tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

妙高・戸隠の山 4日目 (戸隠神社と一茶記念館)

2017-09-28 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
昨夜から雨が降り続いており、当初予定していた今日の高妻山登山は早々に断念していた。近隣の宿を予約してこの地にもう1泊留まり、高妻山は明日挑むことにする。というわけで、今日は「休養日」。眠りたいだけ寝てやろうと思っていたのだが、ここ3日間で早起きの癖がついていたのか、早朝4時頃に目覚めてしまった。布団にもぐったまま、持ってきていた春日武彦『私家版 精神医学事典』を読む。暗がりで雨音を聞きながら読むにふさわしい本だった。この雨のせいか寒さを覚え、時折部屋の暖房を起動させた。朝食後も1時間ほど部屋で本を読んで過ごす。
10:06 戸隠森林植物園に車を停め、林の中を抜けて戸隠神社奥社の参道入口へ。戸隠神社には5つの社があり、今日はそのすべてを回ってみる。

この参道はおよそ2km(半里)もある。車では行けない。生半可な気持ちでは来させないようになっているところがいい。木立ちが雨粒の落下をしのいでくれているのか、傘を差さなくても歩ける。

参道のちょうど真ん中あたり。茅葺きの随神門。

随神門から先は、樹齢400年を超えるという杉並木が続く。

参道は最後に山にさしかかる。

10:37 奥社。祭神は「天手力雄命」というから、あの岩戸を放り投げて戸隠山を作ったという神だな。

奥社の隣、九頭龍社。奥社より歴史は古く、地主神として崇められていたという。

11:05 参道を随神門まで戻り、隣接する戸隠森林植物園の散策路を行く。歩く人は他にいない。木々は雨に濡れ生き生きとしている。戯れにどんぐりを1つ拾った。家で鉢に植えてみようと思う。

森林植物園から中社まで車で移動し、中社から「戸隠古道」を歩き出す。
11:50 門前の街並みはほどなくして途切れ、道は、「熊出没注意」と看板の出る森の中へ。

11:57 宝光社。「パワースポット」を囃し立て崇め奉るのはなんだかさもしい気がして興味はなく、僕は「休養日」の戸隠散歩を楽しんでいるだけだが、この戸隠の五社をこまめに回ってお参りしている人は多いようだ。

12:13 火之御子社。祭神は天宇受売女命というから、岩戸の前で舞を踊って天照大御神を誘い出した神だな。

戸隠神社の参詣道沿いの宿坊群は国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているということで、その街並みの景観に期待したのだが、残念ながら取り立てて目を奪われるようなものはなかった。ここがいちばん「それらしい」と思えた家屋。

12:48 中社鳥居前の「うずら家」で戸隠そばの昼食。戸隠そばの歴史は、平安時代、山岳修験者の携帯食としてそば粉が珍重されたことに始まるという。根曲がり竹で編まれた円形のざると、ひと口ほどの量で束ねられた「ぼっち盛り」という盛り方が戸隠そばの特徴だそうだ。生わさびをすりおろして食べる。コシのある美味しいそばだった。

13:09 昨日に続き再び中社に参る。社殿の裏手には滝が流れていた。

昨晩観光ガイドマップを見ていて、小林一茶が戸隠の隣町・信濃町の生誕であることを知った。その記念館があったので立ち寄る。宿のチェックインまでの時間潰しのつもりで展示物を丹念に眺めた(上映していたビデオさえ片っ端から見た)ら、思いのほか時間が経った。生涯で遺した俳句は2万句。52歳で一茶については帰宅後にあらためて句集を読んでみようと思う。
15:37 一茶記念館を出ると雨も止んだ。館のほど近くにある旧居を訪ねる。1827年、ここ柏原宿で大火が起き、一茶は家を焼け出される。門人宅を転々とした後、修理を終えたこの土蔵に帰り、その11日後、一茶は65年の生涯を閉じる。すぐ隣には弟(腹違い)の家もある。一茶はこの弟と父親の遺産相続について揉めたらしい。街道側を間口にして、敷地は兄弟で細長く2分割されていた。

途中、黒姫駅前の酒屋で「みぞれりんごの梅酒」をお土産に買い、さらに「道の駅しなの ふるさと天望館」でりんご(シナノゴールド。 引き締まった歯ごたえの瑞々しいりんごだった)の袋詰めを買い、ついでに「黒姫高原牧場」のソフトクリームを舐め、黒姫温泉の宿へ。
17:31 ひとっ風呂浴びた後で外に出ると、夕焼け空を従えた妙高山が。