1889年に26歳の若さで亡くなった井上安治と、1915年に亡くなった安治の師となる小林清親による、明治10年発行の画集「東京名所」の全100画を一つにまとめたお得版のKindle本。清親とは、まだ少年であった安治が二時間も写生するのを見ていたことから知り合う。作品は光線画という浮世絵であり、光と陰を巧みに表現し、明治の東京のまだまだ開拓されていない頃の風景が、素朴なタッチで描かれている。
先日、Eテレを何気なく見ていると、井上安治が紹介されていて、東京の明治の頃の姿があまりに良かったので、見終わると直ぐにAmazonから購入した。北斎のような、派手なフレーミングや驚くような視点はなく、師匠の小林のダイナミックな動きもない。あくまで人の目の高さから見た、実に何気ない普通の町の風景である。本書では同じ構図同じ場所を描いた二人の作品を並べて比較、二人の特長を分かりやすく解説している。明治の東京というと、文明開化で賑やかな絵が多いが、実際は大名の大きな武家屋敷が無くなり、空き地だらけで、まだまだこのような地味で素朴な町だったと思う。
落ち着いて、パラパラとページを前後ろに捲りながら読みたい。
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