釋超空のうた (もと電子回路技術者による独断的感想)

文系とは無縁の、独断と偏見による感想と連想と迷想!!

及び釋超空のうたとは無縁の無駄話

雑談:巡回セールス問題と蟻の知恵

2013-07-14 14:17:51 | その他の雑談
先日、テレビをみていたら面白い番組を放送していた。
生物の行動を真似て、難しい問題を解こうというのだ。

数学に『巡回セールスマン問題』という実質的な難問がある。 この問題とは以下のものだ。

『複数の都市をちょうど一回ずつ訪れて、全ての都市を巡るとき、なるべく早く出発点に戻ってくるには、どのようなルートを選ぶのがベストか?』

都市の数が5,6個程度なら恐らく誰でも何とか解答できるだろう。 では都市の数が10か所だったらどうだろう?

驚くなかれ、ルートの選択肢の数は181万4400通りとなる。 コンピューターを使えば何とかなるかも知れない。

では都市の数が15程度ではどうなるだろう。
10^12以上だそうである。

試しに、^ を使わずに書いてみよう。1000000000000以上なのだ。 たぶん並のコンピューターでは不可能だろう。

***
では、蟻たちはどうしているのだろう? やつらも似たような問題を抱えている。

やつらにとって「都市」の数は10どころではない。それこそ100位はあるだろう。

100ならば、その場合の選択肢は10!/2で、計算する気にもなれない。 私の技術者用の電卓で計算しようとしたらエラーで計算不能となった!!

しかし蟻たちは此の難問をどう解決しているのだろう? 
というわけで研究者たちが蟻の行動を調べたそうな。

どうも蟻たちはテクテク歩いているとき道に或る種の揮発性の匂いをつけていて、エサを見つけた蟻は巣に戻るのだが、その時、その匂いを濃くするそうだ。

結局此の行為が、結果的に此の難問の解決策になっている、ということらしい。

無効な「ルート」は揮発して消えてしまい、有効な「ルート」は揮発されず其の匂いが加算されていき、何回かの試行錯誤のうち適度な時間内で、最短ルートを「みつけてしまう」らしい。

そこで、研究者たちは此の蟻の「知恵」を借りて、コンピューター・シミュレーションしてみたそうだ。その結果、この「知恵」が実に有効だと分かったそうだ。

***
この世の生物たちは何万年もかけて彼らの「知恵」を、それこそ命がけで磨き上げてきた。

人類などとは比較にならない時間の長さをかけての実用方法の取得なんだから、その知恵たるや凄いものがあるだろう。

人間は万物の霊長などと威張っているが空疎なものだ。

私は道をテクテク歩いている蟻を見ると尊敬したくなった。