居があったはずだけど、なぜか柱しか残っていない。いつごろ壊れちゃったんだろう?

その先ちょっと行った所から奥壁方面に向けて半分ぐらい埋もれたトレースがついていて、それを辿れば岩小屋前を通過して中央稜取り付まで比較的楽に到達できたのだった。
下りの途中で中央稜の全貌が見渡せたが、時間がかかるとルート図に書いてあった上部雪稜が全体の半分近くを占めていて、ラッセルが大変そうなことだけは想像できるのであった。

<右上のピークから画像中央に落ちるリッジが中央稜 下のほうの赤バツ印が今回の到達点 終了点ははるかに遠い・・・>

8時15分?ぐらいに取り付き

1P目 U山担当。下部のチムニー状はザックを置いて登る。下で見るより立っていて着膨れした体にはしんどい。その先のフェースは適度に残置があらわれる。最後は草付きをダブルアックスもどきで登り岳樺でビレイ。 途中、下にセットしたカムを回収しに戻ったり、荷揚げの要領が悪かったりと時間ロス要因が積み重なってしまったのが痛かった。
<2P目のまっきー>

2P目 まっきー担当。このピッチ、冬のルート図ではピッチグレード無しで、フェースを右から回り込むように書いてあるのだが、いまいちラインが判然としない。
まっきーは目の前のスラブの出だしにハーケンを打ち足し、右のほうから何回も上り下りを繰り返して抜けていった。フォローをしてみればスラブのアイゼン登攀が極悪でピッチグレード無しとはとても思えない。もしかしたら、別のラインを考えたほうがよかったのかもしれないが、いずれにしても、まっきー、次回来るときもよろしくね。


第2バンド手前のビレイ点に着いて時計を確認すると予定をはるかにオーバーして11時を回っている。
過去の記録からみて、明るいうちに一般路に抜けるのはおぼつかない時間となり、かといってヘッデン付けての登攀やビバーク覚悟で登り続ける気力も沸いてこないので、今回はここから下降して一般路からのピークハントに切り替えることにする。

岩小屋にもどって昼食をとり、ロープ・登攀具をデポして頂上ピストンへ出発。高度を上げるにつれ風が強くなり目出帽とヤッケのフードで顔面をしっかり覆わないと顔が痛い。雪は適度にクラストし、アイゼンが小気味良くささる。
14:20に頂上着。タイミング悪く薄雲がかかって展望が利かなくなってしまい、おまけにかなり寒いので、記念撮影を済ませて早々に下山を開始する。
<頂上にて>

今日はテント泊という選択肢もあったのだが、テン場が寒々と見えたのと、昨晩の快適さが忘れられないのとで小屋に連泊することになったのでした。

年末年始休暇が終わったためか、本日の宿泊者は我々以外に1名のみ。
少人数なのでストーブ2台のうちの1台は火力を絞ってあって昨晩のように暑くはないが、それでも室温は16℃。お陰で、ゆったりと暖かく寝れました。

七丈小屋 5:40 ~ 八合目 6:35 ~ 取り付き 8:00 8:20 ~ 2P目終了点 11:15 下降開始 ~ 岩小屋 13:00 ~ 甲斐駒頂上 14:20 ~ 七丈小屋 15:45

5日 晴れ
ゆっくり起きて朝食をとり、明るくなってからのんびりとパッキングをする。
昨日からひざが痛いと言っていたまっきーがゆっくり行きますと言って先に下っていったが、五合目から先では一度も追いつけず、逆にこちらの腰が悲鳴を上げた。
後で聞いたら、ひざは全然問題なかったそうで、道理で追いつけなかったわけだ。
今日はとても良い天気で、いつもとは違うアングルから見る八ヶ岳が興味深い。

     <刃渡りから八ヶ岳を望む ピークの同定が意外と難しい>

今回はあっさりと敗退となってしまったが、ここしばらく、冬山らしい冬山に行っていなかったので
それもやむなしかなと思う。まあ、いろいろと修正すべきところが見えたし、冬の奥壁の様子もわかったしで、また行ってみたいと思います。もちろん、小屋泊りで。

七丈小屋 7:50 ~ 五合目 8:40 ~ 竹宇駒ヶ岳神社 12:20





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1 コメント

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Unknown (岩ひばり)
2011-01-12 21:06:02
お疲れさまでした。二人が甲斐駒に行っていた間、本当に、下界からは、山が綺麗に見えていました。でも、さすがに、標高3000mは、風が強いんですね。
登攀は、厳しそうですが、小屋泊まりができるなら、来年あたり?は、行ってみたいところです。
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