時のしずく

COCCOのフォトダイアリー

怒涛の琳派! 第二弾  「燕子花と紅白梅 光琳アート展」  -MOA美術館

2015年02月21日 15時29分03秒 | 美術・工芸

今年は琳派にとって区切りの年なので、全国でたくさん琳派の展覧会が開かれます。

「怒涛の琳派!」として、第一弾は琳派と深いつながりのある日本橋三越で開催された『岡田美術館所蔵 琳派名品展』をレポートしましたが、そのあとも友人を誘って、2月に第二弾、第三弾と琳派の展覧会を見てきました。

自分の心に響く作品は見てると、背中がゾクゾクしたり、知らない間に口元がゆるんだりしてしまいます。理屈じゃなく、体が感動します。「怒涛の琳派 第二弾、第三弾」も、背中がゾクゾクの連続でした♪

 

怒涛の琳派!第二弾  『燕子花と紅白梅 光琳アート展』

 2015年 2月8日(日) 

 熱海市、MOA美術館

ずっと見たかった尾形光琳の国宝「紅白梅図屛風」、ずっと行きたかった熱海市のMOA美術館、どちらも2月8日に実現しました!

MOA美術館で、尾形光琳の代表的な国宝2点が一挙に展示されるという、琳派LOVE人には夢のような展覧会「燕子花と紅白梅 光琳アート展」が開催されました。

MOA美術館は作品の収蔵量も多く、建物や庭も素晴らしい美術館と聞いていましたが、東京から遠いので、これまで行くのを躊躇していました。今回は、代表的な収蔵品の国宝「紅白梅図屛風」と合わせて、同じ光琳の代表作で、根津美術館の収蔵品、国宝「燕子花図屛風」も同時に展示するということで、熱海までがんばって行ってきました。

初めて実物を見た「紅白梅図屛風」は、凛としていて品格の高さを感じました。図録やテレビで見ていたときには感じられなかった高貴な雰囲気が画面から漂っていました。

下地の金の処理もすごいし、梅や川の絵に光琳の技量が光っています。それに何といっても大胆で斬新な構図にタメ息ものでした。・・・言葉ではうまく説明ができないのですが、本当に近寄りがたさが感じられる絵でした。

根津美術館の収蔵品国宝「燕子花図屛風」はこれまで、根津美術館で何回か見ていますが、こうして「紅白梅図屛風」向かいに展示されていると、これまでよりも、さらにこの屏風のリズミカルな絵の調子とか、軽快さが強く感じられまいた。

 

これ1点だけでも遠くまで行って良かったけど、それだけじゃありませんでした。

宗達から現代作家まで、たくさんの作品で琳派の流れが分かりやすく展示されていました。

今回の展覧会で一番背中がゾクゾクしたのは、加山又造の群鶴図です。

ここ5年くらい、日本画で描かれる鳥が大好きになっています。鳥は単に鳥を写生したのではなく、作者の思想や主義、意志等々、いろいろな内面が投影されています。書物などと違って、一見しただけで、それらが私に向かって一挙に押し寄せてきます。群鶴図の鶴たちが語らずして、本質的なことを私に見せつけているような気がするのです。(ごめんなさい。思いをうまく伝えるすべを知りません。) 

会田誠の「群娘図’97」も面白かったです。(会田誠の2012年12月に森美術館で開催された個展「会田誠展: 天才でごめんなさい」を見逃して自他踏んでいたので、ちょっとだけ見られて嬉しかったのもあります。)

会田誠にも琳派の血が流れているんだなぁと、作品の前でしみじみしてしまいました。

ランチにおいしいお魚の定食を食べて、帰りに展望日帰り温泉に寄って贅沢な一日でした。

 

 

●国宝 紅白梅図屛風 尾形光琳 MOA美術館蔵

白梅の樹幹の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面いっぱいに描き左右対照の妙をみせ、中央に水流を配し末広がりの曲面をつくり上げた構図は光琳の独創といえる。後に光琳梅として愛好される、花弁を線描きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられるたらし込み、卓越した筆さばきによる水紋などすぐれた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えている。(MOA美術館HPから)

 

