逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

無制限の規制緩和、TPPで関税撤廃でも創意と工夫で日本農業が勝てる?

2011年10月19日 | 経済

『無敗神話の旧日本軍以上の精神論』

日米の農業は基礎に差がありすぎて、根性や敢闘精神程度の頑張りでは絶対に勝てないとの当然の話が忘れられている。
地方紙は別だが、朝日毎日読売産経など全国区の大手マスコミの論調がTPPでは完全に主張が一致して金太郎飴状態で異常の極み、到底報道といえる水準に無いプロパガンダである。
いわく、日本の農業(特に米)は今のような高い関税で守られているから、何時までも『ひ弱で自立出来ない』のだ。幾ら何倍も高くても美味しい日本の米や林檎は今でも中国などで富裕層に買われている。だから、TPPで原則的に関税撤廃(ハンデ無し)にしても日本の農業が壊滅することはなく創意と工夫で付加価値の高い良い農産物を作れば十分勝てるのだとの、昨今の新聞やテレビなど日本国の大手マスコミの論調を聞いていると、頭がくらくらする。
その類似の話は、日本中が焼け野原になった66年以上前にも同じ事を日本のマスコミ全員が声を揃えて主張していた。
そもそも、規模が100倍違うアメリカに日本農業が創意と工夫程度のことで勝てるのなら第二次世界大戦で日本軍は負けていない。
『やって見なけば判らない』ではなくて、『やって見るまでも無く』結果は判りきっているのです。
我々一般人が、羽生善治と平手で将棋を指すとか石川遼とハンデ無しゴルフを争って、創意や工夫で勝てる可能性があるとする論と五十歩百歩の妄想以前の馬鹿話である。
しかもTPPは農業分野だけではなくて医療や保険など全ての分野での障壁の撤廃を求められているのですから影響は計りしれない。
幾らでも計画的に大量生産が可能な工業製品と、それとは原理的に違う性質の農業製品を『同じ商品である』と混同しているのでしょか。

『無制限の規制緩和ミルトン・フリードマン』

新自由主義の権化フリードマンは、コマーシャル・ベースの工業製品とは全く別の人の命にかかわる医療の世界にまで、工業製品と同じ原理を適応して論を進めているのですから恐ろしい。
フリードマンは現状の医療制度を中世のギルド制度になぞらえて『医療の質は、実際に行われた医療の質を平均しただけでは得られない。』、もっと大事な『行われなかった医療』(現状に満足することなくもっと上位を目指せの意味か)にも目を向ける必要があるとの指摘は、新鮮で『目からウロコ』の斬新な発想である。
言われて見れば『その通り』なのです。
日本人が今まで誰も考えても見なかったフリードマンの指摘は、知性が高い真面目な人々も『なるほど』と思わせる程の説得力がある。
ただフリードマンの話には根本的な間違いがあり、そもそも医療の質とは、『実際に行われた医療の質』が我々今生きている普通の人間にとっては、緊急の課題であり一番大問題なのである。
『行われなかった医療』を論じることは大事だが、それは専門家が高度の知識で時間をかけて慎重に論じて欲しい。
目の前の病人の医療は緊急で時間をかけてはいけない。
その逆に『行われなかった医療』は結論を急いではいけない。
詐欺師まがいのフリードマンは異質な二つの比較出来ない(比較してはいけない)概念を『どちらが大事か』と人々に判断を強要して『間違い』誘導する。
『目の前の現実』と、それとは別種の『将来の理想とか優先課題』との本質の違いを利用して『価値観の混乱』を起こさせているのですね。
油断も隙も無い、薄汚い悪党である。
これをフリードマンが意識して行っていれば悪質なインチキ詐欺師師であり、自分の『論』の結末が分かっていないとすれば単なる馬鹿者で救いがたいが、この二つの何れかであろう。

