5:10 利尻山の登山口「北麓野営場」まで宿の車で送ってもらう。数分で着いた。昨日のチェックイン時に「明日は山に登るので朝食は弁当で」とお願いしていたのだが、フロントに下りたら作られていなかったようで慌てた。すぐに用意してもらえて事なきを得たが。登山道の入口には水の流れる浅い槽があり、そこに靴を浸して、靴底に付着した種などを洗い落とす。山に外来植物を持ち込まないようにするため。山頂との高低差は1500m。「富士山の5合目と頂上の高低差に匹敵します」と、昨日宿でもらった登山の注意書きの紙にあった。
5:19 歩き出してほどなくして、最初で最後の水場が。「甘露泉水」。一口口に含む。
5合目を越え、山の上が見え始める。頂上ではない。
6:24 第一展望台(6合目)。ペシ岬や鴛泊の町を見下ろす。
沖合に礼文島も見える。
7:25 8合目・長官山。陽が差してきた。山頂方面を望む。
登ってきた鴛泊とは島の反対側、沓形の港町も見えてきた。
鞍部の避難小屋(赤い屋根)までいったん下り、また山頂方面へ登り返す。
7:56 9合目。小屋はトイレブース。利尻山にはトイレがない。登山者は携帯トイレを持参し、このブースの中で用を足し、登山口の回収ボックスまで持ち帰るのが「利尻ルール」。携帯トイレは町のコンビニでも売られていた(400円)。看板には「ここからが正念場」と。気を引き締めなおす。
岩陰のキキョウ。露に濡れ、瑞々しい。
山頂は靄に覆われている。
シュムシュノコギリソウ。「シュムシュ」とは異国の響きがするが、千島列島の北東端にある「占守」島のこと。
山頂に近づくにつれ、地面は脆い火山礫で覆われるようになり、崩壊が激しい。丸太で階段が造られようとしていた。
登山道は歩行と風雨でこのように大きくえぐれてしまっている。足を雑に踏み締めず、そっと置くよう心掛ける。
8:35 山頂(1719m)。靄で視界は利かない。山頂直下にあるはずの、噴出したマグマが冷えて固まり屹立した「ロウソク岩」も見えず。お社には、船舶業者が航行の安全を祈願して取り付けたという小さなスクリューがいくつか付いている。宿で作ってもらったおにぎり弁当を広げる。靄は切れず、雨が降り出した。食べ終える頃には、叩きつけるほどの降りようとなった。15分ほどの滞在で下山。登ってきた道を戻る。
雨はずっと降り続きはしなかったが、休まずひたすら下り続ける。道端に毒々しい色のキノコが。
昼までには下山してしまうほどのペース。宿に早めに帰っても退屈だ。あの、正面にポコッと突き出ている「ポン山」に登り、「姫沼」へと歩こうと思う。
ツバメオモト(燕万年青)の綺麗なブルーの実。
11:30 ポン山への分岐点。北麓野営場への下山道と分かれる。
11:42 ポン山の山頂(444m)着。利尻山を望む。利尻山頂で食べたのは「朝食」のおにぎり。今度は「昼食」のおにぎりを食べる。
利尻山の反対側には、沖合に浮かぶ礼文島が。また陽射しが出てきた。海の真ん中に聳える独立峰の利尻山、風や海流の影響で天気が目まぐるしく変わるというのは、いかにも予想がつくことだ。
ガマズミの赤い実がたわわに実っている。この実は食べられると後で知った。「ズミ」とは「酸っぱい実」から来ている、との説もあるという。お酒やジャムにもするとか。齧ってみればよかった。
サラシナショウマ(晒菜升麻)。ブラシ状の白い穂をつける。
ポン山から姫沼への道は思ったより長く、アップダウンも繰り返された。通る人もおらず、道も荒れ気味。利尻山下山後の「エピローグ」くらいに考えていたのは甘かった。体力はともかく、右膝が痛み始めた。
