『眠られぬ夜のために』という本がある。私は読んだことはないが、この二つめの詩は『眠られぬ夜のために』と副題をつけてもよいように私は思う。
眠られぬ夜この詩は貴方の肩にも、そっと手をさしのべるかもしれない。
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歳深き山の
かそけさ。
人をりて、まれにもの言ふ
声きこえつゝ
年暮れて 山あたゝかし。
をちこちに、
山 さくらばな
白く ゆれつゝ
冬山に来つゝ
しづけき心なり。
われひとり 出でゝ
蹈む
道の霜
しみじみと ぬくみを覚ゆ。
山の窪。
冬の日 やゝに くだり行く
いろ
*
あけ近く
冴えしづまれる 月の空
むなしき山に
こがらし つたふ
かさなりて
四方(よも)の枯山(からやま) 眠りたり。
遠山おろし 来る音の
する
目の下に
たゝなはる山 みな
低し
天つさ夜風
響きつゝ 過ぐ
せど山へ けはひ
過ぎ行く 人のおと
湯屋(ゆや)も
外面(そとも)も
あかるき月夜(つくよ)
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眠られぬ夜この詩は貴方の肩にも、そっと手をさしのべるかもしれない。
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歳深き山の
かそけさ。
人をりて、まれにもの言ふ
声きこえつゝ
年暮れて 山あたゝかし。
をちこちに、
山 さくらばな
白く ゆれつゝ
冬山に来つゝ
しづけき心なり。
われひとり 出でゝ
蹈む
道の霜
しみじみと ぬくみを覚ゆ。
山の窪。
冬の日 やゝに くだり行く
いろ
*
あけ近く
冴えしづまれる 月の空
むなしき山に
こがらし つたふ
かさなりて
四方(よも)の枯山(からやま) 眠りたり。
遠山おろし 来る音の
する
目の下に
たゝなはる山 みな
低し
天つさ夜風
響きつゝ 過ぐ
せど山へ けはひ
過ぎ行く 人のおと
湯屋(ゆや)も
外面(そとも)も
あかるき月夜(つくよ)
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