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逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

一人勝ちする日本の「円」対ドル為替相場80円割れ

2011年07月15日 | 経済
政府債務残高(赤)と民間債務残高(青)の推移(Business Insider)

7月14日の東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル=78円45銭まで続伸。
東日本大震災直後の3月17日につけた史上最高値76.25円以来約4カ月ぶりの高値を更新した。
『通貨』の為替相場の高さは、通常その国の財政的な信用度と一致しているとされているので、円高とは世界の投機筋が『日本の財政は安全である』と(普通なら)判断したことになるが、これだけの史上稀に見る円高は『世界で一番日本が安定している』と、日本以外が判断したのだろうか。
日本国内では、GDPの2倍に迫る勢いで増え続ける公的債務の増加で日本人は『これでは日本が危ない』と自信喪失に陥っているのに、日本国外から日本を見る目は正反対、『日本は大丈夫』なのです。
日本国の『円』の値打ちは2008年のサブプライム&リーマンショック以降は3年も高止まり状態で推移していた。
今回、未曾有の国難であり大震災の被害だけでも数十兆円、福島第一原発の賠償額の予想が国家予算の数倍が見込める最悪状態である。
10兆円を越す損害を出した1995年の阪神大震災時の当時の史上最高値79円75銭以来の80円割れが起き、日本国通貨の為替相場の高騰が止まらない。
日本国の信用度は、日本以外の他の世界の国々の例とは逆方向で、不可思議すぎる正反対構造。
日本以外の国が、日本と同規模の大災害にあえば一つの例外も無く必ず通貨は下がる。
ところが、日本国に降りかかる未曾有の国難の大きさに比例して通貨(円)が高くなるという、何とも不思議過ぎる世界の経済学の常識の、正反対の動きをしているのです。

『アメリカの債務超過が止まらない』

2007年に高等数学を駆使した最先端金融工学の生み出した錬金術サブプライムローンの焦げ付き(アメリカ製ネズミ講とサラ金のキメラの崩壊)によってリーマンブラザーズ、メリルリンチなどの大手証券会社や大手投資銀行が破綻して、信用不安の発生で2008年から民間債務が急減している。
上記のグラフが示すように、この民間の信用収縮をアメリカ連邦政府(オバマ政権)が8000億ドルの景気刺激策(QE2)で債務を増やしその穴埋めをした。
しかしこれだけの膨大な借金も結局は、アメリカ経済の大きな経済縮小の流れを食い止めるには役立たずアメリカは14兆ドルの『借金大魔王』に転落、運命の8月2日のデフォルト期限が迫りつつある。最後の審判の時は迫っているのだろうか。
2008年から2009年3月まで続いたQE1(FRBによる非伝統的・量的金融緩和策第一弾)で1兆7000億ドルを信用不安で貸し手の無くなったマーケットに放出。
稀に見る超膨大な量のドルマネーが市場に溢れる『衝撃と恐怖の大作戦』(バーナンキFRB議長)による強制的なインフレ策とドル安誘導によって国内消費の喚起による景気回復を目論んだ。
2009年6月アメリカ政府は、世界大恐慌以来最悪の不況から抜け出したと宣言したが、持ち直したのは株価程度であった。
景気や失業率、下落した住宅価格など全ての経済指標は改善することはなく、唯一改善した株価上昇で恩恵を受けた富裕層の資産だけは増えたが庶民の資産や暮らしは下降し続けて、貧富の格差は拡大するばかり。
2009年6月の不況終了宣言が真っ赤な嘘(現実離れした超楽観的な見通し)だったことだけは間違いないらしい。
効果が芳しくなかったQE1終了後、仕方なくQE2(Quantitative Easing2)が行われたが、それも既に6月末で打ち切られている。

