山門ゆもみぢを見つむをのこ連れし小犬可愛や吾を見つめをり　丹人 さんもんゆ　もみぢをみつ...

立冬の光にそよぐ苔の上に紫式ちて敷き詰む　丹人 ばんしゅうの　ひかりにそよぐ　こけのまに...

高野姫と道鏡の恋を言ひ伝ふ御前山辺の紅葉なりけり　丹人 たかのひめと　どうきょうのこいを...

歩めれば朝の堤の桜葉の赤玄々と秋を染めゆく　丹人 あゆめれば　あさのつつみの　さくらばの...

畦道に柿七本の並立ちて実をあかくして侍ひにけり　丹人 あぜみちに　かきしちほんの　なみた...

白々と波を立てつつ玉菜葉に高原の風吹き抜けてゆく　丹人 しらじらと　なみをたてつつ　たま...

鬼押出しの見晴し台に登れれば鬼押し出せる白き雲見ゆ　丹人 おにおしだしの　みはらしだいに...

目高泳ぐ睡蓮桶に空の青揺らぎて暑き日のはじまりぬ　丹人 めだかおよぐ　すいれんおけに　...

桜葉の重なる陰の風に揺れてアスファルト道に墨散らしゆく　丹人 さくらばの　かさなるかげ...

ビルの間に等辺三角あらはれて雲立ちのぼる七昼の空　丹人 びるのまに　とうへんさんかく　...