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書道 直庵(筆耕所)

再生の旅 第九話<那智大社・勝浦>

七月二十四日 午後一時四十分
車は熊野速玉大社を発し国道四十二号線を南下す
那智駅前より県道四十三号線に入りたり
那智川に沿ひて緑したたる道を走りぬ
午後二時十五分 
右手に涼しげにして美しき竹林の現れれば車を停めてしばし眺めたる
左手の道沿ひに茗荷あり 
弟子なるtoshiは好物とて 竹林も見ずに茗荷を採る

toshi曰く 足の二箇所を蚊に刺されたると 
見れば 大きなる蚊とみへて刺されたる場所の大きく膨らみぬ
痒し 痒し と幾度も嘆きつつ掻きてゐるもあはれなり

大いなる蚊の刺す音も竹林と 奮太

午後二時二十分 那智飛瀧神社前の駐車場に到着す
まずは那智の瀧を拝せんとて階段を下りて正面を見れば
をを
眼前に荘厳にして偉大なる大瀧の現れたり



飛龍直下三千尺 なる漢詩のあるも
この大瀧は百三十三米なりて日本第一なるとふ

階段を下りて鳥居前に立てば
凄まじくして清らかなる水音より溢れる力の我が身を貫きて弾けん
あな素晴らしき威力なり
拝礼を済ませ瀧を見上げれば
神々しきばかりの真白なる世界を見たり



暑き日を切り裂きて立つ那智の瀧 奮太

石段を登り登りて
熊野那智大社 青岸渡寺 に向かへり

まずは左手の那智大社の境内に入れる

をを
朱色まぶしき社殿かな
ただし御屋根は本宮大社の御屋根を見るがごとき風格を感ず
社殿は是 國の重要文化財なるとふ



我が國の再生の道はいづこなりと那智の大社の八咫烏に問ふ 丹人

拝礼を終えれば つづいて青岸渡寺を参詣す
寺の伽藍を歩みいけば
木の間より 三重塔と那智の瀧の見へてきたれり
嗚呼 絶景かな
いと素晴らし



さても六世紀に伝来された仏教なり
是 次第に神道と融合すれば
平安後期には本地垂迹(ほんじすいじゃく)思想の広まりたり
神の本体は仏なるとふ思想なり
また
仏菩薩は人々を救うがために神の姿を借りて現はれたるとふものなり

本地とは是 仏 菩薩なり
神の姿を借りて現はれしこと 是すなはち垂迹なり

して 現れたる神を権現といふときけり

熊野三山の各々十二の社に祀られし神々は熊野十二所権現と称され
すべて本体は仏や菩薩なりと伝へられてきたれり
本宮の主神なる家都美御子神の本地は 是 阿弥陀如来なり
那智の牟須美神は千手観音なり
新宮の速玉神は薬師如来なり
本宮は西方極楽浄土
那智は南方補陀落浄土
新宮は東方瑠璃光浄土の地なれば
熊野全体は浄土の地なりとみなされてきたれり

されど 
明治元年の神仏分離令に依て
神仏習合の信仰形態は根底より破壊されにけり 
時の政府は神仏習合の霊地に対して
神か仏かいづれか一方を選択するやふ命を下したりき 
をを 何たるをぞましさかな
那智大瀧なる飛瀧権現にては
千手堂が廃され仏教も修験道も廃したりき
本宮及び新宮におきては
神を選びて仏を捨て寺院を取り壊したりき
那智におきても
神を選びて廃仏毀釈を行ひ仏寺坊舎を取り壊したりき
那智権現は明治四年に熊野那智神社と称すれば
仏教も修験道も排して神社となりにけり
那智の本堂なりし如意輪堂は
西国三十三所霊場の第一番札所なれば
取り壊しは免れたるも仏像仏具類は補陀洛山寺などに移され
空堂とされにけり 
いとすさまじきことなり
如意輪堂は 後に山内の人々の願ひによりて
明治七年 神社側から独立し青岸渡寺の名となりて
天台宗の一寺として再興されたるとふ

