学校はだれのもの？

息子の「研修旅行」が始まった。
修学旅行ではなくて、「研修」旅行なのだそうだ。

高校入学とともに、生徒たちにアンケートがあった。
修学旅行の行き先を問うものだった。
選択肢はいくつかあり、近い外国と、国内の何箇所か。
結果、子どもたちの人気投票で第一位は北海道だった。
息子も、小学生の頃からの夢である北海道に行きたかったようだ。
ところが、アンケートまでとりながら、決まった行き先は「東京」だったのだ。
理由は、この旅行が観光目的のものではなく、高校生活の学習の一環である「研修」旅行なのだからだそうだ。
校長の強い意向で、一方的に決められてしまったらしい。
東京での行き先も、OBの就職先なのだという。それは、学校運営にまで幅を効かせるOB会のご機嫌取り、という見方もある。
中学生の職場体験じゃあるまいに。
学年の１００％近くが進学し、そのまた過半数近くが首都圏の大学に進学なり、受験なりする生徒たちに、なにも修学旅行まで東京になんて行かせる必要などないと思う。
うちのムスコはどこも興味のないところばかりだったそうで、仲の良い友だちが選んだから、という理由でマイクロソフト社へ行くそうだ。
なんてつまらない修学旅行なんだろう。

そういえば、友人が言っていた。
友人の息子さんは、現在高校３年生。
野球大好き少年で、小学校からずっと野球をやっている。
甲子園を目指すのも、この夏の大会が最後である。
そんな中、同級生の部員が２名、監督から
「お前たちを使うつもりはないから、勉強するかサポートにまわるかのどっちかにしろ」と言い渡されたらしい。
無駄に時間を費やすより、受験勉強にその時間を振り向けたほうが、君のためにはいいと思うよ、ということなのかもしれない。
だが。
可能性はゼロではないのだ。
万に一つでも、甲子園の土を踏める可能性があるかもしれない。
彼らが積み上げてきた夢を、その監督のひとことで一気にうち砕いてしまったのだ。
その話を聞いたとき、
「なんか、勘違いしてるよね、その監督」と思ってしまった。

ムスコの高校の校長にしても、友人の息子さんの監督にしても、何か勘違いしている。
学校は、教師の見栄や評価のためのものではなく、そこに在学する生徒たちのものではないのか。
生徒たちが、その学校で学び、友達と語らい、悩み、励ましあって、人生の輝ける時間を過ごすための場であるはずだ。
その主役である生徒たちの気持ちを無視した学校運営は、絶対に間違っていると私は思う。

先生方、どうか、学校を子どもたちに返してやっていただけませんか。