オキナグサが咲き出しました。
野の花のグループのSNS に「翁草と言う名だけど、花の時期は紫とシルバーのベルベットのドレスをまとった妙齢の女性のように見えるのは私だけでしょうか?」と書いたら、グループの友人たちが、
「韓国では『おばあさん(ハルミッコ)』という名なんです。」とか
「信州松本では稚児の頭を連想して『ちごちご』って言います。」という素敵な情報をくれたり、「『貴婦人草』が似合う。」、「『お嬢さん草』もあり。」とか、名前を巡ってワイワイと・・・♪
ちなみに牧野富太郎博士は、白い長い種子の集りの姿に惹かれたようで、その姿をスケッチしてます。(下の2枚目の写真は2014年5月に高知県立牧野植物園で撮影しましたが、写真にうつっているのが牧野御大のスケッチです。)この姿が翁草の名の由来になってます。
『ちごちご』って言う名前を教えてくれた松本の方も、「昔は田んぼの土手などに自生していたようですが、今はまったく見ることができません。」と書いていたように、ちょっと前までは、自生地ではどこでも気軽に見られた花ですが、現在では環境庁レッドデータブックで絶滅危惧II類(VU)に指定されています。皆に愛されていた花が、絶滅の危機にあるのは悲しいですね。
【データ】
オキナグサ(翁草、学名: Pulsatilla cernua )は、キンポウゲ科オキナグサ属の多年草。
根出葉は2回羽状複葉で、長い柄をもち束生する。小葉はさらに深裂する。茎につく葉は3枚が輪生し、無柄で基部が合着し、線状の裂片に分裂する。葉や花茎など全体的に白い長い毛におおわれる。花茎の高さは、花期の頃10cmくらい、花後の種子が付いた白い綿毛がつく頃は30-40cmになる。花期は4-5月で、暗赤紫色の花を花茎の先端に1個つける。開花の頃はうつむいて咲くが、後に上向きに変化する。花弁にみえるのは萼片で6枚あり、長さ2-2.5cmになり、外側は白い毛でおおわれる。
白く長い綿毛がある果実の集まった姿を老人の頭にたとえ、翁草(オキナグサ)という。 ネコグサという異称もある。
日本では、本州、四国、九州に分布し、山地の日当たりのよい草原や河川の堤防などに生育する。アジアでは、朝鮮、中国の暖帯から温帯に分布する。
かつて多く自生していた草地は、農業に関わる手入れにより維持されていた面があり、草刈などの維持管理がなされくなり荒廃したこと、開発が進んだこと、それに山野草としての栽培を目的とした採取により、各地で激減している。
草にプロトアネモニン・ラナンクリンなどを含む有毒植物。植物体から分泌される汁液に触れれば皮膚炎を引き起こすこともあり、誤食して中毒すれば腹痛・嘔吐・血便のほか痙攣・心停止(プロトアネモニンは心臓毒)に至る可能性もある。漢方においては根を乾燥させたものが白頭翁と呼ばれ、下痢・閉経などに用いられる。
宮沢賢治に「おきなぐさ」という童話がある。