●国宝 燕子花図屛風 尾形光琳 根津美術館蔵

『伊勢物語』第九段東下りの八つ橋に取材し、金地に群青と緑青の2 色でカキツバタを描いている。同じ花群を反復して画面が構成されており、型の使用が推測される。右隻の花群の根元や左隻の花の上辺はジグザグ状をなしリズム感を出している。(MOA美術館HPから)

 

●群鶴図 加山又造 キリンホールディングス株式会社蔵

又造は、日本美術の伝統である様式化とそこからくる装飾的表現を、古典に立ち戻り自らの作品に試みている。本図は、光琳、抱一、其一と継承された群鶴図をモチーフとし、単純な配色を避けるため絵絹(えぎぬ)に厚めのプラチナ箔を貼った下地を用い、胡粉と墨、金、深紅朱によって丹頂鶴の優雅さを表現している。北海道釧路の雪原で百羽ほどの丹頂鶴を間近にした作者の感動をもとに、長年の構想によって制作された。(MOA美術館HPから)

 

●群娘図’97  会田誠 個人蔵

作者本人の言葉を借りれば「ノーマン・ロックウェルの風俗的リアリズムと尾形光琳の意匠的様式化が渾然とした、海のものとも山のものともつかない珍妙なイラストレーション」とのことだが、東京の女子高生と修学旅行中の地方の女子中学生を横一列に置く構図は「燕子花図」に借りたものであり、「群娘」と書いて=「群青」と読ませ、「燕子花図」を想起させる。女子中高生好みの、サンリオやディズニーのキャラクターを刷り込ませている。(MOA美術館HPから)


今日の一花 イヌノフグリ+one

2015年02月20日 17時00分40秒 | 植物

幼いころ、野原で遊んでいて、小さな青い花をたくさん見つけると、春が来たと感じたものでした。その春を告げた野の花がオオイヌノフグリ (学名:V. persica)でした。

大人になってから、こんな可愛い花が犬のフグリ(陰嚢)なんていう名前だなんてひどいと思ってました。名付け親はどうもあの牧野富太郎博士らしい。種子がフグリの形に似ているらしいからだそうです。

ずっと、私は「オオイヌフグリ LOVE♡」でした。 

そして、最近になって、このオオイヌフグリは、明治時代に日本にやってきて、あっという間に大増殖した外来種と知りました。

そういえば、オオイヌフグリの花の色は確かに外来種の「鮮やかすぎる青」です。子供の時にこんなに小さな花なのに、目に入ったのは外来種独特の鮮やかな青だからでした。 

それでいろいろと調べてみたら、オオイヌフグリが増えて、在来種のイヌノフグリ(学名:V. polita ssp. lilacina)がたいへん少なくなっているそうなのです。(古い時代に帰化した外来種とも考えられている。)環境省のレッドデータブックでもイヌノフグリは絶滅危惧II類に指定されていました。

イヌノフグリって、どんな花と思って情報をさらに集めていたら、先日会うことができました!とーっても小さい花です。直径が3mm程度しかありません。百円玉と比べた写真を見て、野の花の友人は「百円玉が百万円玉に見える。」なんて言ってました。

実はイヌノフグリと会った日に、ミスミソウやセツブンソウ、フクジュソウなどスプリングエフェメラル(春の妖精)と呼ばれる貴重な花にも会えたのですが、それより、ずっと、ず~と嬉しかったです。

ミスミソウやセツブンソウは他の人たちも写真を撮っている人がたくさんいましたが、 イヌノフグリの周りにはだれもいませんでした。ごくごく小さい花がまだ1輪しか咲いていなかったのですから、仕方なかったのかもしれません。それにイヌノフグリの花の時期としても早すぎではあったのです。

それにしても、知る人ぞ、知る花・・・山野草好きのマニアな心を揺さぶります。

めちゃくちゃ、可愛い ♡ この米粒のようなイヌノフグリ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡

大人になって知った小さな小さな春の花です。

●これが百万円玉だ!


