プロアマ問わず、およそ相撲を志す方のなかで「四股を一度も踏んでない」という人は皆無と断じてよいでしょう。
四股はずっと昔からあらゆる機会をとらえ、数々の有識者が「相撲において四股は、基本であり究極でもあるトレーニング」みたいなことを説いています。
ワタクシもレスリング修行を開始したとき、師匠に勧められて始めた「トレーニングとしての四股」でしたが、若い頃には様々なトレーニングに目移りしてしまい、本気で四股を踏み始めるようになったのは3年くらい前からとなります。
これまで、さまざまに「脚のトレーニング」なるものを実施し、スクワットでもそれなりの重量(200キロ×5×●セットとか)を扱えてはいましたが、「下半身が安定した感覚」を得ることは全くと言っていいほど、できていませんでした。
ところが「きちんとしたやり方」に気を付け、1回1回を丁寧に心掛け、本気で四股を踏み始めたところ、踏み始めてから1か月少々で腰回りの肉付きが明確に変化し、高重量スクワットではほぼ得られなかったいわゆる「腰が据わった状態」になったことに非常に驚くと同時に、これまでワタクシが踏んでいた四股は、「やじろべえの四股」(後述)であり、何の意味もない足の上下運動だったのだ_| ̄|○と、深く反省したのでした。
そんな四股というすばらしい(と個人的に思う)トレーニングですが、相撲、あるいは「ジャケットを着ない」組技系格闘技では重要視されているものの、それ以外ではかなり軽視、あるいは見向きもされていません。
その理由はおおむね、下のようなものでしょう。
「1回ごとの負荷が軽すぎて、トレーニング効果がない。脚を鍛えるならバーベルスクワットでもやったほうがいい。」
これは一見正論のようですが、「四股というトレーニングに込められた真意」に気づけば「かなり粗雑な意見」としか言えません。
なぜ「スクワットでもした方がマシ」をあえて「粗雑」と表現したかということも踏まえ、今回はそんな「単純だけど難しい」「効果がないようで、実はスゴい」トレーニング・四股の効能について考えることと致しましょう。
(以下、四股の効能などにつき「調査研究したことを箇条書きで並べていく」方式でお話ししていきます。)
【四股で鍛えられるもの① 全身の「つながり」の強化】
現在はレジスタンストレーニング(巷間「ウェイトトレ」と呼ばれるもの)に親しむ人が増えたため、「フォーカスすべき筋肉を決め、その筋肉だけに可能な限り負荷を与えることができるトレーニング」≒「良いトレーニング」という考え方が人口に膾炙しています。
そうした「レジスタンストレ」のメガネをかけて四股を眺めますと、全てが「レジスタンストレ」の理屈の真逆を行っています。
四股はずっと昔からあらゆる機会をとらえ、数々の有識者が「相撲において四股は、基本であり究極でもあるトレーニング」みたいなことを説いています。
ワタクシもレスリング修行を開始したとき、師匠に勧められて始めた「トレーニングとしての四股」でしたが、若い頃には様々なトレーニングに目移りしてしまい、本気で四股を踏み始めるようになったのは3年くらい前からとなります。
これまで、さまざまに「脚のトレーニング」なるものを実施し、スクワットでもそれなりの重量(200キロ×5×●セットとか)を扱えてはいましたが、「下半身が安定した感覚」を得ることは全くと言っていいほど、できていませんでした。
ところが「きちんとしたやり方」に気を付け、1回1回を丁寧に心掛け、本気で四股を踏み始めたところ、踏み始めてから1か月少々で腰回りの肉付きが明確に変化し、高重量スクワットではほぼ得られなかったいわゆる「腰が据わった状態」になったことに非常に驚くと同時に、これまでワタクシが踏んでいた四股は、「やじろべえの四股」(後述)であり、何の意味もない足の上下運動だったのだ_| ̄|○と、深く反省したのでした。
そんな四股というすばらしい(と個人的に思う)トレーニングですが、相撲、あるいは「ジャケットを着ない」組技系格闘技では重要視されているものの、それ以外ではかなり軽視、あるいは見向きもされていません。
