ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

冬はつとめて

2008-12-21 | 砂時計
遅遅として読み進めなかった本がある。
「黒十字サナトリウム」
赤い表紙と「黒十字」「サナトリウム」という背表紙におどる単語の魔力に惹かれて図書館で借りてみたものの・・
あそうあたまになっている昨今、漢字のオンパレード、古風な固い表現、まどろっこしい装飾語に阻まれて1冊読むのに1ヶ月を要してしまった。
内容的には、面白い内容ではあったが、とにかく漢字が多かった。
就寝前にベッドで読むのだが、1ページも読めば催眠効果抜群。
電気を消すのも忘れて寝入ってしまうほどだった。

間で友人から勧められた東野圭吾を読むと、早いのなんのって。
今更ながらに作家によって、こんなにスピードが違うのか、と驚かされる。

ようやく読み終えて、さて次は何を借りようか、と思っていたところで。
図書館のメールマガジンが届く。(以下メルマガの引用)
春はあけぼの。夏は夜。秋は夕暮。冬はつとめて。 『枕草子』
「つと」は「夙」で早朝という意味です。
今の時期、6時ではまだ光は感じられず真っ暗です。川土手を
歩いていると周りが次第に薄明るくなり、そのうち空が練り色
(黄みの白、『色の手帖』(小学館)より)の薄絹を張ったよ
うな空気に包まれます。このピーンとした感覚を味わえるのは
冬だけ。『枕草子』がいう冬は早朝がいいとはこのことでしょ
うか。

高校時代、古文は好きな教科のひとつだったが、枕草子の冬はつとめて、の意味を覚えてはいなかった。
今更ながらあらためて学習する。
ほぉ・・
で、この解説文にある「色の手帖」という本が気になり始める。
ちょっと面白いかも。。
書庫から出てきた本には、昔小学校の図書室で借りた本に貼ってあった、カードの返却袋が裏表紙についていた。
昭和61年に初版が出ている。
日本古来の色の呼び名(江戸紫、古代紫というような)と、その色見本、そして古典や近代文学からの引用が載せられている。
物語を読むのとはまた違ったおもしろさ。
冬はつとめて。
身体を焦がす夏の朝日とは違う、澄んだ空気のなかを目を射るように差し込む冬の朝日に染められる、色の表現を探してみよう。


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6 コメント

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日本の色 (マーブリ)
2008-12-21 22:28:17
楽しいメールのお返事ありがとうございました!

図書館がメルマガを発行するんですね~しかも、とても気の利いた内容です。

「色の手帖」って持っていたかも?と今本棚を見てきましたが、似て非なるものでした。でも私の持っている本の中にも練り色の説明があります。絹を練ることから生れた色の名前なんていかにも日本人らしい繊細な感性ですね~
練り色の冬の朝、納得です。
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日本人らしさ (CITROEN)
2008-12-22 21:25:37
うちの街の図書館、なかなかやるな、って感じでしょ?
私もつい最近までメルマガを出しているなんて知らなかったんですが、登録して初めてメルマガがこれでした。
この本、マーブリさんはきっと気に入るんじゃないかな~。。と思いつつページを繰っています。
マーブリさんのサイトの色遣いも、いつもお洒落で、小粋で、色のコンダクターだな、と感心してしまうのです。

この本、今もあるのかしら?
裏表紙に貼られた貸し出しカードは、昭和の年号で終わっていたんですが・・
平成版を作ってくれても楽しいかも、と思うのは私だけかしら・・
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こんにちは (ame)
2008-12-23 12:51:22
以前「色の風景」という写真集で
以下、写真集の紹介文
風景の中の色、風土が醸し出す色。日本の色探しを始めませんか。
見慣れているはずの空色や水色は、季節や場所によって、さらに天候や時間によって移ろい続けます。
古くから伝わる色名を、日本各地の四季の中に探して見ました。

これを見て、こんな色名があるんだ。
日本人の感性って繊細なんだなと思ったことがありました。
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四季のある国 (CITROEN)
2008-12-23 21:05:57
ameさん、こんばんは。
わぁ、その写真集見てみたいですー!
日本人らしい、細やかな感覚を通して見た四季の移ろい、またその色の名は、狩猟民族の人たちには理解するのが難しいかもしれませんよね。
また、日本人は日本人でヨーロッパなどの深い色合いはなかなか出せないように思います。
ameさんのリンク先には、素敵な写真のHPがたっくさん。
時間の経つのを忘れて見入ってしまいました。
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写真集は (ame)
2008-12-24 18:59:22
京都の青菁社から出ている
日本語と色の風景シリーズ
写真、文・野呂希一/文・荒井和生
A5判176頁(暦の風景192頁、日々の風景208頁)定価各2.940円(税込)
の中の一種で「色の風景Ⅰ」という写真集です。

以前、写真に携わる仕事をしていて、ブックマークの写真家の方々やこの写真集の
作家さんとはお仕事をさせていただいてたんです。

仕事がら、美しい日本風景の写真(特に北海道)を見ながら、
そしてその場に出向き自分の目で確かめたりして、
日本もやるな。北海道ってたいしたもんだ。と、とても誇りに思ったりしたものでした。
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ありがとうございます (CITROEN)
2008-12-24 22:27:12
ameさん、こんばんは。
わざわざご親切にありがとうございました。
図書館や本屋さんをのぞいてきてみます。

それにしてもいいですね!
写真に切り取られた美しい景色を肉眼で確かめに行ける、なんて。。
自分の住むところを誇りに思えるって、とても素晴らしいですー!!
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