『無制限の規制緩和の行き付く先』

我が日本国では基本的に警察に捕まった容疑者はロス疑惑の三浦和義や和歌山毒カレー事件の林真須美等の極少数の例外を除けば全員が自白するのですが、これはある意味当たり前である。
何故なら、例えば痴漢容疑で捕まって自白すれば逮捕拘留は無しで裁判は略式起訴程度で数万円の罰金程度の微罪で済むが、無実を主張すれば反対に即逮捕拘留されて最低でも半年近くは拘束されて裁判では99・9%は有罪になる。
しかも罰金程度では済まず1~2年の実刑になるのですから、逮捕容疑が真実であるか否かに関係なく少しでも自分の身が可愛ければ間違いなく全員が白状する。
我が日本国では、自分自身の体を『人質』にとられているので警察、検察の言い分を聞く以外には方法が無く、仕方がないのですね。
ミルトン・フリードマンの新自由主義に汚染されたアメリカの医療問題ですが、これと同じなのです。
自分自身や親や子供や伴侶が難病になって、保険が効かない数千万円の差額医療費を払えば助かるかもしれないと言われたら・・・
誰であれ『命』を人質にとられたら問答無用で議論の余地が無い。
相手の言う事を聞く以外に道は残されていないのですね。
これではアメリカでは超大金持ち以外、何時でも破産する危険がある。
だから一定水準以上の知性や常識があれば誰でも公的医療保険の大切さは知っているのですが、それでも反対する人が大勢いる。
この原因ですが、欧州で唯一全国一律の公的保険の無いスイス(欧州一の2割の外国人比率)の例が参考になるかも知れません。
スイスは欧州では例外的に数百年も戦争をしていないので自動的に戦争に負けた経験がない。
近年一度も国土が破壊されていないので、婦人参政権を最近まで認めなかったなど例外的な超保守的な伝統が残るし、自主防衛が身上で市民一人一人に銃器が配られている国民皆兵国家である。
数百年間も外国軍に国土を蹂躙された経験がないなど、安全保障関連では不思議な部分では同一で『自分の命は自分で守る』とのアメリカ人の精神風土と極めて近い。
国家の敗戦は悲惨で恐ろしいのだが、長い間『敗戦しないこと』も実は恐ろしいし悲惨な誤解も生むとの不思議な話である。
自分が働いた金が失業している怠け者(黒人)に使われるなど許せないとして『自己責任』『自助努力』を医療まで広げる発想の根本には、矢張り深刻な人種差別問題が隠されているのです。
ただ差別問題なので、みんなが知っているのだが声高に主張している者も含め誰も彼も関係者全員が決して真相を口にしない。
話したくても、公開の場では出来ないのです。
先進国に見えるアメリカは150年前には人間を家畜として市場で競りにかけていた国家であり120年前までネイティブアメリカンの民族絶滅を国策として進めていた国家でもあるのです。
確かに我々日本人も過去に悪質な人種差別を行った歴史があるのですが、日本の人種差別とはアイヌ民族や朝鮮人、中国人を『人間として劣る』としての差別したが、アメリカでは黒人やインデアンを『人間では無い』と差別していたのですから差別の質が根本的に違います。

『市場原理を医療現場にも導入したアメリカ』

日本とアメリカでは根本的な基準が大分ずれているらしい。
『基準』となる次元が違い、日本の右翼とアメリカの右翼では同じ『右翼』でも大違い。
日米では1段階か2段階違いがあり、日本の右翼ですがアメリカ基準では中道程度で、保守は間違いなく左翼ですよ。
日本の右翼程度が、アメリカのいわゆるリベラルなのです。
何故過去に民主党のヒラリー・クリントン上院議員や今のオバマ大統領が公的医療保険を創設しようとした『動機』ですが、理性を尊重しすぎる日本人は大きな勘違いをしてしまう。
公的医療保険が財政を圧迫しているのは、今の日本。
アメリカの現状はもっと深刻で、日本のような公的医療保険が無いために際限なく膨張する医療費負担がアメリカ経済全体を圧迫している。
レーガンの80年代から全ての分野で新自由主義的な無制限の『規制緩和』が進み、格差が拡大して行った。
その中でも最大の問題点は増え続ける医療費負担なのです。
今では対GDPで日本の3倍も負担しているにもかかわらず一向に倍増の圧力は止まらない。
医療費の増大と反比例してマトモな医療からは益々遠ざかりつつある。
新自由主義の市場原理を医療現場に導入した結果、民間保険会社が利益を優先するので必要な医療までが制限され、命が惜しければ全財産を失うことになる。
『自分の命は自分で守る』との原則で銃器が無制限に溢れるアメリカの問題点と、まったく同一の問題点から出発しているのです。
銃規制に反対する人と公的医療保険に反対する人は、基本的に同じグループで同じ思想信条なのです。
アメリカの財政全般の健全化の為には公的医療保険創設は避けては通れないのですが、『自分の命は自分で守る』自主防衛や自助努力の原則に反するとして原理主義のサラ・ペイリンやティーパーティは反対する。

