諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

細尾沢

2012年09月27日 | 沢登り
9月例会山行(通算第36回) 細尾沢

ルート:中ア 正沢川細尾沢~木曾駒ケ岳
日時:9月22・23日
メンバー:F倉、I原、U山

9月の例会山行で木曽駒ケ岳に突き上げる正沢川細尾沢に行って来ました。
ビバーク地がいまいちでよく寝られなかったり、雨の藪漕ぎで濡れ鼠になったりと、けして快適な沢登りではなかったけれど、そのスケールや静けさは、山に浸るにはとても良い沢で、沢登りデビューのI原くんにも登山道をはずれた山登りの楽しさや悦び感じてもらうことができたのではないでしょうか?

自分も久々の沢中泊で、心身共にリフレッシュし、こういった少しプリミティブな環境に身を置く山登りの魅力をあらためて感じた次第です。

というわけで、この夏山シーズンの最後を飾るに相応しい、いい山登りができました。
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22日(土) 晴れ

昨日まで、この週末はまずまずとの天気予報であったが、今朝になったらうってかわって日曜が雨の予報に変わっていた。

諏訪を7時に出発し、旧木曽駒高原スキー場に車を置く。
準備を終え立派な標識に導かれて茶臼山コースを辿ること30分で正沢川に入渓。

天気は上々で、暑くもなく寒くもない沢日和(?)に気分よく歩き始めるが、
ここから先、細尾沢の出合までの約4時間は下の写真のようなゴーロがひたすら続くばかりで
すっかり退屈してしまった。


途中、魚影を目にし、一度竿をだしてみたがさっぱりで、以後竿の出番は無し(F倉さんの竿はずっとザックの中だった)。
一時過ぎになってようやく細尾沢出合に到着。沢に入ると広いビバーク地がないとの情報だったのでここに泊ることも考えたが、明日は天気が悪そうなのでなるべく先に進むことにする。

細尾沢に入り、最初のナメ滝を越すと、ほどなくして右岸から水煙を上げて落下する大滝が見えてきた。




この滝、落差25mで、落ち口が樋状になっているため上部は流れが細く、それが途中から箒のように広がって、なかなか見栄えのするいい滝だった。 

ここは右のガレを落ち口と同じぐらいの高さまで上がり、そこから左にルンゼ状を渡って、さらに滝の側面の尾根を乗り越して高巻く。踏み跡は明瞭。




<大滝>

沢床に降りるとこれまでとは一変し、明るく開けた沢登りらしい雰囲気となって、あとは泊り場を探しながらのんびりと・・・と歩き始めたら100mも行かないうちに焚火跡が散在する狭い河原に行き合った。

「これだけ焚火跡があるんなら・・・」とF倉さんはすっかりここに泊まることを決め込んでいるが、両岸とも傾斜のある斜面に挟まれた狭い河原で、ここに当たり前のような顔をして寝泊まりするのは新人教育上よろしくない。ということで、ザックを下して少し上部の様子も見に行くことにした。

が、二つばかり滝を超えた範囲にもビバーク適地は見当たらず「今日は降っても大したことは無いはず」との前提(期待)のもと、先の河原に一夜を過ごすこととなった。
(翌日になってもう少し先まで行けば適地があったことが分かったが、そこにはすでに先客がいたので我々が割りこむ余地はなかったかもしれない。それ以外の場所としては、小滝の連続帯の先で沢が開けるあたりも可能かもしれないが、いずれも4~5人以上がまとまって泊まるのは難しいと思う)

さて、泊り場が決まったところで、さっそく火を起し、日がまだまだ高いうちから宴会を開始。


















飲みものは各人500ml缶ビール+ウィスキー or 焼酎 のセット持参でぬかりなし。
つまみは 乾きものメインで平凡だったが、締めはI原君によるミネストローネ~トマトリゾット。
わざわざ缶詰を二缶担ぎ上げて作ったイタリアンはインスタントではなかったことは強調しておかなければならないが、すっかり酔っぱらっていたので味はよく思い出せない。

就寝は、私とI原君がテントで、F倉さんは焚火近くのタープ下で寝ることになった。
テントは、平坦地が無いので、少し離れたところの上面がややかしいだテーブル状の岩の上に立てたが、一眠りして気が付くとテントごと岩の上をから滑り落ちる寸前で、ここでの就寝は断念。
<F倉さん特等席>
仕方がないので、私はタープ下の焚火そばの灼熱エリアにもぐりこみ、I原君は一人がかろうじて横になれそうなスペースにテントを無理やり立てて一人用空間を確保して横になった。


駐車場 9:00 ~ 入渓 9:30 ~ 玉ノ窪沢出合い 11:20 ~ 細尾沢出合い 13:10 ~ 大滝 13:40 ~ 高巻終了 14:10 ~ ビバーク地14:20


