ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

アクトレス~女たちの舞台~

2018年04月15日 | ネタバレ批評篇


ジュリエット・ビノシュをあて書きにしたシナリオであるにも関わらず、大物女優マリアの特設秘書ヴァレンティンを演じたクリステン・スチュワートに注目が集まってしまった1本。

架空のLGBT戯曲「マローヤのへび」でかつて女社長ヘレナを捨てる小悪魔OLジグリットを演じたマリア。急逝した作家の遺志で、今度はヘレナ役を演じることになるのだが…

マローヤ峠をのぞむ山荘を貸し切り役作りに励むマリアが、秘書のヴァル相手に台詞の稽古をするのだが、実名の俳優や映画作品をテーマに、演技論を戦わせる虚実ない交ぜのヤリトリが本作の見所となっている。

髪の毛をバッサリ、ベリーショートのおっさんカットで役作りをするビノシュと、私生活では女性モデルとの関係も噂されるクリステンだけに、劇中劇外での言動も何やら怪しげではあるが、そこんところはこの映画はっきりとは言及していない。

ハリウッド映画などはなっからバカにしているマリアに対し、スーパーヒーローやフォースについてあくまでも真面目に議論を持ちかけるヴァルとの関係が、そのままヴィノシュとクリステンさらに戯曲中のヘレナとジグリットに(バロックの3重奏のように)引き継がれ不思議な空間が生まれている。

老人のように扱われることを恐れ若さにこだわり続けるマリアに幻滅し、現実の〈マローヤのへび〉を見るために2人で訪れた丘でヴァルは失踪してしまう。(戯曲のラストと同様に)マリアいやビノシュを非現実世界に置き去りにして、ヴァルことクリステンは現実世界=ハリウッドへと舞戻ってしまうのである。

新しいジグリット役のジョアン(クロエ・グレース・モレッツ)や若手映画監督にお世辞を言われて舞い上がるビノシュの姿は、もしかしたら『イヴの総て』のベティ・デービスであり、『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンであったのかもしれない。

アクトレス~女たちの舞台~
監督 オリヴィエ・アサイヤス(2014年)
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