『核兵器大国のレーガン、サッチャーとアルツハイマー』

面白いことに、公的な医療保険で医療費が無料のイギリスも、公的保険で有料の日本も、民間保険しかなかったアメリカも、40年前の1970年には国民所得に占める医療費の割合は違いが無く、ほとんど同じだった。
ところが徐々に医療費が嵩みだす。
1980年頃から医療費削減を目的にして鉄の女サッチャー首相がイギリス経済の復権と為に、色々と市場原理主義の新自由主義的な数々の改革を行う訳です。
工場など大量生産が出来る生産現場とはまったく原理的に違う医療現場や教育でも、サッチャーは成果主義と規制緩和と民営化の市場原理の導入によって、医療の経費が削減できると思っていた。
ところが不思議なことに今、サッチャーが医療改革を行ったイギリスは欧州諸国一の医療費の高騰に苦しめられているのですね。
アメリカでもレーガン大統領がサッチャーと同じ新自由主義の手法で経費節減目的の『医療改革』を行うのです。
彼等は全てを市場原理に委ねれば最善の結果が得られると何の疑うことなくも真底悪魔の碾き臼である『新自由主義』を真面目に信じていたらしい。
この新自由主義の考え方は医療現場で一般の一人の患者と、それとは大きく違う病院や医者や保険会社製薬会社が同等の知識と経験、権利を持っている対等な関係であれば一定限度は成り立つ理論なのですが、事実は全く違う。
正反対なのです。
医療知識や権限では、大人と幼児のように圧倒的な力量差があるもの同士を何のハンディもなしに自由に戦わせるなど狂気の沙汰であり、行うまでも無く結果は明らかだったのです。
経費を抑える心算が、絶対必要量の人員や最低限必要な医療まで削減されるので色々な医療過誤がおきてしまい結果的には医療費は増大する。
削減した医療費の影響で増えた医療過誤を防ぐ為には高額の不必要な検査が奨励され医療費が爆発的に増大するが、そのために保険会社や政府が経費節減を強制するので益々必要な最低限度の医療行為さえ制限されて医療過誤が頻発と、目的と結果が正反対の『不のスパイラル』が発生してしまった。
今ではアメリカの医師一人当たり一件以上の医療過誤訴訟を抱えていると言われる位に増えている。
医者や病院は、増え続ける医療事故での訴訟に備えて高額な保険に入らなければならず、益々医療費の高騰は進んでいるし破産する病院や医者が続出して医療崩壊は末期的な状況なのです。
これらの出発点は全て、経費節減目的の悪魔の碾き臼である新自由主義の医療現場への安易な導入だった。
特にアメリカでは、この『新自由主義』だけではなくてアメリカ独自の『自分の命は自分で守れ』との悪しき『自己責任論』の弊害が加わり、他国よりもより被害が倍化された。
しかしこんな事態は正しく社会科学(経済学)を理解できれば30年前の新自由主義導入時に全て分かっていた事柄ですよ。
医療現場では今の事態は予想の範囲なのです。
レーガンですが公表されている大統領辞任5年後ではなくて、実は2期目の大統領再選前の時点で既にアルツハイマーが発症して異常だったと息子のロンが自著で述べているのです。
『なにかがおかしい』と感じてホワイトハウスでの様子を観察していてレーガンに重大な問題点があることに気が付いたらしい。
もう一人のサッチャーもアルツハイマーで、今では夫の死も理解できないらしいのですが彼等の指導したアメリカやイギリスの政治とは一体全体何であったのでしょう。
ですから今のように経済や医療制度の『破壊』程度で済んだことを、実は世界の皆さんは全員が大喜びすべき慶事ですよ。
なにしろ彼等は核のボタンを握っていたのですから、経済どころか最悪では地球全体が破壊されていたかも知れないのです。

