釋超空のうた (もと電子回路技術者による独断的感想)

文系とは無縁の、独断と偏見による感想と連想と迷想!!

及び釋超空のうたとは無縁の無駄話

雑談:『神の数式』など

2013-09-26 12:21:01 | その他の雑談
先日、NHK・BSで『神の数式』というタイトルの番組が2夜にわたって放送された。

此の世の物理現象を一つの方程式で表そうとする理論物理学者たちの苦闘を記録した科学ドキュメンタリーであった。
***
私は此のテの番組の愛好者である。
以前放送された『リーマン予想』とか『ポアンカレ予想』という数学の超難問の内容が一般視聴者向けに放送されたことがある。これらも大変興味深くみた。

恐らくプロの数学者でも其のような数学の難問を解くのは勿論のこと、其の命題そのものを理解するのは必ずしも容易ではあるまい。いわんや、一般視聴者においてをや、である。(但し、ポアンカレ予想は最近、ロシアの数学者によって解かれた)

此のテの番組の意義は、言うまでもなく其の解を視聴者に求めているのではなく、そのような問題が『象牙の塔』のみに隠避されている弊害を少しでも無くすことであろうし、また此のような問題の存在を知った少年・少女達が科学に眼を開く動機となるような啓蒙にあるのだろう。

***
足立恒夫という数学者は『無限の果てに何があるか』という一般読者向けの数学の本で、此の本を書いた動機を以下のように書いている。

『数学という学問は一つの巨大な文化の体系である。(中略) ぼんやりとでも現代数学の思想をわきまえていなければ、世界観に欠陥があるのではないか、という挑発的な問いかけのもとに書いた。』と。

恐らく、現代物理学においても同様なことが言えるだろう。

ぼんやりとでも現代物理学が其の先端において何を問題にしているのかということを知らないとしたら、其の人の世界観に欠陥があると言えるかも知れない。

現代は好むと好まざるとに関らず科学技術を無視しては生きていけないからだ。

***
同様なことは金融等の経済学にも言えるのだろうし、私たちは憲法の基に生きているのだから、ぼんやりとでも其れらの知識がなければ世界観に欠陥があると言われても仕方がないのでだろう。

しかし、そう考えていくと生身の人間において、今日ただいまの世界を生きていく上での、ぼんやりとでも常識的な欠陥なき世界観を持つことは容易ではない。

***
では今日において『ぼんやりとでも常識的な欠陥なき世界観を持つ』にはどうしたら良いか。

その解答は私は残念ながら分からない。

***
さて『神の数式』について。

たしかデカルトだったか『神の存在を証明した』そうである。

他の人はイザ知らず、私は此の意味が理解できない。
神は証明できるのか? 

同様に『神の数式』の意味が私には理解できない。

私の頭の悪さを棚に置くとして、これは或る種のメタファーとしか私は理解できない。

***
この番組で或る物理学者が言っていたことが印象的だった。

彼は『神の数式』の発見に其の研究生涯を捧げている人だが、以下のような意味のことを言った。

『神の数式を発見できないのは淋しい。しかし其れが発見されたとしても、淋しいだろう。』

この言葉あたりに案外『神の数式』の真の意味が在るように私には思われる。