『ロゼッタ』に続いて2回目のパルムドール受賞したダルデンヌ兄弟の作品。相変わらずベルギーの貧困層を描いているのだが、前3作に比べるとフィルムのゴツゴツ感が無くなっていて全体として幾分洗練された感じがする。ブリュノとソニアの若年夫婦の間にはかわいいベイビーがいる。父親としての自覚がまったくないブリュノは近所の悪がきとつるんでは盗品売買などのヤバイ仕事で日銭を稼ぐ毎日。ある日、仲間から赤ん坊の調達を頼まれたブリュノは、自らの子供を売買するというトンデモ行動に出るのだが・・・。
この映画は次の2つのシーンに注目したい。主人公のブリュノが自分の子供を人身売買した後、空の乳母車を押すシーン。そして警察に捕らえられた仲間を救うべく壊れたスクーターを警察まで引きずるシーン。キリストが自ら磔になる十字架をゴルゴダの丘に引きずり運んだように、ブリュノの罪深さを象徴するものとして、<乳母車とスクーター>を登場させていたような気がする。
ブリュノがまだ他人の心の痛みに気づいていない時の乳母車は軽々と引きずっているが、いかにも重たそうに壊れたスクーターを引きずるブリュノの心の中には明らかな変化が生まれていたはず。ラスト、妻のソニアと手をとりあって流す涙の理由は、今まで犯してきた罪への悔恨か、それとも絶縁状態にあった妻の許しを得たことへの喜びなのか?いずれにしても、子供=ブリュノが少しだけ大人に近づいた証であることはまちがいなさそうだ。
ある子供
監督 ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ(2005年)
〔オススメ度 〕
この映画は次の2つのシーンに注目したい。主人公のブリュノが自分の子供を人身売買した後、空の乳母車を押すシーン。そして警察に捕らえられた仲間を救うべく壊れたスクーターを警察まで引きずるシーン。キリストが自ら磔になる十字架をゴルゴダの丘に引きずり運んだように、ブリュノの罪深さを象徴するものとして、<乳母車とスクーター>を登場させていたような気がする。
ブリュノがまだ他人の心の痛みに気づいていない時の乳母車は軽々と引きずっているが、いかにも重たそうに壊れたスクーターを引きずるブリュノの心の中には明らかな変化が生まれていたはず。ラスト、妻のソニアと手をとりあって流す涙の理由は、今まで犯してきた罪への悔恨か、それとも絶縁状態にあった妻の許しを得たことへの喜びなのか?いずれにしても、子供=ブリュノが少しだけ大人に近づいた証であることはまちがいなさそうだ。
ある子供
監督 ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ(2005年)
〔オススメ度 〕