13:39 姫沼。湖面に映るという利尻山の「逆さ富士」が拝めない今は、「ただの池」という風情。しかも「ヒメマス放流のために造られた人造湖」と聞けば、ますます神秘性も薄れる。それでも、失礼ながら他にめぼしい観光スポットがあるわけでもない島内、観光バスのツアー客の塊が2団体ほど来ている。島をめぐるツアーはこうした場所をめぐりながら半日程度で島内を一周し、礼文島にも渡って同じことをし、「とりあえず『最北の2島』へ足跡を残せたかな」と客をひとまず満足させて、どちらか一方の島には泊まりもせずに、慌ただしく帰っていく。バスガイドが客を池の前に立たせ、「チーズ」の代わりに「はい“リシ、リー!”」と言いながらシャッターを切っている。
宿までは5kmほどあるが、歩いて帰る。
13:57 海の見えるところまで出た。鴛泊の港に礼文島からのフェリーが入る。
海岸線まで下りる。道沿いに建つ民家の外壁は、なぜかパステル調だったり、キツめの原色使いだったり、いかにも人工的だ。冬は一帯がくすんだモノトーンの世界に包まれるだろうから、それへの反発が自然と色選びに出るのかも知れない。
14:29 フェリーが港を出る。今度は稚内に向かう。先ほどのバスツアーの一行も、もうあれに乗っているのかも知れない。
15:00頃、宿に戻る。バス付きの部屋なので、汚れたズボンなどをシャワーで洗う。
風呂(温泉だ)に入って部屋で寛ぐにはまだ早い気がして、自転車を借りてサイクリングロードへ漕ぎ出す。
15:59 ポン山を望む。サイクリングロードのわりに勾配は結構キツく、立ち漕ぎなどしていると、登山で痛めた膝に来る。
昨日島へ下りた飛行機からも、山腹のこの長大な橋は見えていた。「ずいぶん立派な道が通ってるんだな…」と思ったが、まさか自転車専用道だったとは。税金が素敵に使われていると思うべきなのか、無駄に贅沢に使われていると思うべきなのか。
橋の上からはペシ岬も見下ろせる。
サイクリングロードの東側の終点(野塚展望台)まで行き、
16:28 先ほども歩いた海沿いを走り、昨日と同じ「セイコーマート」に寄って(昨日は夕食後にもデザートを買いに行ったりしたので、早くも3回目、もう“常連”だ)アイスや飲み物などを買って、合計14kmほど走り、宿へ戻る。
5:19 歩き出してほどなくして、最初で最後の水場が。「甘露泉水」。一口口に含む。
5合目を越え、山の上が見え始める。頂上ではない。
6:24 第一展望台(6合目)。ペシ岬や鴛泊の町を見下ろす。
沖合に礼文島も見える。
7:25 8合目・長官山。陽が差してきた。山頂方面を望む。
登ってきた鴛泊とは島の反対側、沓形の港町も見えてきた。
鞍部の避難小屋(赤い屋根)までいったん下り、また山頂方面へ登り返す。
7:56 9合目。小屋はトイレブース。利尻山にはトイレがない。登山者は携帯トイレを持参し、このブースの中で用を足し、登山口の回収ボックスまで持ち帰るのが「利尻ルール」。携帯トイレは町のコンビニでも売られていた(400円)。看板には「ここからが正念場」と。気を引き締めなおす。
岩陰のキキョウ。露に濡れ、瑞々しい。
山頂は靄に覆われている。
シュムシュノコギリソウ。「シュムシュ」とは異国の響きがするが、千島列島の北東端にある「占守」島のこと。
山頂に近づくにつれ、地面は脆い火山礫で覆われるようになり、崩壊が激しい。丸太で階段が造られようとしていた。
登山道は歩行と風雨でこのように大きくえぐれてしまっている。足を雑に踏み締めず、そっと置くよう心掛ける。
8:35 山頂(1719m)。靄で視界は利かない。山頂直下にあるはずの、噴出したマグマが冷えて固まり屹立した「ロウソク岩」も見えず。お社には、船舶業者が航行の安全を祈願して取り付けたという小さなスクリューがいくつか付いている。宿で作ってもらったおにぎり弁当を広げる。靄は切れず、雨が降り出した。食べ終える頃には、叩きつけるほどの降りようとなった。15分ほどの滞在で下山。登ってきた道を戻る。