火に水に時の政府の謀略に屈せず今に残る熊野ぞ 丹人

午後四時 那智大社を発ちぬ
途中 那智蓬莱の湯に浸かりて身の疲れを流し
午後五時 勝浦に至れる
車を置きて船着き場より中の島に渡れる
ホテル中の島は 島全体が敷地とふ
いと広し
午後五時二十分 夕暮れの勝浦湾を眺めつつ紀州潮聞の湯に入りぬ

潮聞の湯の柔くして勝浦の海にとびうを五度舞ふを見る 丹人

午後七時 夕餉となりぬ
特産なるまぐろを贅沢に使ひたる料理に舌鼓を打ちぬ
刺身 
寿司 
フレーク
そして ステーキなれば
いと素敵なり 



をを
いとむまし

午後八時三十分
再び潮聞の湯に入れば
月さやに照りて 勝浦の海に影を落として 花火のごとく煌めきたる
潮の音のつぶやきを聞きつつ月の光にまどろみにけり

勝浦の中の島辺の月影は夢の字書きてきらり散りゆく 丹人


画像一:那智の竹林 
画像二:那智の瀧
画像三:那智の瀧
画像四:熊野那智大社
画像五:青岸渡寺三重塔 那智の瀧
画像六:マグロのステーキ 2007.7.24 撮影
            
↑現在30位前後なり↑現在茨城1位なり
毎日一打頂戴すれば有難きかな 宜敷願上奉候

コメント一覧

あかひと
江川氏
をを
はるか和歌山の地より
やふこそのおいでなり

ささ
こちらへ
・・・
長旅御苦労に御座候
・・・
ささ
冷たき珈琲でも
・・・
あっ
これはこれは
珈琲の専門なる江川氏なれば
・・・
予の入れたる
愛す珈琲なり
・・・
如何なる哉?

・・・
・(無言)・・
・・・
・(冷汗)・。

愛す珈琲に非ずして
冷汗珈琲なるもをかし

>山の中(熊野古道)から歩いて来て、突然、海が現れるという景観も絶品です

今次の旅にて まさにさなると予もおもへる
また 山々の峯の高きことも予の驚きなり
緑深くして見上げるばかりの山 
瑠璃色にして清きばかりの川
青くして輝くばかりの海なれば
自然の偉大なるをこれほど感じたることなし

和歌山の山川海に神ませり 奮太
あかひと
幸の助姫
をを
予の武路愚上で
再生の旅に同行いただけることを
有難く嬉しく存じ候

森深く滝に大樹に神秘見てはるか熊野に祈り届かん 幸姫

 かへし
天上ゆ落ちくる瀧の飛沫浴びて姫の祈りの溶けていくかも 丹人

*花火のテンプレートは七月三十日の夜
 予が庵の花火大会なれば使ひたる
 
見へずともその音に聞く遠花火 奮太
あかひと
やまちゃん
テンプレートなれど
七月三十日の夜
花火の画像が風丸氏よりメールにて届けば
それを祝して一晩のみ使ひたるも
ご覧の上 お褒めの言葉を頂戴するは
いと嬉し

さても
新潟にては中部地震の後遺症あれば
心いためるあかひとなり

やまちゃんには
応援に出向きたるときけり
其なる行動 いと尊し

常州より
がんばれ 新潟県!
とエールを送りたる

>いやぁ~、ブログって楽しいですね!

まさにさなり
武路愚冥利を味はひたるあかひとなればなり
あかひと
健自偉氏
をを!
今次また
言葉の響きの冴へわたる
うるはしき歌を頂戴するは
いとうれし ありがたし

まさに舞ひて踊る勢ひを
感じては身も軽くなりぬ

>まぐろとまぐろいたい・・・

ほほー
これはこれは
意味深き表現なり
いと悠遠なり

「まぐろふ」とは是 共に楽しむなる感覚あれば
これを使ひて詠める

かぎろひの立つ見ゆ紀州勝浦の潮聞之湯にまぐろふ我ぞ 丹人
あかひと
ep-mode氏
まさに
我が國の自然と一体となりてつくられ来たる伝統のおもみを
ひしひしと感づる旅となりぬ

*マグロのステーキにつきてなる
 ここだけの話なれど・・・
 やはりマグロは刺身 寿司が宜し
 ステーキは響きは素敵なるも
 味は素にしてかつての敵國の料理なるも哀し
 むむ・・・素敵とは素なる敵???

