『汽車の燈は、片あかりおり。 をぐらき顔うつれる牕(まど)に、夜深く対(むか)へり』
***
だれにも読まれない詩だと言って、君が寂しげに、そっと私に見せたのは、もう何十年も前になるのだろうか。
君はいつも教室の片隅に居た。友人といえるのは私だけだったかも知れない。
最近、私が身辺整理をしていたら、君からもらった『誰にも読まれない詩』がたまたま見つかった。私は君の寂しげな表情を懐かしく思い出しながら、ここに、その詩を紹介しよう。 (誰かに読まれるかも知れないから(微笑))
***
ふすまを あけると げんとおは
あおい かあてんのなかに ゆれていて
いくつも いくつも
だれもいない おざしきを とおって
ほんのんのりと あかるい おへやの ふすまを あけたのです
もやのなかに ひすいが いちめんに ひろがって
きらきらと わたしの めから あふれ
ほんのりと あかるい
かあてん のなかに
げんとおは ゆれ
ひすいは
あついたまとなって
ながれおち
ころころと ころがってゆき
だれもいない おへやで
げんとおは ゆれていたのです
***
だれにも読まれないと君が言った詩を書いた紙はもはや黄ばんでいる。
君と連絡が途絶えて久しい。
今でも何処かで、君は寂しげに佇んでいるのだろうか。
だれにも読まれない・・・そう、人生って結局そうなんじゃぁない。
私は君の詩を懐かしく読んだよ。
そして、どいうわけか釋超空のうたも思い出していた・・・
『汽車の燈は、片あかりおり。 をぐらき顔うつれる牕(まど)に、夜深く対(むか)へり』
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だれにも読まれない詩だと言って、君が寂しげに、そっと私に見せたのは、もう何十年も前になるのだろうか。
君はいつも教室の片隅に居た。友人といえるのは私だけだったかも知れない。
最近、私が身辺整理をしていたら、君からもらった『誰にも読まれない詩』がたまたま見つかった。私は君の寂しげな表情を懐かしく思い出しながら、ここに、その詩を紹介しよう。 (誰かに読まれるかも知れないから(微笑))
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ふすまを あけると げんとおは
あおい かあてんのなかに ゆれていて
いくつも いくつも
だれもいない おざしきを とおって
ほんのんのりと あかるい おへやの ふすまを あけたのです
もやのなかに ひすいが いちめんに ひろがって
きらきらと わたしの めから あふれ
ほんのりと あかるい
かあてん のなかに
げんとおは ゆれ
ひすいは
あついたまとなって
ながれおち
ころころと ころがってゆき
だれもいない おへやで
げんとおは ゆれていたのです
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だれにも読まれないと君が言った詩を書いた紙はもはや黄ばんでいる。
君と連絡が途絶えて久しい。
今でも何処かで、君は寂しげに佇んでいるのだろうか。
だれにも読まれない・・・そう、人生って結局そうなんじゃぁない。
私は君の詩を懐かしく読んだよ。
そして、どいうわけか釋超空のうたも思い出していた・・・
『汽車の燈は、片あかりおり。 をぐらき顔うつれる牕(まど)に、夜深く対(むか)へり』