情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

代用監獄で本音?

2005-05-17 19:29:48 | 適正手続(裁判員・可視化など)
法律新聞が、4月28日の参院法務委員会で安藤警察庁長官官房長が代用監獄必要と本音を漏らしたことを伝えた。

代用監獄とは警察の留置所のこと。本来、勾留身柄を拘束されたら、拘置所に勾留されなければならない。しかし、日本では、取調に便利だということもあり、代用監獄が今も使われている。

この代用監獄の問題点は、次のとおり。

【1 代用監獄とは
代用監獄は、本来拘置所に収容されるべき勾留決定後の被疑者・被告人を引続き警察留置場に収容する日本特有のシステムである。その根拠は監獄法1条3項(「警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得」)にあるとされている。

しかし、この制度は「逮捕された被疑者の身体は、司法官憲に引致された後、捜査官憲の手に戻されてはならない」という刑事司法の大原則に違反するばかりでなく、現に長く冤罪の温床、人権侵害の温床となってきた。それは、犯罪捜査を担当する警察が被疑者の身体を管理しているのをよいことに、自白を獲得するため長時間あるいは苛酷な取調べを行うためである。


2 代用監獄は廃止しなければならない
有名な死刑再審4事件(免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件)は、いずれも代用監獄を利用してつくられた虚偽の自白が原因であった。女性被疑者が看守からわいせつ行為を受けた三島警察署事件・川崎臨港警察署事件なども、代用監獄だからこそ起きたものであり、拘置所なら女性の看守を配置しているため起こり得ないことである。2000年、判決間際になって窃盗の真犯人が見つかるという誤認逮捕事件が愛媛県宇和島市で発生したが、これも代用監獄が生んだ虚偽の自白によるものである。

代用監獄は先進国ではとっくに廃止された前近代的な制度であり、「人権後進国」日本の象徴とさえいわれている。捜査機関が被疑者の身体を管理すると上記のような弊害が生ずるため、世界では捜査機関と被疑者を拘禁する機関を別にすることが常識となっているからである。現に、国際人権(自由権)規約は、刑事上の罪に問われて身体を拘束された者は速やかに裁判官の面前に連れていかれ、その後は捜査機関に戻されてはならないことを定めている(9条3)。この原則について、日本の警察庁は1980年以降、留置業務を捜査部門から分離し総務課に移して弊害を解消した旨弁解するが、所詮は同じ警察組織内の事務分掌にすぎず、全く実効性がない(現に1980年以降も代用監獄による弊害・人権侵害は多発している)。

日本の代用監獄に対しては、既に10数年前からアムネスティ・インターナショナル、国際法曹協会(IBA)など多くの国際人権団体・NGOが批判の声を上げてきた。国際人権(自由権)規約委員会も、代用監獄を同規約に適合するようにすることを日本政府に繰り返し求めている。当日本弁護士連合会も長年、代用監獄の廃止を訴えてきたことはいうまでもない】http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/03/2003_58.html

この代用監獄について、警察庁長官官房長が、

○政府参考人(安藤隆春君) 最後ですね。
 代用監獄問題につきましてどういう、警察としてはどうかということでありますが、これはやはり現在の我が国の刑事司法制度の下では、犯罪捜査を適正迅速に遂行するために必要な被疑者の勾留場所に関する条件としまして、我々としては、やはり捜査機関と近接した場所にあることと取調べ室等の設備が整備されていること、これはもう必須であると考えておりまして、これらの条件を満たす施設となりますと、これを新たに整備するということは極めて困難であるというのが現状であります。他方、警察の留置場は交通至便の地にありまして、これは弁護人等の利益にも資するものと考えておりますので、やはり今後ともいわゆる代用監獄制度の存続が必要であるというふうに考えております。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0103/main.html

とぽろり、というか…。

犠牲になった記者の記録

2005-05-17 08:18:19 | メディア(知るための手段のあり方)
世界新聞協会と世界新聞編集者フォーラムが殺害されたり投獄された記者に関する資料を掲載したウェブサイトを制作した。http://www.worldpressfreedomday.org/

過去10年間に殺害された記者は500人以上で、その3分の2以上について加害者が処罰されていないという…。

Imagine the unthinkable: Having to pay with your life for an article you wrote, a photo you took. Because it offended someone, because it touched a sensitive subject.

Imagine that the person who killed you - who shot you in the head, who stabbed you to death, who threw a bomb into your office - walks free for the rest of his life. While your family, your friends and your colleagues never get a chance to get on with their lives, having to live with the fact that your murderer was never caught. This is the reality for hundreds of journalists that have been killed over the last ten years.

Today the general public is becoming more aware of the risks journalists take while doing their job, and that it can sometimes be fatal to be a reporter or a cameraman. However, few are aware that the vast majority of crimes against journalists go unpunished.


For this reason, WAN has chosen impunity as the theme for this year’s World Press Freedom Day campaign. We want to raise awareness about the culture of impunity. We want to pressure governments about this issue. It has to stop.

We need your help in doing this. We are offering you a package of editorial and advertising materials, including interviews, essays, infographics, detailed cases of journalists killed and imprisoned in 2004, cartoons, photos and advertisements. We encourage you to participate in the campaign against impunity by using some or all of the materials in your publication on 3 May or the nearest day on which you publish.


5月16日

2005-05-17 06:05:44 | 日記(事件など中心に)
名誉毀損事件(被害者側)の打合せ。この件は、そもそも、相手方とこちらで、記事の読み方(名誉毀損的な表現か否か)について、大きく対立している。にもかかわらず、裁判官がその辺を詰めることなく、どんどん進めるので、その真意を巡って、弁護団内で少し検討した。相手の主張が取るに足らないので流しているのか、こちらを負かすつもりだからごちゃごちゃ言わせまいとしているのか…。まぁ、考えても仕方ないんだけれど。

今日、何年ぶりかに捨て猫と思われる子猫を発見。昔は連れて帰っては、母親に怒られたもんだが…。

取調の可視化の必要性~エピソードat鹿児島

2005-05-17 05:49:23 | 適正手続(裁判員・可視化など)
鹿児島弁護士会が開催したシンポジウム「志布志公選法違反事件を契機に適正な捜査のあり方を考える」で、取調の可視化の必要性の分かる事例が発表されたようです。

1)「踏み字」:取調中に取調官から親族の名前を書いた3枚の紙を踏まされた男性の話

2)取調を受けた夫婦からの報告:妻が長期間の任意取調中、取調室の窓から「自分はお金や焼酎をもらった」と叫ぶよう取調官に強要された

この件の概要は、http://373news.com/2000picup_bak/2004/07/picup_20040703_2.htm でおおよそ分かると思います。

県議会でも採りあげられたようです。http://jcp-kagoshima.com/hatugen/0309.pdf ここの4,5頁に事例が挙げられています。