よろず戯言

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ルドルフとイッパイアッテナ

2016-08-18 00:00:00 | 映画

先日の休みに息子と映画を観てきた。

アニメ、"ルドルフとイッパイアッテナ"だ。

原作は斉藤洋氏の同タイトルのベストセラー児童文学。

監督はポケモンシリーズでおなじみの湯山邦彦氏。

キャッチコピーは、"ぼくらはそれでも前を向く。"。

 

 

数年前、当時はまだ小学校低学年だった息子。

図書館で借りて読んでハマった本のことを熱心に自分に語る。

"ルドルフとイッパイアッテナ"。

自分には聞き覚えがなく、それになんだか言いにくいタイトル。

熱心に語る息子の説明にも上の空。

あまり興味なくって、「ルドルフとバッテラタベテナ?」なんて、ふざけて返答していた。

お姉ちゃんや元妻の話しによると、

息子はこの本を繰り返し読んでは、その都度、部屋の片隅で号泣しているという。

 

ルドルフとイッパイアッテナの原作シリーズ4作品の文庫本。

今回のアニメ映画の内容は、第1作の"ルドルフとイッパイアッテナ”、

第2作の"ルドルフ ともだち ひとりだち”からのストーリー構成となっている。

 

息子は何度も図書館で借りて、あまりにお気に入りだったため、

その年の誕生日プレゼント、そのルドルフとイッパイアッテナの本、

シリーズ4作品をそろえてプレゼントしてあげた。

本を受け取った日の夜、さっそく本を手に号泣していたという。

漫画本やゲームソフトのプレゼントには、二の足を踏むこともあるが、

こういった文学書ならば、いくらでもプレゼントしてあげたい。

 

何度も繰り返し読まれ、カバーが傷んでいる。

 

自分の母親は、フランダースの犬で号泣したという。

妹は、アルジャーノンに花束をで号泣。

自分は・・・そういえば本を読んで号泣した覚えがない。

小学校のとき、3年生から6年生まで、学年で一番本を借りていたのだけど、

図書館で借りた本で、感動したりしたものはあれど、号泣した覚えがない。

強いて言うなら、家にあった絵本、"かわいそうなぞう"くらいか。

これは自分が未修学の小さい頃からあって、その内容を把握していたので、

すごく悲しい話なんだけど、大きくなって再び読んで泣いた覚えはない。 

自分の感情が希薄ってわけじゃあないだろうが、

息子のように、何度も読んで その都度泣ける作品に巡り合いたいものだ。

 

公開前に映画館で配布されていたうちわ。

主人公の黒猫のルドルフが描かれていた。

 

今年の春先だったか、映画館でデッカイ猫のアニメポスターを目にする。

何気なく隅っこのタイトルを見ると・・・"ルドルフとイッパイアッテナ"!

あ!これ息子が大好きな本のタイトルじゃん!

あれが映画になるのか!

これは観に連れて行かねば!!

そう思って息子に、夏にアニメで映画が公開される旨を伝えたのだが、

「どっちでもいい・・・。」という返答。

ええーー!?

もしや、ここに来て既にルドルフとイッパイアッテナから興味なくなった・・・?

 

裏側はトラ猫のイッパイアッテナ。

 

そういや最近、本屋に行っては、漫画本ばかり物色。

おっぱい大きくてパンツ見えそうなくらいのミニスカート履いた美少女が表紙の、

自分がもっとも忌み嫌うジャンル?の、よく判らないオタク漫画ばかり買っている。

これは間違いなく、息子の叔父である義弟(自分は離婚してるから赤の他人になるか)の影響だな。

小さい頃から叔父になついていた息子は、その部屋で遊ぶ。

彼の部屋はそういったマンガやアニメ、DVDにゲームだらけ。

ううむ・・・自分もガンダムおたくだから、そういう気があるのは仕方がないとして・・・。

こういう美少女キャラのアニヲタには なって欲しくはないぞ・・・。

 

息子が購入してビビった漫画本。

男の子が読むような絵じゃねえ!と思うのだけど、

最近は恥ずかしげもなく、普通に男子がこういう本を読んでいるようだ。

自分が子供の頃だと、このタッチはもう完全に成人向けのエロマンガ。

自分が小学6年生の頃、男子の間ではドラゴンボールや聖闘士星矢が流行っていて、

自分はというと、おぼっちゃまくんや、ついでにとんちんかんなんか読んでたな・・・。

 

