六 その直後の教授会で私はこのことについて発言し、執行部と事務局の認識を質した。執行部を代弁した事務局担当者は「通常の成績評価の訂正で問題は無い。担当教員の許可も得ている。」と説明した。
この説明に手続上の問題が内含されていることに発言者は気付いていない。
担当教員による成績評価の変更が可能なのは教授会で成績評価簿を確定させる前までだ。教授会で成績評価簿を確定させることで当該科目に関する当該科目担当者の評価は大学の評価となる。したがって、教授会で成績評価簿を確定させた後は当該科目担当者でも当該科目の評価を変えることはできない。先の事務局担当者の説明には公信力を持つ文書に関する認識が欠落している。
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そうは言うものの、情実が入らない純粋な事務処理上のミスで評価を変えなければならないときもある。その典型例は答案と名簿の照合ミスだ。Aという学生の答案を評価した結果をBという学生の成績表に書き込んでしまったためAという学生とBという学生の成績が正しく記録されていないという場合だ。したがって、誤った評価が50点で正しい評価が80点のときは数字の書き換えができる。ただし、そのことを示す資料が添付された成績評価訂正申請書、またはこれに類する当該科目担当者の成績評価変更の意思を明示する文書が教授会に提出されなければならない。通常この種の場合には変更は可能だが、それでもその変更を可とする教授会の議を経る必要がある。
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しかし、この場合でも同一人物の評価を評価とは質を異にする「欠席」にかえることは許されない。「欠席」は評価には当たらないからである。この処理は法律以前の問題である。
私はこの思考過程を教授会で丁寧に説明した。そして、これを放置すれば本学の成績評価について学生諸氏から疑念を持たれる結果となると主張した。しかし、結局この件は「今後気を付けます。」という意味不明な回答で終わった。
教授会が終わるとすぐ、直近の上司である超有名官僚養成国立大学を定年で退職して降りてきた教授が「何で先に私に言わない。」と高飛車に言ってきた。この教員は私が学生だったときその専門領域では第一人者とされた学者である。「もし先にご相談申し上げたらどうされましたか。」と尋ねると「もちろん、握りつぶすよ。大きくする問題じゃないから。」と高飛車。「だからご相談申し上げなかったんです。」と私。カリスマとして遠くから眺めているだけの方がよかったなと寂しくなった。ちなみに、私が再任を拒否されたとき高飛車も一緒に拒否された。(つづく)
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