氏も機会あらば是非とお勧めいたす次第に候
あかひと
幽黙氏
をを
今次また
氏の
詠ふがごとき
名文の湖面渡を頂戴すれば
声に出して
朗詠いたしたるあかひとなり
いと素晴らし

>大雲取越えから小雲取越えで撮影された
 果無山脈の写真が本当に切なかった…

をを
其が写真はいかなるものにある哉
機会あらば是非拝見したしとこそおもへれ

>幾山河越え去りゆかば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅行く 牧水

幾山河越え去り行けど寂しさはつのるばかりの旅けふも行く 丹人
あかひと
乙女姫
をを
兜焼なる哉!
いと羨まし
予 予算の関係にて
食することかなはずは
いと心残りなり

「心残り」といへば
細川たかしの出世曲なり
いとなつかし

では
兜焼なる替歌を
ご披露かたがた
唄ふあかひとなり

せーのっ

チャチャッチャチャッチャチャー
チャチャチャチャチャチャー
わたし馬鹿よねー
お馬鹿さんよねー
後ろ指後ろ指さされてもー
兜焼にー命をかけてー
食べてきたのよー今日までー
秋風が吹く懐からー
札が飛び立つやふにー
私も旅に出るわ
マグロ追ひかけてー

フー

以上なり
エカワ
熊野詣
http://blog.goo.ne.jp/ekawa1024/
和歌山県に住んでいるのですが、和歌山市と那智勝浦とは、自動車で数時間必要ですから、10年以上もご無沙汰しています。
 
国道からの景観も素晴らしいのですが、山の中(熊野古道)から歩いて来て、突然、海が現れるという景観も絶品です。
昔、熊野詣が何故流行ったか、その景観を見て納得した思い出があります。
お幸
同行○人?
一緒に旅をさせていただいています。

森深く滝に大樹に神秘見て
   はるか熊野に祈り届かん

心惹かれたのは<熊野古道>、その場所に立ってみたいと思いました。

花火?
たぶん骨董品のような うちのパソコンのせいで 悲しいかな花火が見えていません。テンプレートを替えられたのですね。
やまちゃん
ブログは、楽しいですね!
こんばんは、越後のやまちゃんでござる。
まず、すばらしいテンプレートに目を奪われました!
夕暮れの街並みにいくつもの花火の大輪が咲くこの頃ですね!
そして「再生の旅」を少しずつ読ませてもらっています。
私の知らない風景と記事に感動しています。
ありがとうございます。
いやぁ~、ブログって楽しいですね!
健じい
冥加
ミョウガ。。。冥加
蚊に刺され痒し。。。はれがましき
焚き火燃ゆる那智の大滝 秋の散り行く紅葉
夏ですのに、ふとそのような幻想を見る写真です。

那智大社の朱に紅葉散りて
くまでにてかき集め焚き火にて栗はじける
おお、びっくり

あかひとさんの朱ですね。。。
大滝の風に当たりてずぶ濡れの旅人
顔拭きて一息ついて湯につかり
散りし紅葉のなきこと悲し
酒のしずくをすくいて飲めり

いいなあ。。。

まぐろとまぐろいたいです。
ep-mode
伝統美
これまでの素晴らしい写真を見ていると
心が洗われます。

改めて日本の良さに気付きました。
いつか機会があれば行ってみたいです。

(マグロのステーキ美味しそうです!)
幽黙
那智
石の那智黒は美しく
飴の那智黒は美味し

那智の滝の荘厳さは
言葉にする能ず

青岸渡寺の裏手から
西国三十三箇所を目指して
歩いた友人のことを思い起こしました
熊野古道難所中の難所
大雲取越えから小雲取越えで撮影された
果無山脈の写真が本当に切なかった…

幾山河越え去りゆかば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅行く (牧水)
(本当は中国山地での歌ですが…)
otome
勝浦は
まぐろですね~~
私はマグロのかぶと焼きを食べてきましたよ。
階段を降りたら登って・・
また登って那智大社にたどり着き美味しいお水を飲んだの思い出しました。
此処から見える那智の滝も素晴らしかった!
お土産には喉にも良いとか那智黒の飴を買ってきました。
ヤタガラスのお話も詳しく聞きたいです。
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