 

【データ:イヌノフグリ】

 

イヌノフグリ(犬の陰嚢、学名Veronica polita var. lilacina)は、オオバコ科[3]クワガタソウ属越年草

 

和名の由来は、果実の形状が雄犬の「フグリ」、つまり陰嚢に似ていることから、牧野富太郎が命名した[4]。(果実が二個の球をつけたような形で,犬の睾丸(陰嚢)似ていることから,古人からイヌノフグリ-犬陰嚢-と名づけられていた。)

 

は立つか、少しねる[5]は卵円形[6][7]。3月から5月にかけて、淡いピンク色をした3~5mmのをつける。花弁には紅紫色のスジが入る。

 

東アジアに広く分布し、日本では本州以南に見られる在来種(古い時代に渡来した帰化植物である可能性あり)であり、かつては路傍畦道などで普通に見られた雑草であった。

 

しかし、近年は近縁種の帰化植物であるオオイヌノフグリにその生育地を奪われたほか、育成地自体も人間の開発行為によって減少しているために数を大幅に減らしている。

 

環境省レッドデータブックでは絶滅危惧II類 (VU) に指定されている。

 

●イヌノフグリの種子には、エライオソームというアリが好む物質(付属物)があり、アリ散布として知られている。

 

●高浜虚子はこんな歌を詠んでいる。

 

 「いぬふぐり 星のまたたく 如くなり」     

 



<おまけ>フラサバソウ

イヌノフグリの仲間にはオオイヌフグリ以外にも、フラサバソウ(Veronica hederifolia)やタチイヌノフグリ(V. arvensis)などがあるそうです。

イヌノフグリを撮った帰り道、野川の沿道でフラサバソウにも出会えました。これはイヌノフグリよりさらに小さな花です。この花は3年ぐらい前から見つけていましたが、名前が分かりませんでした。

フラサバソウもオオイヌフグリと同じく、明治時代に日本に来た帰化植物ですが、これもあまり出会えない花なので、見つけると嬉し~い花です。

ヨーロッパ原産で日本で最初に帰化したのを見つけた二人のフランス人植物学者の名前にちなんで、植物学者・奥山春季が和名をフラサバソウと命名したそうです。この二人のフランス人植物学者は アドリアン・ルネ・フランシェ( Adrien René Franchet、1834年4月21日 -1900年4月15日) と ポール・アメデ・ルドヴィク・サバティエ(Paul Amédée Ludovic Savatier, 1830年10月19日 – 1891年8月27日)。フランシェさんとサバティエさんから名前をもらったハイカラさん♪です。イヌノフグリさんとはえらい違いですね。


ふふふ・・・昨年、一昨年はスプリングエフェメラルにはまってましたが、今年は イヌノフグリの仲間達の『小さな花の世界』にはまりそうです。

 


怒涛の琳派! 第一弾  「岡田美術館所蔵 琳派名品展」

2015年02月15日 16時05分51秒 | 美術・工芸

今年は、琳派の祖、俵屋宗達と本阿弥光悦が徳川家康から京都鷹ヶ峯の土地を与えられ、その地で芸術サロンとも呼ぶべき「光悦村」を作り、創作を始めてから400年の年だそうです。また、琳派の名前の元ともなった尾形光琳が亡くなってから300年の記念の年でもあるそうで、全国の美術館で琳派の特別展がたくさん開催されます。

どこかモダンデザインに通じるところのある琳派の作品は、現代でもとても魅力的で、時がたっても色あせないどころか、今にこそ活きる気がします。

それで今年は、関東で開催される琳派の特別展はできる限り見ようと、関東の美術館のスケジュールをチェックをしました。こんなチャンスを逃したら、本当にもったいない!

そのcoccoの『怒涛の琳派 第一弾』となる、日本橋三越で行われている岡田美術館所蔵琳派名品展」に1月28日行ってきました。(2週間以上たってからのアップごめんなさい。)

2013年に開園した岡田美術館の収蔵品だけで構成されていたのに、琳派の様式が固まる前にその予兆が感じられる古典から、琳派を流れを継いだ現代作品まで系統立てて展示されていて、とても面白かったです。

琳派は絵だけではなくって工芸品も多いので、日本画も漆器などの工芸品もあって、バラエティーに富んでいます。

今回の展示のメイン作品は↓尾形光琳の雪松群禽図屏風」でした。構図の巧みさと鴨の生き生きとした描写にうっとりでした。

 

