日本が国連人権理事会の新人権審査制度「UPR(普遍的定期的審査)」による審査(※1)を受けていることは先日のエントリーで触れたばかりだが、審査で政府報告に対するカウンターレポートを発表する予定の海渡雄一弁護士からとれたての現地レポートが届いたので、紹介したい(★審査時間に変更があったようです)。この審査は、国連憲章、世界人権宣言、人権条約などを基準として、対象となった国の人権状況を審査するものだ。日本は刑事司法制度を中心に、先進国としては異例なほどの人権侵害状況が残されている国であり、厳しく審査されると思われる。
海渡雄一弁護士のレポートは次のとおりだ。
◆ ◆ ◆
みなさん、5月9日午後2時半(ジュネーブ時間)から午後5時半まで国連人権理事会の第2回普遍的定期的審査作業部会において日本の人権状況について審査が行われます。日本時間では、午後9時半から12時半までです(★9日の深夜から10日の未明にかけてということです)。
私は、いま日弁連代表団の一員としてジュネーブに来ています。
この審査の状況はすべて国連のウェブキャストで世界に同時中継されています。以下のアドレスで見られます。
http://www.un.org/webcast/unhrc/index.asp
国連人権理事会が発足して2年がたちます。日本は自ら立候補して理事国となりました。人権理事会の新しい重要な制度として普遍的定期的人権審査が設けられました。同制度は、昨年一応の制度設計が終わり、今年から実施が始まったばかりです。今回ジュネーブに来てわかったことですが、人権理事国その他の国連加盟国、国連人権高等弁務官事務所とNGOも、この制度のより効果的な実施をめざし手探りで模索している状態です。
今回、日弁連は、国連人権高等弁務官事務所に対し報告書を提出し、日本の人権状況について、
①国連条約機関からの勧告の速やかな実施
②パリ原則に従った国内人権機関の設置
③個人通報制度を定めた人権諸条約に関する選択議定書の批准
④代用監獄の廃止、取調可視化及び長期取調べの禁止
⑤死刑制度存置に伴う重大な人権侵害の指摘及び死刑執行の即時停止
⑥日本社会に存在する様々な差別、特に、外国人、婚外子、女性に対する公的機関による差別の撤廃及び私人による外国人、民、アイヌ、婚外子、女性、障がいのある人に対する差別の撤廃に向けた取組み
を求めています。
9日の作業部会における審査は、政府の報告書と共に、日本に対する国連の条約機関や特別報告者からの報告をまとめた報告書、及び、NGOからの情報提供の要約に基づいて行われます。この資料もすべて国連の次のホームページで見ることができます。
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR/PAGES/JPSession2.aspx
また、今回の審査の直前には、ジュネーブ国連本部会議場内でNGOによるブリーフィングのための会議を主催し、日本の人権審査に関するNGOからの情報提供・意見表明の場を設けました。
日弁連が作成した志布志の冤罪事件のドキュメンタリーフィルムの予告編の上映を行いました。また参加されたNGOであるアジア女性資料センターと韓国で従軍慰安婦問題を取り扱っているNGOから、日本政府による従軍慰安婦に対する謝罪・賠償を求めるという意見が述べられました。
また、反差別国際運動からは私人による差別の規制立法の制定を強調する意見が表明されました。
また、マリーニョ・メネンデス拷問禁止委員会委員が参加され、代用監獄制度の速やかな廃止を重ねて求めるとの発言がなされました。
9日行われる予定の審査は日本の今後の人権状況について重大な影響を持つものと思われます。
9日のワーキンググループでの審査を踏まえ、審査の結果は、6月に行われる人権理事会において日本に対する勧告を含む結論として採択される予定になっています。
ぜひ、一人でも多くの皆さんがこの審査の状況をウェブキャストを通じてごらんになっていただきたいと思います。
◆ ◆ ◆
ようするに、日本は国連人権理事会の理事国の立候補してみたはいいが、自らの人権状況が心許ないことが早くも世界に顕わになってしまうということのようだ。
「それでも僕はやっていない」で世界を驚かせた刑事手続きの問題だけでなく、死刑制度、いわゆる従軍慰安婦問題などについて、厳しい判断が下されそうだ。
一体、政府が何を述べ、世界は何とつっこむか、ぜひ、ウェブサイトを見てほしい!