『巧妙な論理(価値観)のすり替え』

日本でも『ロトで3億円』とのコマーシャルが何回も流されているが、この一人の勝者と大多数の敗者との構図は、本来はおぞましいがテレビでは逆に何か輝かしいものと描いている。
あのコマーシャルを見るたびに私は不愉快になり忌々しいので罵倒しているのですが、他の多くの人は私とは同じではないらしいのです。
何故なら視聴者の大多数は好ましく感じるから未だに続いているのです。
みんなが私と考え方が同じなら、コマーシャルを流す意味が無く即座に中止するはず。
アメリカとは、この日本でロトの宝籤のコマーシャルの嘘が皆さんに受け入れられる不思議な話の、極端な究極の世界ではないでしょうか。
アメリカ人がオバマの公的保険を嫌悪する理由の一つが、現在ある高齢者や生活保護所帯に対する公的保険の悲惨な現状があるからです。
アメリカでは医療と基本的に自由診療なのですが、政府の公的医療では当たり前ですが事前に値段が決められているので病院側が嫌い今の公的医療保険では必要な医療が満足には受けられない。
しかも政府の支払う医療費は年々無制限に見えるほど高騰していく現状を少しでも知っていれば『公的医療保険=悪』とか『政府が国民の命を勝手に決めるのか』との保険業界のネガティブ宣伝に騙される。
公的保険とは、全国一律で無いと駄目なのです。
アメリカの様に極一部だけに限定すれば、必ず良貨は悪貨に駆逐されるのですね。
これをバンパイア現象といい、良質の医療を行っていた地域に一つの悪質業者が入り込むと、周りの全てがこの医療水準になるのですが、これの繰り返しでアメリカの医療はドンドン悪化して行った。
良い医療とは、儲けを考えては絶対に不可能だったのですよ。
だから何処の国でも営利目的の株式会社の病院経営は行わない様に法律で規制しているのですが、この例外がアメリカであるのです。

『自分の命は自分で守る』

矢張りアメリカの特殊性とは銃規制に対する考え方の違いでしょう。
強力な圧力団体のアメリカライフル協会は、『銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのである』(だから銃規制は間違い)と主張する。
この主張は一見なにやら理屈が合っているようですが、完璧にアメリカ社会の現実とは違っているのです。
使い方を誤ると事故になる危険性があるので自動車の運転に一定の講習や免許の取得が義務付けられているのですが、自動車の運転以上に危険がある銃器の所持には免許どころか何の講習の義務もないのです。
まったくの無免許の市民が車を暴走させている社会以上に、アメリカのように何の講習も受けていない市民が銃を振り回す社会が危険であることは論を待ちません。
日本よりも緩いとは言えアメリカでは当たり前ですが、何かの間違いで人を殺す危険性があるので車の運転には免許証がいる。
ところが人を殺すのが目的の銃器には免許証の義務どころか、最低限の講習の必要性も認めないのが全米ライフル協会なのです。
昔の話ですが、道路標識に点々と穴が開いている。
これ、車で高速で疾走中に射撃練習に丁度良い具合の道路標識を標的にする困った不心得な連中がいるらしいのですよ。もっと怖い話なら自分が入った野外の公衆トイレの戸に点々と穴がある。やっぱり誰かが撃ったらしいのですね。
アメリカ式の個人主義『自分の命は自分で守る』との考え方は一見正しいが、矢張り日本式の集団主義『みんなの命はみんなで守る』でないと本当は『自分自身の命』も守れないのです。


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8 コメント

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事実と真相 (マトリックス)
2011-10-19 13:44:24
「わが国には狂牛病(BSE問題)はない」というアメリカ側の豪語する主張ですが、ある意味これは当然で、患者がいない事実があり、保険未加入者が17%もいるために、たとえ病気になっても病院に行けないからという実態があるようです。
アメリカの押し付けるグローバリズムは貿易に限らず、呆れる程あり得なく、怖ろしい実態を象徴する話しだと思いました。
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アルツハイマーとヤコブ病 (宗純)
2011-10-20 12:26:17
マトリックスさん、コメント有難うございます。