その理由はおおむね、下のようなものでしょう。
「1回ごとの負荷が軽すぎて、トレーニング効果がない。脚を鍛えるならバーベルスクワットでもやったほうがいい。」
これは一見正論のようですが、「四股というトレーニングに込められた真意」に気づけば「かなり粗雑な意見」としか言えません。
なぜ「スクワットでもした方がマシ」をあえて「粗雑」と表現したかということも踏まえ、今回はそんな「単純だけど難しい」「効果がないようで、実はスゴい」トレーニング・四股の効能について考えることと致しましょう。
(以下、四股の効能などにつき「調査研究したことを箇条書きで並べていく」方式でお話ししていきます。)
【四股で鍛えられるもの① 全身の「つながり」の強化】
現在はレジスタンストレーニング(巷間「ウェイトトレ」と呼ばれるもの)に親しむ人が増えたため、「フォーカスすべき筋肉を決め、その筋肉だけに可能な限り負荷を与えることができるトレーニング」≒「良いトレーニング」という考え方が人口に膾炙しています。
そうした「レジスタンストレ」のメガネをかけて四股を眺めますと、全てが「レジスタンストレ」の理屈の真逆を行っています。
どこの筋肉にフォーカスしようとしているのかわからない、負荷は全然ない(ように見える)、たくさん踏むから時間ばっかりかかって非効率的…
「四股なんて前近代的な因習だ」と切り捨てる人が、「四股不要」と主張する原因がこれなんですが、よくよく考えますと、一見正論に見えるこの意見は「『レジスタンストレ』というメガネをかけているだけの意見」ということがわかります。
四股は「レジスタンストレ」というメガネを外した時、初めて見えてくるものがたくさんありますし、なんと驚くことに「レジスタンストレ」の大原則を抑えまくっている点もあります。
そのうち最大のものは何かといえば…「全身のつながりを強化すること」です。
骨盤周辺は、二足歩行という、他の生物には見られない歩行形態を司るための様々な筋肉・腱・神経が集中しています。
「世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑」(きまたりょう・KADOKAWA)によりますと、骨盤付近は
①内転筋~鼠径部~腸腰筋を「大動脈」とする人体の「前のつながり」
②ハムストリングス~骨盤の中~背骨前面を「大動脈」とする「後ろのつながり」
③頭蓋骨の下~心肺の筋群~いわゆる腸腰筋~内転筋のつながりによって立位を維持する「深層のつながり」
の一大大動脈となっています(ほかにもいろいろありますが、長くなるので省略)。
これら①~③の「つながり」を強化するには、理屈からいえば「上記①~③に関連する筋群を強化すればいい」なのですが、こうした「つながり」を維持するための筋肉、とくに骨盤周りにくっついている筋肉はは体の奥深くにあるうえ、小さく細かいものばかりで、冒頭に掲げたような「フォーカスして、意識して…」という鍛え方が略不可能。
四股は「レジスタンストレ」というメガネを外した時、初めて見えてくるものがたくさんありますし、なんと驚くことに「レジスタンストレ」の大原則を抑えまくっている点もあります。
そのうち最大のものは何かといえば…「全身のつながりを強化すること」です。
骨盤周辺は、二足歩行という、他の生物には見られない歩行形態を司るための様々な筋肉・腱・神経が集中しています。
「世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑」(きまたりょう・KADOKAWA)によりますと、骨盤付近は
①内転筋~鼠径部~腸腰筋を「大動脈」とする人体の「前のつながり」
②ハムストリングス~骨盤の中~背骨前面を「大動脈」とする「後ろのつながり」
③頭蓋骨の下~心肺の筋群~いわゆる腸腰筋~内転筋のつながりによって立位を維持する「深層のつながり」
の一大大動脈となっています(ほかにもいろいろありますが、長くなるので省略)。
