福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

石楠花の館

2019-09-03 00:03:31 | 日記

 隊員が活動している東広島市福富町の県道沿いに、しゃくなげ館という施設がある。地元で取れた野菜や加工品の販売所、食堂などが入った物産館。2002年の開館からずっと、地元の住民組織が運営している。

 その運営組織の役員会に初めて参加した。たくさんの住民が生産者や加工・販売スタッフとして関わっている館に、地域おこし協力隊として関われることをみつけようという狙い。ちょうど館の方でも「外部の人の目がほしい」との声があったようで、普段はクローズの会合に転がり込ませてもらった。

 館はいま、「担い手の高齢化」に直面しているという。「ここにおる多くのもんと17年間、一緒にやってきた。みんなその分だけ一緒に歳をとっとりますから」。開館時から支える70代の館長さんの顔には、やや疲れがにじむ。
 取れたての野菜、つきたてのもち、手作りの豆腐、健康ブームにわいた特産エゴマの加工品、地元産品をふんだんに使った食堂メニュー…。どれも人の手で丁寧にこしらえてある。変わらぬ味を好んで、長年通ってくれるお客さんも少なくないという。
 一方で、「変わらぬ」ことに館は限界も感じている。売り上げの頭打ちが続いているのだ。

 隊員も着任前に何度か車で前を通ったり、気まぐれで立ち寄ったりしたことがあった。印象は正直、「うーん、垢抜けない」。
 そういえば先日も、館の関係者と集まった際、一消費者として感じたことざっくばらんに話した。道路沿いの看板が目を引かない。産直市が目立たない。入り口が迷路みたい。メニューが高齢者寄り。物販棚に残念な品も並んでいる。飲食スペースが家の台所みたい。営業時間外でも「営業中」の幟が立ってる…。
 と、挙げればきりがない。そりゃ外野からぱっと見で「あーだこーだ」言うのは簡単だ。関係者さんも「ふん、ふん」と聞いてくれていたが、きっと「ばーか、中の事情も知らんくせに、口ばっかり」と思っていたはず。その通り。知りません、すみません。知るすべもありませんでした。
 その後、いろんな人から「事実」「噂」「文句」「希望」がごちゃまぜになった話を少しずつ耳に挟んだが、館を取り巻く状況はなっかなか複雑そう。でも、だからこそ持て余しているポテンシャルもあるはずだよね。
 昨年の豪雨被害で浸水し、一時は存続も危ぶまれたしゃくなげ館。スタッフや住民たちが集まって必死で土砂をかき出し、掃除して、なんとか営業再開にこぎつけた。スコップをふるったという先輩隊員も言ってた。「ここが元気だと、町も元気」。うんうん。少しずつ、元気が出る関わり方を探ろ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