なんとなく危惧していたところ、先に手を打ったのが元妻だった。

そういった漫画本の全てを強制的に古本屋へ売却。

ソフトボールクラブなんかに入れられて、スポーツ少年へと軌道修正。

進学塾にまで通わされるようになってしまった。

全ては息子が宿題をサボり、学校の授業もままならず、成績がガタ落ちしたための措置らしい。

ゲーム機やらソフト没収もそのため。

ちょっと・・・いや、かなりむごいと思うのだけれど、仕方ない。

 

話が逸れてしまったが、息子がルドルフとイッパイアッテナのアニメ映画に消極的だったのは、

主役二匹のアニメイラストが、原作を読んで息子が抱いていたイメージとかけ離れていたからだった。

なんだ・・・そんな単純な理由だったか。

まあ、それくらい原作を愛している証拠だろう。

自分も原作のカバーイラストを見たけれど、確かにかけ離れているな。

とはいえ、公開が近付くと、やっぱり「観たい!」ってなって、

ポケモン同様、こちらも夏休み前に前売券を購入し、先日息子と共に鑑賞に臨んだ。

 

前売特典でもらえた、ルドルフのマスコット。

 

映画館で会員になっているので、事前に席を確保する。

前日の晩から、席が1/4くらい埋まっていた!

鑑賞日はお盆真っ只中、くわえて児童文学の大ベストセラー作品。

やっぱりアニメ映画版も人気が高いようだ。

ただ、この日は会員デーとかで、1,100円で鑑賞できた。

・・・が、自分は1,400円で前売券を購入していて・・・300円損した格好に。

前売特典で、マスコットがもらえたから、それが300円したと考えよう。

 

 

黒猫のルドルフ(井上真央)は、

小学生のリエちゃん(佐々木りお)に飼われて、とても可愛がられていた。

あるとき、お使いに出かけたリエちゃんの後を追って家を出ると、

魚屋さんに追いかけられて・・・気付くと高速道路を走るトラックのなか。

トラックが停車して降りると、そこは人と車がたくさんの見知らぬ街。

ルドルフは一晩トラックに乗って、

リエちゃん家のある岐阜から遠く離れた東京に来てしまう。

 

 

見知らぬ街で、心細く歩いていると、

強そうなトラ模様の大きな猫と出会う。

ルドルフがトラックにはねられそうになったところを助けてくれた、その大きな猫。

ルドルフが名前を訊ねると、その猫は「俺の名前は、いっぱいあってな・・・。」とつぶやく。

勘違いしたルドルフは、「イッパイアッテナ?変わった名前だね。」と言う。

ルドルフに興味を持ったイッパイアッテナ(鈴木亮平)は、

「ついて来い!」と言い、ルドルフに野良ネコとしての生活のいろはを教える。

 

 

生きて行くうえで一番肝心な、食べ物の手に入れ方。

小学校の給食の献立、魚屋の売れ残り、ひとり暮らしのおばあさん・・・。

ボス,トラ,デカ,etc・・・。

それぞれから異なる名前で呼ばれているイッパイアッテナ。

人間の暮らしを利用して、賢く確実にエサを手に入れるイッパイアッテナ。

これまで飼い猫として、リエちゃんからエサをもらっていたルドルフは、

イッパイアッテナとの野良ネコ生活でいろんな発見をしていく。

そして新しい友達もできる。

金物屋で飼われている、ブッチー(八嶋智久)だ。

 

 

ブッチーは自称、情報通。

「この界隈でオレの知らないことはない!」と豪語するお調子者。

情報通であると同時に、口の軽いブッチー。

ルドルフに、イッパイアッテナの秘密を語る。

イッパイアッテナがネコ達から"ステネコ"と呼ばれていること。

イッパイアッテナが犬も追い払うほどの強い猫だということ。

イッパイアッテナに喧嘩を売るのは、凶暴な飼い犬のデビル(古田新太)くらいだということ。

そして・・・イッパイアッテナも、元はタイガーという名の飼いネコだったということ。

 

 

イッパイアッテナは人間の文字が読めるし、書くこともできる。

以前、飼い主だった人間が、一年かけて文字を教えてくれたのだ。

文字が解れば、本や新聞が読める。

図鑑を読んで観て、世界のいきものを想像することもできる。

そうすれば、たくさんの知識が身に付く。

給食の献立表が読めれば、シチューの日だって判る!

