節子さんがやたらツイている。
去年の年末あたりから、なんだかんだ懸賞やら福引きによく当たるのだ。
最近では、なんとネスレドルチェグストまで当ててしまった。
当の本人は、それがどういうものなのかもよく分からぬまま、最近調子の悪いコーヒーメーカーの代わりになればいいだろう、というノリで応募した懸賞らしい。
届いてみて、まずその大きさにビックリ。
さらに、普通のコーヒーメーカーとは違う構造であることにビックリ。
さらに、さらに、コーヒーを淹れるためにそれ専用のカセットが必要であることにビックリ。
そしてさらに、さらに、さらに、そのカセットの一杯分の単価が50円「も」かかることにビックリ、したのだそうだ。
ランニングコストのことを考えると、おいそれとは使えないことを考えた節子さんは、せっかく当たったマシーンをどうしたものか、と考えた。
引っ越ししたばかりの息子さんたちに、プレゼントすることも考えた。
ところが、自然食に凝っているお嫁さん二号は、コーヒーは身体に悪いから、と家の中から一切排除してしまっているそうで、コーヒーマシーンなどはもってのほか、となるだろうと、贈ることはあきらめた。
かといって、ネットオークションもしたことのない節子さんには、ハードルが高すぎる。
そこで、ふと考えた節子さん。
このコーヒーマシーンが当たったのは、ひょっとしたらコーヒー好きだったご主人が当てたのではないのか?と。
生前、コーヒーが大好きだったご主人は、毎日お昼休みに喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
その習慣は会社を辞めてからも変えられず、家族に内緒で毎日どこかの喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
それをある日、息子さんに目撃され、お母さんである節子さんにバラされてしまった。
すべてに置いて、節約をモットーとする節子さんは、思わずご主人に言ったそうだ。
「なにもわざわざ喫茶店でコーヒーを飲まなくても、家で飲めばいいじゃない。」と。
自分の勝手で早期退職をしたご主人は、ささやかな楽しみを咎められていると思ったのか、口ごもって反論したそうだ。
「家で飲むコーヒーと、店で飲む珈琲は違うんだ。」
思わず、責め口調で問い詰めてしまったことを悔やんでいた節子さんは、毎日仏壇にレギュラーコーヒーをお供えしている。
だが、今回当たったコーヒーマシーンは、ひょっとしたら美味しい珈琲を飲みたい、という亡きご主人の思惑なのではないか、という気がしたのだそうだ。
なので、毎朝、とはいかないまでもご主人のための一杯を、ドルチェグストで淹れてあげよう、と思い直したのだとか・・
先日、危うく事故に遭いそうになったとき、からくも難を逃れた節子さん。
本人は、ご主人が守ってくれたのでは、という気がしたらしい。
本来、お姑さんの面倒をみるはずだった跡取りのお嫁さんが、離れてしまい、看るはずの無かった節子さんが、愚痴りながらもお姑さんの面倒を看ている。
ひょっとしたら、空の上からご主人が、節子さんに
「申し訳ない・・」と手を合わせているのかも。
昨日、金婚式を迎えられた天皇陛下は、皇后陛下に感謝状を、とおっしゃられた。
声を詰まらせながら、奥様である皇后陛下への感謝の気持ちをおっしゃる陛下のお姿は、どんな主義主張をもつものにも素直に心に響かせるものがあった。
節子さんが、ツイているその裏には、ご主人の節子さんに対する感謝がこめられているのかもしれない。
去年の年末あたりから、なんだかんだ懸賞やら福引きによく当たるのだ。
最近では、なんとネスレドルチェグストまで当ててしまった。
当の本人は、それがどういうものなのかもよく分からぬまま、最近調子の悪いコーヒーメーカーの代わりになればいいだろう、というノリで応募した懸賞らしい。
届いてみて、まずその大きさにビックリ。
さらに、普通のコーヒーメーカーとは違う構造であることにビックリ。
さらに、さらに、コーヒーを淹れるためにそれ専用のカセットが必要であることにビックリ。
そしてさらに、さらに、さらに、そのカセットの一杯分の単価が50円「も」かかることにビックリ、したのだそうだ。
