梅雨独特のじめっとした蒸し暑い一日だった。
交差点で信号待ちをしていると、前に和服姿の女性が立っている。
白い紗の着物に、藍色の保多織りの帯を貝の口にしゃらりと結んでいる。
艶やかな黒髪をさりげなくアップにして、日傘をさしている。
着物の袂から見える腕は透き通るように白く、静脈が浮き出て見える。
目を射る様な夏の陽射しの中、その人は輝いている。
周りをとりまく、粘りつくような湿気が、そこの部分だけ . . . 本文を読む
甥っ子がおたふく風邪になった。
とりあえず、我家に近づくべからず、と禁止令を発布する。
身近で流行り病がでると、急に子どもの予防接種のことが気になり始める。
はて。
うちの息子は、何と何を受けさせていたのだろうか?
どうも記憶が曖昧である。
自分の歩んできた人生のシーンは、色々と鮮明に思い出せるのに、こと息子の(たった一人しかいないこどもであるのに)ことに関してはかなり記憶が不鮮明である。
母子手 . . . 本文を読む
朝、通勤途中でお年寄りの群団に会う。
あるマンションの一階にある事務所に集結している。
何か?と思えば年寄り相手の健康食品の販売である。
2週間ほど、どこかの事務所を借り受け、洗剤やサラダ油、お醤油などなどの日用雑貨を1円とか、100円とかの破格値で売る。
その後、布団や健康食品など値段があってないようなものに、びっくりするくらい高額の値をつけて売りつける商法である。
決まっているのは、ヤンキーあ . . . 本文を読む
今日は夫の47回目の誕生日である。
若い頃には、身に着ける物(例えばシャツやネクタイ、ベルト、財布など)を贈り、二人でちょっと張り込んだ外食をしていたものだ。
しかし子どもが生まれ、エンゼル係数がぐんぐん上がるにつれ、夫婦のものは後回しになり、お互いそういった贈り物のやりとりをするのも面倒になってしまった。
この最近は、好物を食卓に供し、いつもより少し上等のお酒を買う、というようなことでごまかすこ . . . 本文を読む