狂牛病と肉骨粉との因果関係は明らかであり、アメリカでも今では肉骨粉の牛の飼料は禁止されているので、5年前の06年から感染牛は出ていないと農務省は言っています。
ただし日本のような全頭検査ではなくて1%。しかも感染が疑われるへタレ牛はそもそも検査していないとの話も有るし、牛以外の家畜への肉骨粉の使用は禁止されていないので今でも販売されているので安心出来ない。
人間が食べる食肉を大量生産の工業製品と同じ発想で作っているアメリカのやり方は根本的に間違っているでしょう。
産業廃棄物の骨肉粉の有効利用し様とする安全よりも効率や利益を優先する今の新自由主義的発想を変更して、肉骨粉自体をアメリカが禁止しない内は安心出来ません。
しかも潜伏期間が数十年であるといわれているので到底安全であるとは言えないでしょう。
しかも狂牛病は発症しても病理解剖しないとアルツハイマーとの区別が付き難いらしいですよ。
日本の痴呆患者では以前では脳血管性が殆どで、アメリカでは対照的にアルツハイマーが殆ど。
多発するアメリカのアルツハイマーの中に狂牛病が混じっていた可能性は矢張り高いのではないかと疑われる。
アルツハイマーの発症と食生活にか密接な関連性があり、毎日魚を食べる人は5分の1程度の少なさなのです。
『毎日に魚を食べる』とは、その分、間違いなく肉を食べないのですから話が逆様で、肉食すれば危険性が5倍に増えるる可能性がありそうですよ。
しかもこれ等のアルツハイマーも狂牛病(ヤコブ病)もまだまだ完璧には原因や発症のメカニズムが解明されていません。
この話ですが、今大問題に成っている放射能と癌の発症と同じで、原因と結果が現れるまでのタイムラグが数十年と長すぎるので解明しきれないのではないでしょうか。
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『ショック・ドクトリン』一巡したらどうなるの? (りくにす)
2011-10-27 20:43:36
今さらですが、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』をやっと読了しました。ミルトン・フリードマンとその一派がいかにして「危機便乗資本主義」を推進し、開発独裁国家や世界中の中層階級から富を奪ってきたかの話です。彼らには「悪魔の碾き臼」より「海賊」の方がふさわしい気がします。羽振りがよくて、何より自由を尊重し、仲間内だけの義侠心を大切にする。他人は知ったこっちゃない。
「自由」が実現できるのはフロンティアがある間だけなのでしょうか。
さて、こんなことを心配するのもばかばかしいのですが、世界中の中間層からの略奪が一巡したら、そのあとどうするつもりなのでしょうか。
変な質問ですが、管理人様を見込んでお尋ねします。
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人間万事塞翁が馬 (宗純)
2011-10-28 17:16:33
りくにすさん、コメント有難うございます。

新自由主義ですが、『悪魔の碾き臼である』といわれる所以は、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』が主張するような、単純な恐怖だけの強圧的なものではなくて、その正反対に、多くの人々にとっては新自由主義がとんでもなく魅力的に見えるからなのです。
人々の成功体験が、実は大失敗の原因だったのですよ
だから恐ろしいのです。
本当に強権や恐怖での支配なら、誰でも例外なくその危険性に気が付きます。
ところが、そうではなくてとても魅力的で、一時的には良くなるので全員が騙されるのですね。
正に悪魔の碾き臼なのです。
今の若者たちの貧困化(格差社会)の最大の原因は2004年にそれまで禁止されていた製造業などへの非正規雇用(派遣社員)の無制限の解禁だったのですよ。
反対した共産党以外、他の政党は誰一人も危険性にまったく気が付くことはなかったとは情けなさ過ぎる話である。
社民党までが、この派遣労働に賛成してしっまたのですが、リーマンショックでの派遣社員のホームレス化の惨状を見て、『こんなことになるとは』と驚いていたらしいが、ほんの僅かの経済学の基礎知識があれば事前に十分『想定の範囲』どころが当然の結果なのです。
当ブログで何度か主張しているのですが、中国の驚異的な経済成長に今の人モノ金など全てが自由に国境を越える新自由主義が最大の貢献をしているのですね。
日本国内でもユニクロ等は新自由主義の恩恵を受けているのですね。