『欧州諸国の債務超過も止まらない』

7月12日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、欧州の周辺国の国債保証コストが過去最高を記録した。
ギリシャ国債のCDSスプレッドは現在、146ベーシスポイント上昇の2449bp。
同水準は5年以内にデフォルト(債務不履行)に陥る確率88%を織り込んでいる。
アイルランド債のCDSスプレッドは48上昇し1063bp、イタリア債に関しては23上げ325bp、ポルトガル債は27上昇の1164bp、スペイン債は24上げて373bpとなった。
CDSスプレッド1bpは5年間の債務1000万ユーロに対する年間保証料1000ユーロを意味する。
市場ではギリシャの債務再編は不可避と見ているようで、ギリシャの2年物国債の利回りは24%を超えておりユーロ加盟国の一国が財政難から背に腹はかえられず、サラ金から高金利で借金しているのと同じ異常事態であり、これでは近い将来の破綻は避けられないでしょう。

『何故円の一人高になるのか』

国債残高がGDP比で120%のギリシャよりも200%に近い日本の方がより重症であり、より財政破綻の危険性は高いとする所謂日本国内の経済学者やマスコミの警告は正しいのだろうか。
全員が口を揃えて同じ主張なので、『信用出来る。』と考えるか。
それとも反対に、全員が何処を切っても同じで金太郎飴状態で、しかも当然あるべき何らの疑問が無いことから世論誘導や情報操作を感じ取って胡散臭い、『信用できない。』と考えるのか。
今現在、3・11以前のマスコミや原発企業、原子力学者など全てが口を揃えて主張していた『日本の原発の安全』なるものは真っ赤な嘘だったことが誰の眼にも明らかになる。
確かに日本の高い技術力で『原発単体』なら世界一の安全性を誇っていたかも知れないが、一番問題である原子力発電所が設置されている場所が、世界一危ない地震多発地帯であった。
実際の日本の原発はプラスマイナスを総合判断すると、世界で一番危険な代物だったことが発覚している。
この原発神話と良く似た胡散臭い話が『経済問題』でも起きているのではないだろうか。
実は『日本の財政は危ない』との政府やマスコミの主張は日本国内限定でしかなくて世界に対しては、まったく効き目が無い。
大震災後に株価が暴落したが、これはマスコミ宣伝の『株価が暴落する』、『円が暴落する』、『国債金利が暴騰する』との予想を信じて浮き足立った日本人投資家の投売りによるもので、外国人投資家は逆に『日本買い』走っていたのです。
世界の金融界の海千山千で利に敏い世界の投資家は全員が『日本は一番安全』だと思っているらしいので、今の円高になっているのです。
それでは日本の経済学者やマスコミの共通判断『危ない』と、それと正反対の世界の投資家やヘッジファンドなどの判断『安全である』と、果たして何れが正しいのだろうか。

『世界から見た日本経済』

日本国は60年代に黒字化してからは経常収支の黒字が延々と続いていて対外純資産も増加している。
日銀の資金循環統計によると2010年末時点で日本の対外資産は574・8兆円で対外負債は330・5兆円、差し引き対外純資産が244・3兆円で二位の中国の2倍近くで三位のドイツの3倍のダントツの世界ナンバーワンである。
因みにアメリカは世界一の債務国の借金大王。
日本は現時点において1%程度の最低の国債金利(一番信用度が高い)であり、世界最大のお金持ち国家でもあると世界からは見られているのです。
日本の対外純資産の驚異的な高さは、自動的に国内の過剰貯蓄を生み総貯蓄額も引き上げて現在の約1400兆円はGDP比2・8倍の貯蓄率であるが、これは平均20%しかない欧州諸国の十数倍の高さである。
因みに今ソブリンリスクが問題とされているPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国は10%台の低い水準で止まっている。

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8 コメント

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比較的安全? (愚樵)
2011-07-16 06:08:59
宗純さん、おはようございます。

日本円が比較的安全ということは言えるのでしょうが...、問題は何を規準に安全というかですね。

津波がくると警報が発せられたとき、海岸にいるより高台にいる方が安全です。海抜5mの場所より10mのところの方が安全。でも、襲ってきた津波が15mだったとしたら、どちらも同じ。いる場所が海の孤島でもっとも高い場所が10mだったら、安全な場所など何処にもない。