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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海渡雄一弁護士のレポートは次のとおりだ。
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みなさん、5月9日午後2時半(ジュネーブ時間)から午後5時半まで国連人権理事会の第2回普遍的定期的審査作業部会において日本の人権状況について審査が行われます。日本時間では、午後9時半から12時半までです(★9日の深夜から10日の未明にかけてということです)。
私は、いま日弁連代表団の一員としてジュネーブに来ています。
この審査の状況はすべて国連のウェブキャストで世界に同時中継されています。以下のアドレスで見られます。
http://www.un.org/webcast/unhrc/index.asp
国連人権理事会が発足して2年がたちます。日本は自ら立候補して理事国となりました。人権理事会の新しい重要な制度として普遍的定期的人権審査が設けられました。同制度は、昨年一応の制度設計が終わり、今年から実施が始まったばかりです。今回ジュネーブに来てわかったことですが、人権理事国その他の国連加盟国、国連人権高等弁務官事務所とNGOも、この制度のより効果的な実施をめざし手探りで模索している状態です。
今回、日弁連は、国連人権高等弁務官事務所に対し報告書を提出し、日本の人権状況について、
①国連条約機関からの勧告の速やかな実施
②パリ原則に従った国内人権機関の設置
③個人通報制度を定めた人権諸条約に関する選択議定書の批准
④代用監獄の廃止、取調可視化及び長期取調べの禁止
⑤死刑制度存置に伴う重大な人権侵害の指摘及び死刑執行の即時停止
⑥日本社会に存在する様々な差別、特に、外国人、婚外子、女性に対する公的機関による差別の撤廃及び私人による外国人、民、アイヌ、婚外子、女性、障がいのある人に対する差別の撤廃に向けた取組み
を求めています。
9日の作業部会における審査は、政府の報告書と共に、日本に対する国連の条約機関や特別報告者からの報告をまとめた報告書、及び、NGOからの情報提供の要約に基づいて行われます。この資料もすべて国連の次のホームページで見ることができます。
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR/PAGES/JPSession2.aspx
また、今回の審査の直前には、ジュネーブ国連本部会議場内でNGOによるブリーフィングのための会議を主催し、日本の人権審査に関するNGOからの情報提供・意見表明の場を設けました。
日弁連が作成した志布志の冤罪事件のドキュメンタリーフィルムの予告編の上映を行いました。また参加されたNGOであるアジア女性資料センターと韓国で従軍慰安婦問題を取り扱っているNGOから、日本政府による従軍慰安婦に対する謝罪・賠償を求めるという意見が述べられました。
また、反差別国際運動からは私人による差別の規制立法の制定を強調する意見が表明されました。
また、マリーニョ・メネンデス拷問禁止委員会委員が参加され、代用監獄制度の速やかな廃止を重ねて求めるとの発言がなされました。
9日行われる予定の審査は日本の今後の人権状況について重大な影響を持つものと思われます。
9日のワーキンググループでの審査を踏まえ、審査の結果は、6月に行われる人権理事会において日本に対する勧告を含む結論として採択される予定になっています。
ぜひ、一人でも多くの皆さんがこの審査の状況をウェブキャストを通じてごらんになっていただきたいと思います。
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ようするに、日本は国連人権理事会の理事国の立候補してみたはいいが、自らの人権状況が心許ないことが早くも世界に顕わになってしまうということのようだ。
「それでも僕はやっていない」で世界を驚かせた刑事手続きの問題だけでなく、死刑制度、いわゆる従軍慰安婦問題などについて、厳しい判断が下されそうだ。
一体、政府が何を述べ、世界は何とつっこむか、ぜひ、ウェブサイトを見てほしい!
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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