でも、私が一番印象深かった作品は「花卉に蝶摺絵新古今集和歌巻」です。やっぱり、下絵・俵屋宗達、書・本阿弥光悦の作品は、見ていて音楽を聴いているような錯覚に陥ります。・・・大好きです(笑)

実は京都国立博物館収蔵品で重要文化財に指定されている「鶴図下絵和歌巻」が琳派マイべストなんです。同じ下絵・俵屋宗達、書・本阿弥光悦で別の作品を見られると思っていなかったので幸せでした。

ただ、この絵は「 鶴図下絵和歌」と違って、下絵といっても 宗達が筆で書いたのではなく版画でした。竹の絵と藤の絵に和歌が書かれていましたが、版画ゆえに藤の花が少し盛り上がっていて厚みが感じられ、絵のリズムが強調されているようで、これはこれで面白かったです。巻物で、今回は巻かれていて見えなかったところに蝶の絵もあるので、次は岡田美術館で蝶の部分を見たくなりました。

 

それと塗りの小箱の「光琳蒔絵 蜻蛉蒔絵螺鈿合子」も小品ながら秀逸でした。螺鈿と蒔絵でトンボなどが描かれていましたが、形といい、絵といい・・・う~まいとしか言いようがない作品でした。ヨーロッパのアールヌーボーの作家たちがこんな日本の小箱に心奪われた気持ちが分かる気がしました。時代の古い新しい、文化の違いなんか軽~く超えてしまう魅力があります。 

2013年に開館したばかりで全然知らなかった岡田美術館ですが、とっても素敵な環境のところに、センスが良い建物があるようです。こんなに収蔵品も充実しています。しかも、昨年、話題になった喜多川歌麿の「深川の雪」も4月からまた展示されるそうです。見逃して残念に思っていた「深川の雪」を見に行きましょう♪


菜の花忌

2015年02月13日 10時23分09秒 | 植物

2月12日は 司馬遼太郎の命日「菜の花忌」。

先日お鍋に入れそうと思って、スーパーで菜花を買い求めましたが、ほころび始めた蕾のある一本をどうしてもお鍋に入れられず、花瓶に入れました。

愛おしい菜の花、 司馬遼太郎 さんに捧げましょう♪

昔、高知市の高川川の河原でたくさん菜の花を摘んで花束にして、プレゼントにしたことがあります。生成り色の和紙にくるんで、花と同じ黄色いリボンを結んで・・・また、そんなこと、やってみたい♪


2015年2月の野川公園 -春の妖精たちがゾクゾクと登場-

2015年02月12日 21時17分47秒 | 植物

先日、野川公園自然観察園に行ってみたら、黄色の花弁が華やかなフクジュソウやミスミソウ(別名:雪割草)などのスプリングエフェメラル(春の妖精)と呼ばれる花が咲き出していました。少し前からセツブンソウやザゼンソウも咲いていて、自然観察園にはゾクゾクと可愛い妖精たちが現われています♪ 

ところで、最近、幼い時に大好きだったオオイヌフグリが明治に入って大繁殖した帰化植物と知りました。そこで、絶滅が危惧されている在来種(古い時代の帰化植物とも考えられている。)のイヌノフグリを探したところ、園内に一輪だけ咲いているのを見つけて感激!これからたくさん咲きそうです。
さらに帰り道の野川の沿道で、同じ仲間のフラサバソウを見つけて、さらにワクワクでした♡  (イヌノフグリもフラサバソウも直径3mm程度のごく小さい花です。)

今年はイヌノフグリの仲間に夢中になる予感がしてます!

 

●フクジュソウ(キンポウゲ科)

 

 

 

●ザゼンソウ(サトイモ科)

 

 

 

●ミスミソウ (キンポウゲ科)

 

 

●イチゲ(?)(キンポウゲ科)

 

●セツブンソウ(キンポウゲ科)

 

 

●イヌノフグリ (オオバコ科)

●百円玉と比べてみました。とっても小さい花でしょ。

●フラサバソウ これは園外の野川の沿道で撮りました

 

※フラサバソウはイヌノフグリの仲間です。日本で最初にこれを見つけた二人のフランス人植物学者の名前から命名されたそうです。