法律新聞が、4月28日の参院法務委員会で安藤警察庁長官官房長が代用監獄必要と本音を漏らしたことを伝えた。
代用監獄とは警察の留置所のこと。本来、勾留身柄を拘束されたら、拘置所に勾留されなければならない。しかし、日本では、取調に便利だということもあり、代用監獄が今も使われている。
この代用監獄の問題点は、次のとおり。
【1 代用監獄とは
代用監獄は、本来拘置所に収容されるべき勾留決定後の被疑者・被告人を引続き警察留置場に収容する日本特有のシステムである。その根拠は監獄法1条3項(「警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得」)にあるとされている。
しかし、この制度は「逮捕された被疑者の身体は、司法官憲に引致された後、捜査官憲の手に戻されてはならない」という刑事司法の大原則に違反するばかりでなく、現に長く冤罪の温床、人権侵害の温床となってきた。それは、犯罪捜査を担当する警察が被疑者の身体を管理しているのをよいことに、自白を獲得するため長時間あるいは苛酷な取調べを行うためである。
2 代用監獄は廃止しなければならない
有名な死刑再審4事件(免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件)は、いずれも代用監獄を利用してつくられた虚偽の自白が原因であった。女性被疑者が看守からわいせつ行為を受けた三島警察署事件・川崎臨港警察署事件なども、代用監獄だからこそ起きたものであり、拘置所なら女性の看守を配置しているため起こり得ないことである。2000年、判決間際になって窃盗の真犯人が見つかるという誤認逮捕事件が愛媛県宇和島市で発生したが、これも代用監獄が生んだ虚偽の自白によるものである。
代用監獄は先進国ではとっくに廃止された前近代的な制度であり、「人権後進国」日本の象徴とさえいわれている。捜査機関が被疑者の身体を管理すると上記のような弊害が生ずるため、世界では捜査機関と被疑者を拘禁する機関を別にすることが常識となっているからである。現に、国際人権(自由権)規約は、刑事上の罪に問われて身体を拘束された者は速やかに裁判官の面前に連れていかれ、その後は捜査機関に戻されてはならないことを定めている(9条3)。この原則について、日本の警察庁は1980年以降、留置業務を捜査部門から分離し総務課に移して弊害を解消した旨弁解するが、所詮は同じ警察組織内の事務分掌にすぎず、全く実効性がない(現に1980年以降も代用監獄による弊害・人権侵害は多発している)。
日本の代用監獄に対しては、既に10数年前からアムネスティ・インターナショナル、国際法曹協会(IBA)など多くの国際人権団体・NGOが批判の声を上げてきた。国際人権(自由権)規約委員会も、代用監獄を同規約に適合するようにすることを日本政府に繰り返し求めている。当日本弁護士連合会も長年、代用監獄の廃止を訴えてきたことはいうまでもない】http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/03/2003_58.html
この代用監獄について、警察庁長官官房長が、
○政府参考人(安藤隆春君) 最後ですね。
代用監獄問題につきましてどういう、警察としてはどうかということでありますが、これはやはり現在の我が国の刑事司法制度の下では、犯罪捜査を適正迅速に遂行するために必要な被疑者の勾留場所に関する条件としまして、我々としては、やはり捜査機関と近接した場所にあることと取調べ室等の設備が整備されていること、これはもう必須であると考えておりまして、これらの条件を満たす施設となりますと、これを新たに整備するということは極めて困難であるというのが現状であります。他方、警察の留置場は交通至便の地にありまして、これは弁護人等の利益にも資するものと考えておりますので、やはり今後ともいわゆる代用監獄制度の存続が必要であるというふうに考えております。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0103/main.html
とぽろり、というか…。
代用監獄とは警察の留置所のこと。本来、勾留身柄を拘束されたら、拘置所に勾留されなければならない。しかし、日本では、取調に便利だということもあり、代用監獄が今も使われている。
この代用監獄の問題点は、次のとおり。
【1 代用監獄とは
代用監獄は、本来拘置所に収容されるべき勾留決定後の被疑者・被告人を引続き警察留置場に収容する日本特有のシステムである。その根拠は監獄法1条3項(「警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得」)にあるとされている。
しかし、この制度は「逮捕された被疑者の身体は、司法官憲に引致された後、捜査官憲の手に戻されてはならない」という刑事司法の大原則に違反するばかりでなく、現に長く冤罪の温床、人権侵害の温床となってきた。それは、犯罪捜査を担当する警察が被疑者の身体を管理しているのをよいことに、自白を獲得するため長時間あるいは苛酷な取調べを行うためである。
2 代用監獄は廃止しなければならない
有名な死刑再審4事件(免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件)は、いずれも代用監獄を利用してつくられた虚偽の自白が原因であった。女性被疑者が看守からわいせつ行為を受けた三島警察署事件・川崎臨港警察署事件なども、代用監獄だからこそ起きたものであり、拘置所なら女性の看守を配置しているため起こり得ないことである。2000年、判決間際になって窃盗の真犯人が見つかるという誤認逮捕事件が愛媛県宇和島市で発生したが、これも代用監獄が生んだ虚偽の自白によるものである。
代用監獄は先進国ではとっくに廃止された前近代的な制度であり、「人権後進国」日本の象徴とさえいわれている。捜査機関が被疑者の身体を管理すると上記のような弊害が生ずるため、世界では捜査機関と被疑者を拘禁する機関を別にすることが常識となっているからである。現に、国際人権(自由権)規約は、刑事上の罪に問われて身体を拘束された者は速やかに裁判官の面前に連れていかれ、その後は捜査機関に戻されてはならないことを定めている(9条3)。この原則について、日本の警察庁は1980年以降、留置業務を捜査部門から分離し総務課に移して弊害を解消した旨弁解するが、所詮は同じ警察組織内の事務分掌にすぎず、全く実効性がない(現に1980年以降も代用監獄による弊害・人権侵害は多発している)。
日本の代用監獄に対しては、既に10数年前からアムネスティ・インターナショナル、国際法曹協会(IBA)など多くの国際人権団体・NGOが批判の声を上げてきた。国際人権(自由権)規約委員会も、代用監獄を同規約に適合するようにすることを日本政府に繰り返し求めている。当日本弁護士連合会も長年、代用監獄の廃止を訴えてきたことはいうまでもない】http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/03/2003_58.html
この代用監獄について、警察庁長官官房長が、
○政府参考人(安藤隆春君) 最後ですね。
代用監獄問題につきましてどういう、警察としてはどうかということでありますが、これはやはり現在の我が国の刑事司法制度の下では、犯罪捜査を適正迅速に遂行するために必要な被疑者の勾留場所に関する条件としまして、我々としては、やはり捜査機関と近接した場所にあることと取調べ室等の設備が整備されていること、これはもう必須であると考えておりまして、これらの条件を満たす施設となりますと、これを新たに整備するということは極めて困難であるというのが現状であります。他方、警察の留置場は交通至便の地にありまして、これは弁護人等の利益にも資するものと考えておりますので、やはり今後ともいわゆる代用監獄制度の存続が必要であるというふうに考えております。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0103/main.html
とぽろり、というか…。