ドルが破綻したとすると、襲ってくるのは東北大震災級の津波でしょう。そのとき「比較的安全」に意味があるかどうか。甚だ疑問です。
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米国、PiiGS が酷すぎるだけ (伯爵)
2011-07-16 12:29:15
円高の理由は、日本がデフォルトする危険が最も低いからです。 日本国内の財政赤字にしても、国の資産が多く増税の余地もあるということで、海外からはさほど問題視されていません。 しかしながら、海外の評価というのなら、20年間に渡る低い成長率とデフレ経済によって「日本は投資不適格」と見なされているという最悪の評価もあるのです。

国内では、財務省が国家破産(GDPの2倍に迫る勢いで増え続ける公的債務)を脅しの材料として、消費税を上げて日本国民からもっと税金を取ろうとしています。 それなのに、特別会計を隠れ蓑にして、利権ペンタゴンが巨額の聖域予算を思うがままに自由に使っている。 原発問題の一因もここにあります。

さらに、日本に対する債務が踏み倒される危険性も高いし、海外から食い物にされている以上、「円の一人勝ち・日本の対外資産は世界一でウハハ」という議論は、単純すぎます。
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もちろん、欧州やアメリカと比較しての話 (宗純)
2011-07-16 13:46:40
愚樵さん、コメント有難うございます。

形而上学的に絶対的な存在などは論理的には可能かも知れませんが、世の中の実際の政治や経済では『絶対』は普通成り立ちません。
あくまで周りとか、『何か』と比較したらとの条件付きでの話ですね。
例えば今の政治の情けなさはや不甲斐なさは誰でもが感じていると思いますが、
それでも66年前の政治経済と比べれば天と地ほども、今が優れています。
大分前に死んだ、戦前戦後を生き抜いて両方を体験している私の老いた母は何時も、『昔は、おなごは選挙権一つ無かったんじゃ。信じられんくらいに悪いとんでもない社会やったが、今は本当に良い世の中になった』と心から話していたのですよ。
生きていたらヤッパリ今でも以前と同じことを言うだろうなあと、思います。
岩手県などで10メートル程度の高台に避難して家を建てた人は同じように被害を受けているが、津波高の15メートル以上では被害を免れている。
奈良県吉野川の沿いの白屋地区は地盤が軟弱で度重なる川の氾濫での被害を避ける目的で800年前に山の中腹の斜面にごと全村移転したのですが、大滝ダムの建設で再度の移転。
ダム建設時には例の如く御用学者が『絶対に安全』と言っていたが、
正反対に地盤が悪いので貯水したら水圧で大変なことになるとの正しい学者の意見どうりのことが起きたのですね。
規模的には小さいが原発村のイカサマ学者と京大の小出助教の話と一緒で知っている人は最初から全部を知っていたのです。
これから何が起きるかですが、
大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』のロバート・キヨサキは、今度極近い将来に、『大恐慌か、ハイパーインフレーションがやってくる。』もしくは、『戦争が起きる。』ので 今すぐ『銃を買え。』?と主張するだけに止まらす、『私は準備している。』と語って『食料、水、武器、 金と銀、そして現金を持っている。』
金融崩壊の発生で、『クレジットカードシステムが決済できなくなり、世界はシャットダウンする。』
ハイパーインフレと信用崩壊で、『スーパーマーケットの供給は3日ともたない。』とアメリカの崩壊を予想している。
もう、無茶苦茶です。ほとんど北斗の拳の舞台設定と同じ社会ですよ。
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同じ事実から「何」を導き出すか (宗純)
2011-07-16 15:40:45
伯爵さん、コメント有難う御座います。