世界が、新自由主義の碾き臼ですりつぶされた後、如何なるかの話ですが、今のユーロやドルの危機に象徴されているように、其処まで行く前に早晩資本主義自体が崩壊するでしょう。
今現在でも完全に限界まで来てしまっているのですね。
バブル経済が何時までも続かず必ず破綻するように、実態経済の100倍以上に膨らんでしまった国際金融のバブル構造は限界に来ています。
ですから、これ以上の新自由主義の発展は絶対に有り得ないのですね。
資本主義はその性質上必ず破綻してしまうのですが、
その後は20年前に一足早く破綻したソ連型社会主義(実体は軍国主義の戦争経済)ではなくて、本当の意味の社会主義経済の構築が必要になるでしょう。
今回NATO軍に潰されたイスラム形式のカダフィ式の社会主義的な福祉優先の汎アラブ政策が第三世界では参考になるかも知れません。
リビアを空爆したサルコジやオバマは、その事実にいち早く気が付いた可能性がある。
先例があるのです。
これはカダフィと全く同じで拘束後に殺害され埋められたチェ・ゲバラが、その後時間の経過するごとに神格化され今ではラテンアメリカでは絶大な影響力があるたように、
戦争に勝ったはずの欧米が、今までの慣例を破って砂漠に密かに埋めた原因は、『カダフィの埋葬地が聖地化する』と今でも心配している位なのですから、カダフィのゲバラ化の可能性は非常に高いのです。
今度リビアで今の生活が向上すればカダフィは忘れ去られるが、良くなることは絶対にありえない。
生活が悪化すれば、間違いなくカダフィの名前が人々に思い出されて、カダフィは『アメリカに抵抗した偉大な指導者』としての神格化がゲバラのように世界的に進み彼の言葉が再評価されます。
個人主義ではなくて、社会主義的な共同体意識の強い日本などは、もっと簡単に今の資本主義を超えるコミュニティーシステムの構築は難しくないと思いますよ。
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野田首相がTPP参加表明を意向してしまいました (壊れ甕)
2011-10-30 05:33:52
さっきyahoo!ニュースで更新されましたが、野田首相がTPPの参加を表明したそうです。
これで日本の産業が壊滅したも同然となってしまいました。
そもそも、野田首相がTPPに参加を表明したのは、現在支持率の低下で苦境に陥っているオバマに華を持たせたいからというのが主な理由のようです。
つまり野田首相は福島の復興よりもオバマに媚を売ることを優先したんです。
野田首相は福島を復興する気はさらさらなかったんですよ。
これでは福島の復興どころか、日本自体がさらに沈没してしまいますよ。
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TPPはブロック経済か? (kark530)
2011-10-30 11:22:40
TPP問題で語られていない、米国以外との貿易はどうなんでしょうか? TPPは、ブロック経済圏そのものである可能性が高いようです。もちろん、私の山勘で、素人の感覚ですが、実に怪しい雰囲気がしています。今にもつぶれそうなドラッグストアと取引するよりこれからも発展しそうな大きな仙人堂と取引するのが安全な気もします。
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自主関税権の放棄 (宗純)
2011-10-30 14:19:45
壊れ甕さん、コメント有難う御座います。

150年前の江戸時代に徳川幕府が黒船の武力を背景にして通商を迫るアメリカの軍事力での脅し屈服して仕方なしに通商条約を締結して仕舞うのです。
交渉した側のアメリカは、これで日本が准植民地化され、その後長い間日本人が苦しむことは十分予想していた。
日米修好通商条約を締結したアメリカ初代駐日公使タウンゼント・ハリスは、
『人々はいずれもさっぱりしたよい身なりをし、栄養もよさそうだった。実際、私は日本に来てから汚い貧乏人をまだ一度も見ていない。
彼らは幸福そうで、一見したところ富者も貧者もない。将軍の衣服は想像されうるような王者らしい豪華さからはほど遠いものであり、私の服装の方が彼のものよりはるかに高価だったと言っても過言ではない。これがおそらく人民の本当の幸福の姿というものだろう。
私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進するゆえんであるかどうか、疑わしくなる。
 衣食住に関する限り完璧に見える一つの生存システムを、ヨーロッパ文明とその異質な信条が破壊し、ともかくも初めのうちはそれに変わるものを提供しない場合、悲惨と革命の長い過程が続くだろうことに愛情に満ちた当然の懸念を表明せずにはいられない。』
と日記に残している。
日本よりはるかに強大な清に対するアヘン戦争やアロー号事件での顛末から、
当時の日本側はアメリカなど列強が通商条約を拒めば如何行動するかを熟知していて戦争を回避する目的で涙を呑んで条約を結んだのですが、自主関税権を取り戻すまで40年かかっています。

