
土筆
花冷へのそぼ降る雨に濡れつくし筆先わづかに墨の香ぞする 丹人はなびへの そぼふるあめに...

雪に鳥
ムクドリ ツグミ シメ ムクドリの口をツグミて雪原に餌を見つければ...

淡雪-JAM-
ふはふはと空を漂ひ辿り着くフロントガラスの淡雪哀れ 丹人 ふはふはと くうたをだやひ ...

冬の口笛
久慈の山幾重なりて寒中の曇天の日をあをく染めゆく 丹人 くじのやま いくかさなりて か...

膨らむ
見渡せば凍れる寒の風受けて春膨らます垣の色かな 丹人 みわたせば こほれるかんの かぜ...

北風雲
青空を寒き灰雲覆ひきて口尖らせて風吹く乙女 丹人 あをぞらを さむきはいぐも おおひき...

永野川上流
巴波川に渡良瀬川につらねゆく永野の川の里の冬かな 丹人 はばがわに わたらせがわに つ...

蜜柑
どんよりと曇る日なれど陽の色に実る蜜柑に見入る幼子 丹人 どんよりと くもるひなれど ...

鏡ヶ池
桜川の水源といふ鏡池の上にたゆたふ千載の時 丹人 さくらがわの すいげんという かがみ...

紫光
あまたなるむらさきの実にたはむ枝を手折りてはまた重ねゆきたり 丹人 あまたなる むらさ...