
ある時、長崎の料亭に行った時のこと料理の最後のデザートを味わった時、珍しい味の、悲しみを包んだやうな味がした。
料亭の女将さんに、このデザートのお菓子はどこで作っているか聞いてそのお菓子屋さんに行ってみた。

そのお菓子を買って見ると
’黒船の栞’というのがあった。
その栞には、銘菓が銘菓になる。黒船の味は悲哀の味がする。遠い昔、唐行さん、と呼ばれ東南アジアへ
日本から、大勢の若い娘たちが働きに行った。密貿易である。朱印船に隠し乗せられ、
天竺の国へと旅立ったのである。昔、長崎は我が国で唯一の異国との貿易港
此処から喜び悲しみが、生まれ始まったのである、とその栞に書かれていた。
お菓子屋の天主曰く、このお菓子はこの悲哀の意味を含み、味を整えた、と言う。
このお菓子屋の下には、小桃花源と呼ばれる長崎でも知られない高級女郎村があった。
又日本の各藩の隠れ宿もあった。長崎で鉄砲、火薬等を各藩が闇に隠れて買うために。
今でも、薄くその面影はある。