松下政経塾の野田政権ですが、対米従属に何の躊躇いも無い。
前原前外相はTPP協議に参加した後でも抜けれると言っているが、
玄葉外務大臣は正反対に『一度参加してから抜けるの難しい』といってる。
どちらが正しいかですが、TPPのアメリカ代表も玄葉と同じ意味の発言をしているので、これは前原の方が間違いで玄葉発言が正しい。
『途中から抜ける』とは、最初から参加しない方法の何倍もの困難が伴うので今の対米従属の日本の野田政権には絶対に無理ですね。
普天間問題で、玄葉 光一郎外務大臣が自民党議員の質問に答えて、
鳩山首相の『最低でも県外』は間違いだったと断言。
しかも何と、鳩山発言を聞いて『対米自立志向では駄目だ』と鳩山首相の『早期の辞任』まで推測した、とまで言っているのですよ。
しかし残念ですが、
『最低でも県外』との対米自立志向の発言で日本国の『首相の首が飛ぶ』との玄葉の判断ですが、これは今までの歴史的経緯を考えれば間違いなく正しい。
敗戦後32人の首相の内で長期政権は歴代5番目の高度経済成長期の池田隼人を除けば吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎、岸信介と1000日を越える内閣は例外なく全員が対米従属路線である。
実は、それ以外の歴代首相は激動期の今と同じ超短命。
今とは大違いの太平の世の中だったのですで、1年程度の寿命しかない短命内閣しか日本国には居ないのですよ。
ですから玄葉が鳩山首相の発言を聞いて、即座に短命内閣を予想したのは、実に賢いのです。
玄葉氏の内閣の予想自体は正しいが、しかし、『対米自立路線が間違い』との発想の根本は、救い難い奴隷根性で大間違いですね。
この玄葉大臣の国会答弁に対して、野田総理が直接鳩山氏に謝罪したそうですが、謝って済む話では無い。
松下政経塾の玄葉 光一郎ですが、日本国の外務大臣である前に、アメリカ国務省日本出張所東京事務所の外務大臣をやっているのですね。
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TPPの意味とは (宗純)
2011-10-30 14:48:46
kark530さん、コメント有難う御座います。

TPPとは、多分とってもパーなピープルが賛成するアメリカが、とっても儲かる笑が止まらない仕組みですね。
多国間と言いながら実質は日米で9割以上ですよ。
TPPに類似の米韓FTA締結で韓国の李明博大統領がオバマに大歓迎されていましたが、韓国国内では大ブーイング。
首都のソウル市長選でも敗北するし来年の大統領選挙も勝てそうにないらしい。
元官僚の古賀茂明や岸博幸、中野剛志などが同じように大反対で、TPPの恐ろしい危険性を指摘しています。
特に中野 剛志のTPPの説明は判りやすいしビデオ映像がネットでも幾らでも見れます。
この京都大学准教授中野 剛志ですが、経歴が物凄い。
通商産業省資源エネルギー庁長官官房原子力政策課原子力専門職。
資源・燃料部政策課課長補佐から新エネルギー対策課課長補佐と、原発村の王道をまっしぐら。
今度の未曾有の原発事故の放射能汚染の惨状にも少しも懲りない。
曰く、左翼は国家を否定するから反原発なのだとか、
国家の自立には原発が必要であるとか、
対米戦争もハルノートを突きつけられて仕方が無いとか、
オレは馬鹿だから原発推進だとか、言いたい放題の無責任放言。
原子力が発電目的でなく、国家による核の軍事戦略的な問題点を含んでいるとの事実は理解しているようなのですが、その後の結論がいけない。
単なるネットウョと五十歩百歩のお馬鹿な原発村の住民の馬鹿話ですよ。
原発は、事故が起きなくても他の発電の倍の経費がかかる無駄な公共事業で、しかも福島第一の様な未曾有の過酷事故の損害を弁償すれば国家予算の何倍もかかる国家破滅の亡国行為であるとの、客観的な事実の認識が無いのです。
今回、そんな阿呆臭い無茶苦茶な亡国的な破綻した論理の問題人物でも、
流石に今回のTPPに、『売国』の匂いが否応なく感じるとの、何とも教訓的な話ですね。

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