ランニングコストのことを考えると、おいそれとは使えないことを考えた節子さんは、せっかく当たったマシーンをどうしたものか、と考えた。
引っ越ししたばかりの息子さんたちに、プレゼントすることも考えた。
ところが、自然食に凝っているお嫁さん二号は、コーヒーは身体に悪いから、と家の中から一切排除してしまっているそうで、コーヒーマシーンなどはもってのほか、となるだろうと、贈ることはあきらめた。
かといって、ネットオークションもしたことのない節子さんには、ハードルが高すぎる。
そこで、ふと考えた節子さん。
このコーヒーマシーンが当たったのは、ひょっとしたらコーヒー好きだったご主人が当てたのではないのか?と。
生前、コーヒーが大好きだったご主人は、毎日お昼休みに喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
その習慣は会社を辞めてからも変えられず、家族に内緒で毎日どこかの喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
それをある日、息子さんに目撃され、お母さんである節子さんにバラされてしまった。
すべてに置いて、節約をモットーとする節子さんは、思わずご主人に言ったそうだ。
「なにもわざわざ喫茶店でコーヒーを飲まなくても、家で飲めばいいじゃない。」と。
自分の勝手で早期退職をしたご主人は、ささやかな楽しみを咎められていると思ったのか、口ごもって反論したそうだ。
「家で飲むコーヒーと、店で飲む珈琲は違うんだ。」
思わず、責め口調で問い詰めてしまったことを悔やんでいた節子さんは、毎日仏壇にレギュラーコーヒーをお供えしている。
だが、今回当たったコーヒーマシーンは、ひょっとしたら美味しい珈琲を飲みたい、という亡きご主人の思惑なのではないか、という気がしたのだそうだ。
なので、毎朝、とはいかないまでもご主人のための一杯を、ドルチェグストで淹れてあげよう、と思い直したのだとか・・
先日、危うく事故に遭いそうになったとき、からくも難を逃れた節子さん。
本人は、ご主人が守ってくれたのでは、という気がしたらしい。
本来、お姑さんの面倒をみるはずだった跡取りのお嫁さんが、離れてしまい、看るはずの無かった節子さんが、愚痴りながらもお姑さんの面倒を看ている。
ひょっとしたら、空の上からご主人が、節子さんに
「申し訳ない・・」と手を合わせているのかも。
昨日、金婚式を迎えられた天皇陛下は、皇后陛下に感謝状を、とおっしゃられた。
声を詰まらせながら、奥様である皇后陛下への感謝の気持ちをおっしゃる陛下のお姿は、どんな主義主張をもつものにも素直に心に響かせるものがあった。
節子さんが、ツイているその裏には、ご主人の節子さんに対する感謝がこめられているのかもしれない。
もうすっかり自分の知人のような気がしていましたが、今回のお話を読んで心にとても響きました。
節約のお話はおいといて(苦笑)節子さんのご主人への思いや周囲への感謝の気持ちは、私の周囲に居る人からは聞くことがないですし、私自身もそういう面が欠けている人間だなぁと実感させられます。
これまでの人生経験の賜物なのかも知れませんね。
上手く表現できなくてもどかしいのですが、意識できただけでも記事を読んだ意味があった気がします。
確かに、金銭的な部分や、教養的部分にちょっといらつくこともある節子さんなのですが、アプリコットさんがおっしゃるとおり、私も周りに居る人からそういうことを聞くことはないし、自分自身にも欠けていることで、反省したり考えさせられたりすることがよくあります。
奥さんが、身の回りに構わないことや、教養を身につけようとしないこと、亭主関白でいることに平気だったご主人のことを、私は密かに軽蔑していたところがありました。
でも、それは節子さんの口から見える部分だけであって、本当は節子さんが言うように、彼女を見守り感謝していたのかもしれないなぁ、という気がしてきています。
いろいろな夫婦の形がありますね。
いずれにせよ、お互いを大事に思い、尊重していく姿勢が大切なのだなぁ、って思いました。