夫婦喧嘩の火種

同僚節子さんが、早朝に犬の散歩に出かけたときのことである。
見ると、よその家の庭で散水用の水がジャブジャブ出しっぱなしになっている。
「うわぁ、もったいない。」
と思わず駆け寄り水を止めたらしい。
ただ、よその家の水道を庭に入って勝手に止めたりしたものだから、あとで何かを言われてもいけないと、
「水が出しっぱなしになっていたので、止めておきました」
とメモに走り書きをしてポストに入れて帰ってきた。

で、節子さんはふと、そのことが気になり始めた、というのである。
何が？
と聞けば、節子さんがメモを残したことで、それが元で夫婦喧嘩になりはしないか？と。
つまり、もし、奥さん、ご主人、どちらかがうっかりして出しっぱなしにしていたのなら、それをやっていないほうが
「もったいない！ぼやぼやするな」と責めて、けんかになるのじゃないか？というのである。
いかにも節子さんらしい発想である。
節子さんのご主人は、かなり細かい人だったらしく、「うっかり」とか「忘れてた」とかいうのを認めないひとだったらしい。
なので節子さんは、常にご主人の顔色を伺いながら生活していたし、うっかり、ぼんやり、というのを極力しないように心がけていたそうだ。
だから、咄嗟にそういう発想がわいたのだろう。
我が家ならどうか？
「ふーん・・どうりで夜中の間涼しかったはずや」
くらいで夫はのんきに受け流しただろう。

苦労性の節子さん
苦労の数々の裏には、こういう本人の気の回しすぎということもあるんじゃなかろうか。
と思う私は鈍感すぎる人間なのかも。。。
いずれにしても、節子さんが心配するようなことは起きちゃいないと思うんだけどね。