ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ひつじ村の兄弟

2025年01月04日 | なつかシネマ篇

40年前に喧嘩して以来口をきかなかったアイスランドの羊飼い兄弟が、仲直りするまでを描いたヒューマンドラマと思いきや....劇中なぜか兄さんの方のフルチンショット(ボカシつき)がやたらと出てくるなと思っていたらなるへそ、ラストはヤッパリそうきましたかという、“じいさんずラブ”しかも近親相姦のおまけつきゲイムービーだったのです。

(弟の)ホモフォビアをオチにもってきたコメディという意味で、ロバート・エガースの『ライトハウス』に近い作品なのかもしれません。お隣同士結婚もしないで羊たちの繁殖♥️にせいを出すこの兄弟、なんか変だなという印象を持った方も多かったのではないでしょうか。品評会を争う兄弟の♂羊も実は血が繋がっている兄弟で、羊牧場で伝染病が発生し村一帯の羊がすべて殺処分と決まった時、弟のグミーはある計略を思いつくのです。

兄ギディーの♂羊に伝染病が見つかった時、弟のグミーは真っ先に弟の♂羊の感染を心配します。つまり、この羊の伝染病、キディーとグミーの遺伝性ホモセクシヤルのメタファーにもなっているのです。人目を避けるように地下室で♂羊たちを飼いはじめたのも、ゲイばれを恐れたグミーの心象を暗に表していたのかもしれません。いくら羊好きだからといって、♂の羊にあれほどまで入れ込むのは誰がどう見ても普通じゃありません。

コミュ障の放蕩兄貴ギディーにしても、すべてを親から相続した弟グミーを嫌っている割には隣に住んでいて、銃弾でグミーの家の窓ガラスを貫通?!させたり、深酒してはわざわざグミーの家の側でぶっ倒れるのです。ゲイゆえに自分達の子孫を残すことができないギディーとグミーのゲイブラザースは、だからこそ♂羊の遺伝子を残すことにあれほどまでの執念を燃やしたのかもしれません。そして、獣医たちに見つからないように羊を隠れ飼いしていたことがバレ、ギディーとグミーは羊たちを吹雪の山の中へと連れていこうとします。

「もう大丈夫だ」意識のない弟を雪洞に引っ張り込み、2人は素っ裸になって温め合うのです。2人のラブレター配達犬ボーダーコリーや羊さんたちはいつの間にか吹雪の中に消え去っています。裸で抱き合う2人にとって、今まで仲をとりもってくれていた🐶🐏さんたちがもはや不要になったということなのかもしれません。2人のセクシャリティは誰にもバレることなく、すべてを覆い隠すようにブリザードがただ激しく大地にうちつけるのです。

ひつじ村の兄弟
監督 グリームル・ハゥコーナルソン
(2015年)
オススメ度[]


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