わくわくを形に

賃金カットやリストラ、倒産と不況の嵐が吹き荒れている。
そうかと思えば、私がのぞくネットの世界はそんな話はどこの国のはなし？と思わせるような、ゆとりある、たおやかな時間が流れている。


鶏肉はここ、と決めている鶏肉屋さんの奥さんとしばしおしゃべり。
「今年は本当に不況ですね～。毎年、この時期には予約で一杯になる鶏の足が全然売れていないんですよ。」
とこぼす奥さん。
家でスーパーの安い鶏肉を買ってきて焼く派が増えているのかも・・とぼやいていた。
ふーん、こんなところにも不況の風が吹いているのか、と万年不況の私は妙に感心しながら聞く。
そんな話をするうち、クリスマスケーキの話になる。
甘いものが苦手な夫がいるので、ケーキもがんばり甲斐がないだの、その昔、子供会のクリスマスケーキを５個作って届けたことがある、だのという話をしていると
「なら、今年の我が家のクリスマスケーキをお願いできませんか？」
ということに・・・
なにという教室に通ったわけでもなく、ましてや資格も持たない私に、いきなりそんなこと頼んじゃっていいの？！
と、頼まれたほうがびっくり、である。
しかし、食べることより作ることに至上の喜びを感じる私、断る理由などない。
「じゃ、どんなタイプでいきますか？」
と、即座ににわかパテシェに。
奥さんは横にいるご主人にお伺いを立てている。
結果
タイプはチョコレートケーキで、サイズは２１㎝サイズ
あとは完全おまかせで、とのこと。

うーん、チョコが苦手な私としては、咄嗟にあれとこれとあれを組み合わせて、というのがイメージできない。
あと１ヶ月のあいだにあれこれと組み立てなければ。
かき入れ時で、ケーキ屋さんに走る間もないご家族のために、喜んでもらえるチョコレートケーキ。
一度は試作をしてみなければならないだろう。

参考にするために、あちらこちらのケーキ屋さんのカタログを見る。
で、思うに。
お店のケーキは当然のことながら、見栄えをよくするために色んなデコレーションが施されている。
ほとんどは、食べられないピック類が刺してあったり、デザイン優先でベリー類が中央に集められていたり・・。
これを家族の数に切り分けるのって大変じゃない？
果物が載っている人、何も無い人、ができてしまうのでは？
と、食い意地のはった私は心配になるのだ。
私が作るのなら、食べられるものをのせたいな。。
どの人も平等に、同じ味を愉しめる、そんなケーキがいいな、と思う。
でも、見た目の派手さも必要かもしれないな。
じゃ、金箔でものせてみようか。
私が作ると、きっと地味な見た目になってしまうだろうから、可愛い物好きな奥さんのために、そういう要素も盛り込んで・・
ああ、なかなかこれは難しい課題かもしれない。

箱を開けたときに
「わ！」
と思ってもらえて、口に含んで
「うわー！」
と、感動してもらえる、そんなわくわくを、私も一緒に味わいながらクリスマスに向けてがんばろうと思う。
こんな時代だからこそ。