これら①~③の「つながり」を強化するには、理屈からいえば「上記①~③に関連する筋群を強化すればいい」なのですが、こうした「つながり」を維持するための筋肉、とくに骨盤周りにくっついている筋肉はは体の奥深くにあるうえ、小さく細かいものばかりで、冒頭に掲げたような「フォーカスして、意識して…」という鍛え方が略不可能。
この「不可能」を可能にするための模範解答が「脚を大きく上げる」という動作です。
足に強い外旋をかけた状態(いわゆる「腰が割れている」状態、空手でいう四股立ち、レジスタンストレなら「ワイドスクワット」の形)から、更に外旋をかけつつ、ゆっくり足を上げる動作は「つながり」を発動させるために必要な、骨盤付近の細かい筋肉をフル稼働させますので、それら細かい筋肉が強化されることはもちろん、そこに繋がる①~③の筋肉も鍛えることができる…つまり「全身のつながり」自体を強化することができるというわけです。
また、この「足を上げる動作」には筋トレの7原則でいう「意識性の原則」…これは「筋トレは鍛えたい部位に意識を集中させないと、効果が得られない」というものですが、まさにその「意識」を股関節に持っていく大変大きな効果があります。
四股初心者は、(かつてのワタクシの四股のように(;^ω^))全身の重心バランスを取るだけの「やじろべえの四股」しか踏めませんが、熟練者は片足を上げた状態であっても、ビクともしない安定感があります。
これこそが「股関節に意識性が向いている」何よりの証左であり、四股の効果が具現化したものといえます。
このように、四股は「全身のつながりを、ごく単純な動作で鍛える」ことができるという点に関して言えば、各種スクワットより何百倍も優れた運動であり、四股のいちばんの凄みは而して、この点にあります。
(「その2」に続きます。)
八重山に5年間いた際、沖縄県外の人が見ることができない「空手の歴史」関係の本を読む幸運に恵まれたのですが、当然といえば当然のことながら、古い沖縄の
「手」には四股立ちなどというものはありませんでした。
それらを読みまわしてわかったのは「まずナイハンチ立ちありき」。
これこそが古い沖縄の空手の基本にして究極、でした。
古いナイハンチの足幅は「スネの長さ+拳1つ分」が厳守されていましたが、それをやたらと広くして、下半身の鍛錬効果を上げようと最初に考えたのは船越儀珍先生の息子・義豪先生という説がありますが(諸説あり)、むかしの日本伝武道は「技を鍛えることと体を鍛えること」がワンセットであり、「筋肉を増やすために道場稽古以外のトレーニングをやる」という意識自体がありませんでしたから、指導する側がナイハンチの足幅を変えてみたり、古い沖縄の空手には存在しない「四股立ち」なるものを開発したりして、少しでも鍛錬効果を上げようという努力をしたのは、当然というか、仕方なかったというか…
もうすこし四股について深堀りしたいと思いますので、お付き合いいただけるようでしたら、よろしくお願いいたします。
お帰りなさいませ(^^)
四股のお話、なんとなく感じたことに
腑に落ちるお言葉ありがとうございます
ブログ主さまのまえにあった沖縄拳法の
ナイハンチについて考察や、キメの瞬間に
腰が安定し反作用を完璧に地面に
伝えるためにはどうすればよいか、ここ
何年か考えたことを連想しました
腸腰筋の付け根が鳩尾の奥にあるのを
意識してやってみます
○水艦で勤務してたときは
音を立てないトレーニングとして
やりましたが、ヤジロベー運動でした💦
具体的な感覚のお話
本当に参考になります
ありがとうございます😊
次回投稿以降、少しずつ掘り下げを行いますので、まだお読みいただけるようでございましたら、お付き合いよろしくお願いいたしますm(__)m。
あ、これは余談ですが、鹿児島に移住してからようやく、東郷の示現流(上士向け示現流)と薬丸の示現流(下士・郷士向け示現流)の稽古やその形態に、わずかに触れる機会を得ました。これについても今後、掘り下げていきたいと思います。