雨はずっと降り続きはしなかったが、休まずひたすら下り続ける。道端に毒々しい色のキノコが。
昼までには下山してしまうほどのペース。宿に早めに帰っても退屈だ。あの、正面にポコッと突き出ている「ポン山」に登り、「姫沼」へと歩こうと思う。
ツバメオモト(燕万年青)の綺麗なブルーの実。
11:30 ポン山への分岐点。北麓野営場への下山道と分かれる。
11:42 ポン山の山頂(444m)着。利尻山を望む。利尻山頂で食べたのは「朝食」のおにぎり。今度は「昼食」のおにぎりを食べる。
利尻山の反対側には、沖合に浮かぶ礼文島が。また陽射しが出てきた。海の真ん中に聳える独立峰の利尻山、風や海流の影響で天気が目まぐるしく変わるというのは、いかにも予想がつくことだ。
ガマズミの赤い実がたわわに実っている。この実は食べられると後で知った。「ズミ」とは「酸っぱい実」から来ている、との説もあるという。お酒やジャムにもするとか。齧ってみればよかった。
サラシナショウマ(晒菜升麻)。ブラシ状の白い穂をつける。
ポン山から姫沼への道は思ったより長く、アップダウンも繰り返された。通る人もおらず、道も荒れ気味。利尻山下山後の「エピローグ」くらいに考えていたのは甘かった。体力はともかく、右膝が痛み始めた。
13:39 姫沼。湖面に映るという利尻山の「逆さ富士」が拝めない今は、「ただの池」という風情。しかも「ヒメマス放流のために造られた人造湖」と聞けば、ますます神秘性も薄れる。それでも、失礼ながら他にめぼしい観光スポットがあるわけでもない島内、観光バスのツアー客の塊が2団体ほど来ている。島をめぐるツアーはこうした場所をめぐりながら半日程度で島内を一周し、礼文島にも渡って同じことをし、「とりあえず『最北の2島』へ足跡を残せたかな」と客をひとまず満足させて、どちらか一方の島には泊まりもせずに、慌ただしく帰っていく。バスガイドが客を池の前に立たせ、「チーズ」の代わりに「はい“リシ、リー!”」と言いながらシャッターを切っている。
宿までは5kmほどあるが、歩いて帰る。
13:57 海の見えるところまで出た。鴛泊の港に礼文島からのフェリーが入る。
海岸線まで下りる。道沿いに建つ民家の外壁は、なぜかパステル調だったり、キツめの原色使いだったり、いかにも人工的だ。冬は一帯がくすんだモノトーンの世界に包まれるだろうから、それへの反発が自然と色選びに出るのかも知れない。
14:29 フェリーが港を出る。今度は稚内に向かう。先ほどのバスツアーの一行も、もうあれに乗っているのかも知れない。
15:00頃、宿に戻る。バス付きの部屋なので、汚れたズボンなどをシャワーで洗う。
風呂(温泉だ)に入って部屋で寛ぐにはまだ早い気がして、自転車を借りてサイクリングロードへ漕ぎ出す。
15:59 ポン山を望む。サイクリングロードのわりに勾配は結構キツく、立ち漕ぎなどしていると、登山で痛めた膝に来る。
昨日島へ下りた飛行機からも、山腹のこの長大な橋は見えていた。「ずいぶん立派な道が通ってるんだな…」と思ったが、まさか自転車専用道だったとは。税金が素敵に使われていると思うべきなのか、無駄に贅沢に使われていると思うべきなのか。
橋の上からはペシ岬も見下ろせる。
サイクリングロードの東側の終点(野塚展望台)まで行き、
16:28 先ほども歩いた海沿いを走り、昨日と同じ「セイコーマート」に寄って(昨日は夕食後にもデザートを買いに行ったりしたので、早くも3回目、もう“常連”だ)アイスや飲み物などを買って、合計14kmほど走り、宿へ戻る。