飾りにご用心

会社の女部長が悲鳴をあげて入ってきた。
何かと思えば、おろしたてのスカートが破れている。
私「ぎゃー、どうしたんですか？それ。今日おろしたばかりでしょ？」
部長「そーなのよ～。もうー、あったまきちゃう！これよ、これ。」
と憎らしそうに指差したのは、足元のブーツ。
よく見ると、今年流行のウエスタンタイプで、スタッズやベルトがにぎやかについている。
さっそうと、自転車にまたがったはいいが、風が吹くのとペダルを踏むタイミングが重なってブーツの金具が薄手のスカートをひっかけたらしいのだ。
「んもー！！これで３万がパァよ、パア！」と目を三角形にして怒っている。

わかるよなー、それ。
かくいう私も、この夏同じような目にあった。
私はパンツ。
ミュールにうやうやしく並んでついていたスワロフスキーまがいのガラス玉を留めつけてあった金具に、パンツの裾がひっかかり、ガラス玉は取れるは、パンツにひきつりは入るは、で２本のパンツをだめにした。
彼女と違っているのは、ものの単価。
月収手取り４０万を超える彼女と、時給７５０円のアルバイターの私じゃお釈迦になるものの単価はおのずと違う。

今日も
「しゃーない。いつもの店で違うスカートを物色してこよう。」
とお買い上げで帰ってきたスカートは４万５千円也。
え！
元のスカートよりさらにパワーアップしてるじゃん。
いいなぁ、ボーナスがあるひとは。
と、女工哀史のようにこきつかわれるだけの下働きは、埃まみれになりながらひたすらシュレッダーをかけ続けた。

それにしても、靴の飾りはあなどれない。
そのときの気分や、雰囲気で買ってしまうと、あとでとんでもないことになる。
ここは節子さんに、アドバイスしてもらい冷静になるのがいいかもしれない。