詩・機械設計・森林蘇生・猫/POETRY/Machine design

杉山を自然林に戻したい。
黒っぽい杉山を見るたびに子供の頃見た青い自然林を想う。山のことのみならず生活ブログです。

Anthologieのために

2011年10月17日 12時28分22秒 | 
アンソロジーのための原稿を準備する。
印刷代が思ったより安価らしいので、暇でもあるので
この際一冊にまとめておこう。
これはそのうちの一つだ。



  冬の舞 


九頭竜川を渡った巡礼姿の首
から下げた袋には過去が入っ
ている。
白足袋に草鞋で歩く行路はい
つも雪道。空は晴れたことが
ない。行きずりの河原で火を
起こし飯を食うておると、鳶
が舞う。
九頭竜の冬の空に鳶が舞う。

逃げることがなぜ卑怯である
のか、捨てねばならぬものを
うち捨てただけのこと。世俗
の批判は雑言に過ぎぬ。繁栄
する町の暮らしは文化繚乱豊
かにこころ満たされるものの
筈だったのに人々はやみくも
に忙しく生きる厳しさとはう
らはらの世智辛さだけが鼻に
ついた。不断の辛抱はさんじ
ゅうねんの垢となり肩に積も
り背柱の柔軟性を消した。
きっかけは病いだ。

命の時は一度きりだというこ
とを知らず生命力の勢いに任
せて仕事を己の命の方向と思
い込んで熱を発する永い日々
の連続が突然崩れると人々の
位置の遠さに気づいた人の在
りようは孤独であるとも
病む友の孤独を見過ごすしか
無かった情けなさ無念の後悔
毛皮を採るために生きたまま
皮を剥がれる動物たちのよう
に人もまた理不尽不条理とと
もに在るのだと
命の時の悲しみを、隠してし
まうことができず消してしま
うこともできないということ
にほぞを噛みながらも
うち捨てて
饒舌を避け
今は人の生業を悲しみつつ
存在の様を恨むことなく
勇猛の気のなごりは
鳶とともに
雪の野原で剣の舞を舞う。

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