イッパイアッテナは「絶対に途中で投げ出すんじゃないぞ!」と言い、

ルドルフに文字を教え始める。

 

 

ある日、夏休み中の学校へやってきたルドルフとイッパイアッテナ。

職員室では、いつものようにクマ先生(大塚明夫)がテレビで甲子園観戦。

クマ先生は、イッパイアッテナを"ボス”と呼び、いつだって職員室に入れてくれ、

図書室にだって入れてくれる、動物好きの先生。

そのクマ先生が観ていた甲子園の試合に、岐阜の代表校が登場。

地元紹介で映った映像に、ルドルフは驚愕する。

見馴れた街並と小高い山、その上にたたずむお城、ロープウェイ・・・。

「エリちゃんが住んでいる街だ!間違いない!!」

 

 

これまで、ルドルフは自分が住んでいた場所が"三丁目”としか判らず、

はっきりとどこから来たのか判らなかった。

だが、これで岐阜市から来たというのが判明。

場所が判った今、ルドルフは岐阜に帰ることを決意。

たまたま岐阜の観光ツアーのチラシを発見。

字を覚えたルドルフは、そのチラシで出発日時と集合場所を把握する。

観光バスに忍び込み、まんまと岐阜まで帰ろうとする作戦だ。

お世話になったイッパイアッテナやブッチーとの、お別れの日が近づく。

 

 

出発の前夜。

ブッチーが慌ててルドルフの元へやってくる!

「大変だ!ステトラが動けない!!」

ブッチーの話によると、イッパイアッテナが猛犬デビルにやられ、瀕死の重傷を負っているとのこと。

急いで現場に駆け付けるルドルフ。

瀕死の状態でピクリとも動かないイッパイアッテナ。

ルドルフはひらめき、クマ先生のアパートへ。

イッパイアッテナから教わった文字で、必死にクマ先生に伝える。

クマ先生によって、イッパイアテナは動物病院へ運び込まれ、一命を取り留める。

 

 

イッパイアッテナはどうしてデビルにやられてしまったのか?

その真相をブッチーから聞いて、ルドルフは自分の責任だと痛感する。

そして、観光バスの時間も忘れ、デビルの元へと進むルドルフ。

大切な仲間にひどいことをしたデビルを許せない!

チビの黒猫ルドルフは、意を決してデビルと対峙する・・・。

はたして、ルドルフはデビルに勝ってイッパイアッテナの仕返しができるのか?

観光バスに間にあって、無事に岐阜のエリちゃんの元へ帰ることができるのか?

 

 

面白かった。

なるほどな・・・これは泣ける。

終盤のその泣けるシーン、息子の方を見やると、

案の定・・・鼻からは鼻水、そして両目から滝のように涙を流していた。

そんな息子がかわいくって、感動のシーンなのに思わず笑ってしまう。

でもって息子とは反対側の隣の席には、やはり同じくらいの歳の女の子が座っていたのだが、

この子が息子以上にグシャグシャになって嗚咽して号泣していた。

隣の母親らしき女性が、ハンカチとティッシュを添えていた。

スタッフロールが終わり、劇場に明かりが点いても、この女の子はまだヒックヒックいっていた。

こんなにも小学生の心を掴んでしまう作品、すごい!

 

 

単純なネコ目線のストーリーだけど、人間がからんで来て、

ペットに対するヒトの感情、時間の流れの残酷さ、それが痛いほど込められていて、

小学生向けとはいえ大人でもじゅうぶんに泣かされる。

これは原作を読んでみなきゃ!

さっそく息子に全巻借りた。

ちょうどこれから入院することになる自分。

暇だろうから原作本でも読むことにする。

 

息子に買ってあげた、ルドルフ&イッパイアッテナのお手玉とイッパイアッテナのマスコット。

お手玉、大きさ違うとやりにくいんじゃないかしら?

 

この原作、最近のものかと思っていたら、第1作が1987年に発刊されたものだった!

ということは、自分が小学生の頃からあったということ。

足しげく図書室に通っていたけれど、全然 知らなかったわ・・・。

1991年にはNHK教育のテレビ絵本で放送されて、さらに人気が広まったという。

社会人になって、息子に言われるまでその存在も知らなかった・・・。

そんな大人気の児童文学が、満を持してアニメ映画化。

同じく動物を扱ったアメリカのアニメ映画、"ペット"が公開されて、そちらに圧され気味。

小さい子には、そっちの方がいいと思うけれど、

小学校中学年以降には、断然このルドルフとイッパイアッテナを薦める!

 

 



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