1.本の要約―目次を文にする―
読書感想文を書くときは、まず、指定された本を要約して紹介しなければなりません。しかし、この要約という作業は大変難しいものです。
そこで、このときその本の目次を全部つなげて書いてみることをおすすめします(目次の無い本については「目次の無い本の場合」でご案内します。)。こうするとその本の内容が大体つかめるものです。
このやり方の効果は検証済みです。
私が大学で法律関係科目を担当していた頃、学生諸氏にはずいぶんたくさん参考書を紹介したものです。他の科目と同じように法律関係科目でも参考書の通読、熟読、精読は単位取得の必須条件です。
しかし、高校までの勉強で本の読み方を習っていない人には、急に本を読みなさいと指示されてもどう読んでいいか分からないものです。
そこで私は本の読み方からご案内してきました。まず、「読みなさい」との指示があったらその本を購入するのです。学習を妨げる最大の障害は先ずここにあるのですね。
大学生の多くは教科書までも買わない人が少なくありません。いわんや参考書に至っては買う人は少ないようです。
ところが、高校までの学習と異なり大学の勉強ではその勉強に必要な資料や参考書を知ることから勉強が始まるのですね。「ある事柄を知るためにはどの本を読めば良いのか」ということ自体を知ることが大学では勉強の中心となるのです。このことは多くの大学生が気付かないようです。希望通りの成績が取れないまま卒業して初めて分かることが多いようです。
すなおな学生諸氏は指定参考書を購入し講義室に持ってきます。「買いました!」誇らしげです。こころみに「読みましたか?」と問うと、「読んでません!」と答えます。しかし、買ってきただけでも十分です。あとは読めばいいだけですから。
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さて話をもどしましょう。
読書感想文を書くときも、まず指定された本を買います。そして読み始めます。しかし、こういうときの本というのは読み手にとって多くの場合、「これを読むの!」と驚くほど分厚いものです。
そこで目次の文章化作戦が効果を発揮するのです。
(目次は作者の思考過程の表れ)
ところで、読書感想文に悩む皆様は目次のつくられ方をご存知ですか。すべての目次に当てはまるわけではありませんが、少なくない割合で目次は文章が出来上がってからつくられます。もちろん、目次らしきものを作っておいてその目次に従って文章を書く人もいます。しかし、この場合にも目次が作者の思考過程の表れであることには変わりません。ここが重要なところです。
したがって、目次を文章化することで作者がどういう思考過程を経て、またどういう話の展開を意図してその本を書いたのかということが大体つかむことができます。
(目次の無い本の場合)
目次を文章化すると話の展開が見えてしまうので、小説、とりわけ推理小説などでは目次が無いか大変少ない場合があります。また、ときには目次の番号だけで目次に文字が無いものもあります。こういうものは読書感想文初心者には扱いが困難なので避けた方が良いでしょう。読みたい本と読書感想文を書きやすい本とは必ずしも一致するとは限りませんから。読書感想文が宿題として課される多くの場合、複数の本が候補に上げられその中から一冊を選ぶというやり方がされているようなので図書館や本屋さんで目次に文字があって少し詳しいものを選ぶといいでしょうね。もっとも、興味が向かないものは読み難いものですが。興味で選ぶか書きやすさで選ぶか、勝負ですね。
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目次を文章化するとその本の話の展開や内容が見えてくるものです。そこで見えてきた内容をまとめると本の要約になります。
この部分が感想文の四分の一くらいの分量になりますね。400字詰め原稿用紙5枚という指定があるならば全部で2,000字ですから、四分の一くらいだと500字前後ですね。400字くらいでも大丈夫です。
(つづく)