弱い雨が 一向に止む気配を見せず 降り続いている 出るに出られず
古い雑誌を引っ張り出し うちの一冊 『北斎』を覗いてみる
われ、 6歳から書き始めて 70歳前に描いたものは取るに足らない
73歳でようやく生き物がまともに描けるようになった
このまま精進して百数十歳になれば 絵が生きるがごとくならん
願わくば長生きの神様 どうか見たまうべし 画狂老人卍 述
生涯を絵に執着した人生を送り90歳で没している死に挑み
「天 我をして五年の命を長うせしめれば正真の画工となるを得べし」
と、言って息絶えたと伝わる
翻って 俺はどうだ
年寄臭くあそこが痛い ここが・・・・などと泣き言ばかり言っているが
後世に何を残せるわけでもないけど せめて最期まで誰の世話にもならず
『生』を全うしたいものよ との思いを強くした 雨の一日だった