23日(日) 雨


夜中一時過ぎあたりからシトシト降り始めた雨が明るくなる頃にはパラパラ程度の降りとなってきた。
昨夜は、I原君は背中に石が当たってほとんど眠れず、自分も焚火に炎が上がっていた間は暑くてほとんど眠れずで、ある程度寝られたのは特等席のF倉さんだけだったようだ(後で聞いてみたらさほど眠れなかったと言ってたけど)。

朝食準備を始めるが、ガスコンロの火力が弱くてラーメン用の湯はとても沸かせない。カートリッジを変えても同じで、ヘッドが壊れたかと思ったが、気温が低かったのでカートリッジが原因の可能性も否定できない。仕方ないので、飲み物用の湯だけ沸かし、行動食を食べ、出発。

宿
泊地から先は短い区間に小さな滝が連続して楽しいところだ。その終わり近くの左岸にはビバーク適地があって、男女の2人パーティーが泊まっていた。

さらに先に進むと、両岸が大きく開けてスラブ状の長い滝がいくつか続く。晴れていればきっと爽快で気分が良いところだろう。 






























































詰めは右に行けば藪漕ぎが無いとの情報があり、二俣から先は右へ右へを意識して進む。
途中、小さな二俣で踏み跡が左に行くところがあって、その時はおや?と思ったが、そのまま登って行ったら案の定、木曽駒にダイレクトに詰め上がる沢筋に入ってしまい、当初予定のガレははるか彼方になってしまった。

仕方がないのでそのまま踏み跡を辿るが、それもいつのまにか消えて、あとは急斜面の木登りや這松漕ぎを交えながら力任せに直上する。
ときおり目の前に現れるウラシマツツジやミヤマダイコンソウの草紅葉に秋を感じながら、全身濡れ鼠になって奮闘すること約一時間、
最後は木曽駒からわずかに西駒寄りの縦走路に飛び出した。

木曽駒頂上はガスにまかれて展望が効かず、日曜というのに我々以外に1パーティーのみ。
記念撮影を済ませ、濡れた体を温めようと頂上木曾小屋に寄ってお茶休憩をとる。小屋のおじさんの話では昨晩、今朝と雨に少し白いものが混じっていたそうで、気温はそれなりに低かったようだ。

下山は、福島Bコースを下る。地元の中学校の集団登山に使われていただけあって、五合目までは歩きやすくいいコースだった。途中の七合目避難小屋は実に快適そうな小屋で、雪のある時期にこの小屋を使ってピークハントに出かけるのも楽しいだろう。

<避難小屋内部>

五合目から下ではこの雨でいろいろなキノコが顔を出していて、登山道脇にでていたジゴボウを数本収穫してウチへの土産とする。


最後は幸の川を渡って、林道をしばらく下り、駐車場上に移動して待っていてくれたI原車に14時20分着。2人は20分前には到着していたそうで、ずいぶんと待たせてしまったようだ。

細尾沢は快適・爽快な沢というわけではなかったけれど、そのスケールや静けさは、山に浸るにはとても良い沢で、振り返ってみるとなかなかいい山登りだった。

F倉さん、I原君、お疲れ様でした。

ビバーク地 6:00 ~ 二俣 6:45 ~ 水枯れ 7:30 ~ 木曽駒ケ岳頂上 9:30 ~ 木曽頂上小屋 10:26-11:10 ~駐車場 14:20







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2 コメント

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Unknown (古ぼけ老)
2018-05-11 11:15:41
 遠い昔の思い出のみに生きる哀れな老人です。
 ウン十年昔、細尾沢を降ったことがあります。
もっと明るい沢だったように思います。へっぴり腰で降っていたら、
大滝に到着、落ち口左手に踏み後を発見、
若干の緊張をもって、トラバースぎみに降り、石ころの詰まったガレから、
滝下に到着、端正な滝でした。今や驚きの大変貌、大荒れ状態です。
以下滝らしきものもなく、ゴーロをぶらぶら歩いていたら、
直径1m近くもあろうかという椹の大木の林に来ました。
今もこの大木林はあるのでしょうか。
この林を抜けたら、笹の大斜面がありました。
スキー場に最適と思っていたら、案の定、スキー場になったようです。
 以下、中央線の駅を目指して歩きに歩いていたら、膝のお皿が痛くなり、
びっこ引き引き状態になりました。遠い昔のことです。
 
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Unknown (U山)
2018-05-13 18:43:37
古ぼけ老さん、コメントありがとうございました。かなり古い記憶のように思われますが、沢の様子を正確に覚えていらっしゃるようで感心しました。椹の大木の林は当方の記憶にはありませんが、麓のスキー場はご指摘の通りです。ただし、この記事の時点ではすでに営業は中止となっていて、兵どもが夢の跡といった趣がありました。
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