カズが殺されてから2度目の誕生日。カズが好きだったビールと一番好きだったおかず『春巻き』を作って普通の夕飯を食べる。
何やってるんだろう、と思う。我が家のご飯は365日いつも美味しくて、いつ何時ヨネスケさんに突撃されても大丈夫だね〜、なんて言っていた。笑いの絶えなかった美味しい食卓は何処へいってしまったのだろう?
私が今こうやって耐え忍ぶ時間は今だけじゃなく、私が死ぬまで続く。
人生って平等じゃないよな、とつくづく思う。
誰よりも苦労したし、努力したと思う。その先にあった事がこれ以上ない悪夢。今後どれだけ頑張ったところで二度と取り返しがつかない。そして今まで味わったどんな苦労よりも重い十字架を今背負っている。
義母も私も代わりに自分が殺されれば良かったと言う。…遺されたものは生きている事に罪悪感を感じ、常に何故?がつきまとう。
最近、死んだのがもし私だったら…彼はちゃんと遂げたかった夢を形にしていたかな?と思う。
彼がいなくなった後の世の中の変化は凄まじい。預言者のように彼が言っていたこと、予想以上のスピードで起きている気がする。
気候変動、天災、政治の混乱ぶりに日本の凋落…。犯罪だって今後増える一方だと思う。何があってもカズと一緒なら大丈夫、乗り越えられると思っていたことも、もうどうにもならないな、もしかしてこの世の終わりさえ自分が生きている間に経験してしまうかもとさえ思う。何ならいっそのこと終わってしまえばいいのに、と思う。
出会ったときからカッコいいおじいちゃんになるのが夢、と言っていた彼、どんな歳の重ね方をしたかな…。
誕生日、ただの悲しい日だよね。そんな記念日なんて来なければいいのに、明日なんて来なければいいのに。
今日も性懲りも無く交通事故でかけがえのない命が奪われていく…。