この記事ですが、全ては客観的な事実の列挙だけで、その後に続くべきである『結論』部分は一言も書いていないのですよ。
ですから、この記事の事実から導き出される結論が、
『円の一人勝ち・日本の対外資産は世界一でウハハ』なら、
玄海原発は絶対安全で心配ないとの海江田通産相の主張と同じで話にならないでしょう。
日本経済は100兆円以上の米国債に象徴されるようにアメリカとリンクしている部分が大きいので全面依存して安心していたら大打撃を受けるでしょう。
到底無事では済みません。
余りにも安易な発想であり、もう少し心配してくれないと困るのですよ。
この記事の結論部分は全く別の視点なのです。
今ある程度の見識がある人たちは『原発安全神話』が完全な嘘であり、誤った世論誘導だったことに気が付いてきています。
あの何処を切っても同じ金太郎飴のような原発村の学者の間違った原発安全神話ですが、自然発生的に生まれたものではなくて、原発ペンタゴンの長年の努力の結果なのですよ。
それと同じ誤った世論誘導が経済問題でも起きているのではないか。と言うのがこの記事のメインの主張なのですよ。
ユーロ危機ですが『PiiGS が酷すぎるだけ』と矮小化しては駄目ですよ。
実は危ないのはPiiGS5カ国だけでなくイギリスも加えて PiiiGSであると言われていますが、一番危ないギリシャ国債を一番持っているのはフランスでギリシャの破綻はフランスにも波及します。
一番財政的に安定しているドイツも国境を接している周辺諸国が全部危ない状態なら安全どころか間違いなく危なくなる。
まさにPiiGS危機ではなくて、これはユーロ危機なのです。
実はこれはユーロが根本的に抱えている矛盾で、昔の様なギリシャ単独通貨のドラクマであれば当然何分の一に通貨の大幅切り下げが行われます。
人口が1000万人程度で観光が一番の資源なのですからギリシャ通貨が数分の1に安くなれば割安感から他の欧州諸国や日本など世界から観光客が押し寄せ経済が回復するのですが、共通通貨ユーロなのでどうにもならないのです。
ですからこれは欧州ソブリン危機と呼ばれているのですよ。
それにしても『米国、PiiGS が酷すぎるだけ』との認識は首をかしげざるるを得ない。
米ドルとユーロの危機であり、欧米諸国全部が関係しているのですから世界にある先進工業国全部の大問題で、到底一部分の話ではないのですよ。

>『不可思議すぎる正反対構造。
日本国に降りかかる未曾有の国難の大きさに比例して通貨(円)が高くなるという、何とも不思議過ぎる世界の経済学の常識の正反対の動きをしている。』

他国では起きないことが今の日本で起きていることについて、その原因とは何かという風に考察して欲しいのです。
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金価格上昇、投資家の行動 (R.J)
2011-07-16 16:24:38
こんにちは。

円も買われてますが、コモディティ価格の上昇も不穏な雰囲気を帯びてきてます。

宗純さんは、以前「PIMCOが米国債売り逃げ」の記事を書かれてましたが、損失可能性に対しだれよりも慎重に熟慮する投資家の行動を分析してみるのは、参考になりますね。

アジア通貨危機で反省したのか、そのあとグローバル化批判に転じたジョージ・ソロスですが、今年のファンド決算期のころに金・銀を放出したと「ニュース」になりました。「なぜ?」と思ったのですが、やはり続きがあったようですね。実はそのあとで金鉱会社株式を購入していたみたいですよ。

この夏、世界経済が無事に済むとは思えなくなってきました。
まさに資本主義の根本的危機です。
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マルサスの人口論と同じ構図 (愚樵)
2011-07-16 18:25:51
・宗純さん

反論を期待して暴論を披露しておきましょう(笑)

昔々、マルサスというエライお方が大変心配をしました。人口は幾何学級数的に増える。対して食料生産は算術級数的にしか増加しない。いずれ世界は食糧危機に陥る――

この心配は、イノベーションのおかげで食料生産も大幅に増えて杞憂に終わりました。いまのところは、ですが。

さて、貨幣も人口論と同じようにいうことができます。貨幣は幾何学級数的に増加。すなわち金融経済は倍々ゲームで増える。が、実体経済は算術級数的。いずれ破綻するぞ、という話です。

人口論の予言を外したのはイノベーションですが、「貨幣論」の予言は何が外してくれるのか? どうもその「何か」は見つかりそうにないですね。
返信する
破綻したトリプルAのサブプライムローンの腹立たしさ (宗純)
2011-07-17 15:38:41
R.Jさん、コメント有難うございます。

