たまさかに喘ぎ登りし父祖の山炭窯の跡に父のおもかげ
枇杷の樹を「豊作の年」と指差しつははそはの母は笑いたまいき
二時頃は虹立つ頃と父の声故里の山の虹を謂いしか
東山虹立つあたり安吾なる滝の瀬辺の蝉しぐれかな
いにしえはたくましかりき父は今くすしのもとに眠りたまいぬ
山城の里山の辺の草叢に君が示ししなでしこの花
かわたれの時うつりゆきたそがれぬ夢あさくして酔うこともなし
たくましかりき父はみまかりふた年をふりて露草見つめ野良猫ながめ
面白く見る国際試合に台湾よ勝て日本勝てと双方ひいきの儂は男じゃ
酒を飲む儂を怒るなタロー君 朋は君だと知ってるでしょう
柿好きの友待ち待ちて歩み入る里の柿待ちつこうろぎを聴く
とも待ちつたまねぎじゃがいも切りそろえ多汗の夕べカレーつくりし
酒を呑み酔い惑いうたた寝て今日こそは今日こそはとて日々の過ぎし
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