アメリカの格付け会社がドルの最高ランクの格付けを見直すと言っていますが、これを如何解釈するべきかですが、
あのアメリカ製のサラ金とネズミ講の合体した必ず最後には破綻する構造の悪質極まる金融詐欺に近い、サブプライムローンでさえ最高ランクに据え置いたままだったことを考えれば、
このドルの格下げのニュースは驚愕すべき事柄で、本来なら新聞社は号外を出すべきなのです。
絶対に起こらない事が起きつつあると考えるべきでしょう。
御存知だと思いますが、今の政府が行っている放射能値の測定方法は、場所によってまちまちであり信用度は低い。
これは別の場所との比較を行う為の目安ではなくて、同一地点での数値の変化を調べる目安とするべき代物。
間違っても測定方法が違う別の場所との数値の比較に使うのは、何の意味も無いのですね。
同じことがこの格付け会社の評価にも言えます。
評価基準が違うので、他と比べても意味が無く、同一の上がり下がりを調べる目安なのですね。それなら間違いなくドルは危ないことになります。
格付け会社の評価などよりも、ずばり為替の数値や、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の動きが一番正確に値打ちを表していると考えるべきですが、何故か日本では絶対に行わない。
これは経済学云々以前の、大人の常識の範囲ですね。
自分の財産を投資するのに不確かな情報では絶対に動かないのです。
アメリカですが矢張り大統領選挙やそれと同時に行われる連邦議会選挙との関連はあると思いますね。今の動きは実に不気味で予断を許しません。

ただ不思議なのは日本の円の動きですよ。
未曾有の国難で上がる通貨は日本の『円』だけなのです。
これが何をいみするかですが、景気とは必ず循環する性質があるのに日本だけは特別で20年間も眠っているのです。
この国家存亡の未曾有の危機の上昇の意味は、ショック療法での日本国民の覚醒を世界が考えているからではないでしょうか。
それ以外には摩訶不思議な合理的な原因が、今のところ思いつかないのです。
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生物学的には2億人が限度 (宗純)
2011-07-18 11:46:35
愚樵さん、コメント有難うございます。

単なる大型哺乳類として人類を考えたら、どれほど増えても地球上では2億人が最大生息数らしいですよ。
これはサバンナの広さで其処に住める草食獣の生息数が決定されるとの計算方法を人間にも採用したらの試算です。
18世紀のマルサスの人口論ですが根本的な勘違いですね。
当時の人口はマルサスの主張の『人口は幾何学級数的』には増えていない。だから人口論は根本的に間違い。
マルサス以前の時代ではそんなことは一度も起きていないのですが、ところが面白いことにマルサスの死後には、人口が幾何学級数的に増え出すのです。
だから今でもこのマルサスの人口論は人気があるのですね。
>『いずれ世界は食糧危機に陥る――この心配は、イノベーションのおかげで食料生産も大幅に増えて杞憂に終わりました。いまのところは、ですが。』<
これは1960年代の農業の緑の革命の事を言っているのですが、その直前に起きた人口爆発の原因が、実はイノベーション(医学の進歩による死亡率の低下)のおかげです。
農業技術の進歩の問題もあるが、歴史人口学で調べると農地の面積と人口の比が一定なのですね。
江戸時代初期には大幅な人口増と耕地面積の増加がシンクロしているのですが、ただ、これは人口が増えたから労働力の余剰が生まれて新田開発を行ったのか、人口の増加の前に新田開発など食料の増産が起きたので沢山養えるようになったのかの、鶏が先か卵が先かの話と同じで未だ結論は出ていないのですよ。
そう、食料増産と人口増加が同時に起きているのです。
人類は自分の周りに働きかけて自然自体を変化させるので、生物学的なマルサスの人口論は当てはまらないで、例外的な生物界の異端児なのですね。
人口が必ず人口は幾何学級数的に増えるは迷信か神話であり事実ではなく、今の先進諸国は例外なく人口減少が起きています。
人口の増加とは、無条件ではなくて何かの条件が必要なようですよ。
今まで、人類は増減や停滞や色々な動きをしながら徐々にではあるが増えているようです。
これと同じで貨幣が増えるとは資本主義の一定条件の時の特徴ではあるが、全ての経済の特徴では在りません。
ただ資本主義ではまさに仰られるとおりであり、それなら成長の何れかの時点での破綻の回避は不可能であるとの怖い話になりますね。
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