情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

東京地検がグリーンピースが確保した鯨肉を受領~疑惑を手書き図で解説

2008-05-21 13:22:23 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
産経新聞は、【日本の調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が鯨肉を個人的に持ち帰ったとされる問題で、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(GP)は21日、証拠となる鯨肉を東京地検に提出した】ことを伝えている。

 【GPは乗務員ら12人を業務上横領罪で東京地検に告発しており、鯨肉の提出は東京地検からの要請を受けたものという。重さは約23・5キロで、GPが運輸会社から持ち出した。鯨ベーコンに使われる「畝須(うねす)」と呼ばれる高級部位で、市場価格は11万~35万円になるという】(同紙)。

 これで、本格的に横領についての捜査が始まることになる。

 ただし、ちょっとこの横領疑惑がわかりにくいので図解した。

 冒頭の図をみてほしい。

 鯨は、日本鯨類研究所(鯨研)から委託された共同船舶が捕獲する。この鯨の持ち主はあくまでも鯨研だ。

 GPが主張する疑惑は、この鯨研の鯨の一部を船員が無断で持ちだし、一部を販売しているのではないかというもの。GPが押さえたのは、「ダンボール」という品名で自宅に配送される途中の鯨肉だ。

 調査捕鯨は、国の委託で鯨研が行っているが、調査捕鯨にかかる費用よりも鯨肉を売却して得られる代金の方が少ないため、毎年、国から約5億円が補填されている。

 ということは、グリーンピースの指摘が正しければ、本来鯨代金となり国からの負担が減るべき部分が横領されていることになる。これがいわゆる横領疑惑だ。

 これに対し、鯨研や共同船舶は、疑惑を否定し、船員へのおみやげだと主張している。この主張が正しいか否かはさておき、疑惑が事実でも簡単にこれを認めるわけにはいかない。なぜなら、これを認めると、国の補助金毎年5億円をもらいつつ、船員が横流ししていたことになるからだ。

したがって、現時点で鯨研や共同船舶が「横領ではない」と主張しても、それを鵜呑みにして良いかどうかは、よく考える必要があるだろう。

 では、鯨研や共同船舶の主張が正しいとした場合、問題はないのか。そうではない。

 ここで新たに浮上してきたのが脱税疑惑だ。

 共同船舶は、鯨肉の一部を自社買い上げして船員におみやげとして渡したのだという。しかし、全体ではかなりの高額になるし、一人あたりのおみやげもパートの主婦の1か月分以上になるのではないだろうか。そうだとすると、給与とみなされ、源泉所得税を徴収する必要があるが、どうも、それはしていないようだ…。

 そうすると、源泉所得税を脱税したことになる…。この疑惑に対し、共同船舶はいかに答えるのだろうか。

(なお、本ブログでのこれまでの関連記事は「鯨肉横流し疑惑~グリーンピースがまもなく発表! 」※1「もし世界が鯨関係業界だったら…な~んてね:グリーンピース鯨肉横領告発の正義」※2「グリーンピース鯨横領告発問題、もう一ついってみよう!~GPメンバーは確保した鯨肉を食べてはいない…」
 

【PR】









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。

日本国憲法下における自衛隊裁判所制度の導入の可能性~空幕の冊子より

2008-05-21 08:41:05 | 有事法制関連
「日本国憲法下における自衛隊裁判所制度の導入の可能性」というタイトルの論文が「法翼」という空幕法務部が出している冊子に掲載されている。平成16年のことだ。執筆者は中央大学で学んでいる防衛事務次官。自衛隊は、自らのスタッフに憲法を逸脱する方法を学ばせるために法律の勉強をさせているようなのだ。

 憲法は76条で次のように定めている。

第76条
1 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

 つまり、憲法は、軍事裁判所、軍法裁判所の設置を認めていないといえる。

 しかし、法翼に掲載された論文では、76条の問題などについて、独自の見解を示し、合憲であるとしている。

 なぜ、自衛隊は、ここまで焦るのか。それは現に海外で戦闘が行われた場合に、通常の裁判所で裁かれることをおそれているからだろう。自衛隊が戦闘によって殺人などを犯した場合に、通常の手、続きで告発されたりしたら、やっかいなことになる、そう考えているのだろう。

 戦闘現場に駆けつけて巻き沿いになる形で武力行使をしようというイラク派遣初代隊長であった佐藤議員の発言などからすると、通常裁判所で自衛隊員の行為が裁かれたら、殺人で処罰されることになることもありえよう。

 そういう制約を突破して海外で自由に武力行使をしたい、そういう思いが透けて見えはしないだろうか…。

 この問題は、個々の兵士の処罰の問題につきない。

 この論文では、職業裁判官1名に自衛隊から選出された裁判員4人で構成される裁判体によって審理をするという構想が披露されている。検察官も自衛隊員だ。

 そうすると、一度述べたが、次のような問題が生じうる。

 上司の命令に反して外国の軍隊を攻撃したが、実はそれが自衛隊内部では好戦派を中心に歓迎されていたとしよう。その場合、論文が提案する裁判所(裁判官も検察も自衛隊員)で裁判が開かれても、自衛隊内での出世のことを考えると、自衛隊員である裁判官は、ごく軽い刑罰しか下さない可能性が大きい。

 そのうえで、自衛隊員である検察官は、普通の裁判官で構成される最高裁に移ったら、通常の刑罰(軍事裁判所よりもかなり重いもの)が下される可能性が大きいから、上告をしないという決断をすることになる。すると、軽い刑が確定してしますう。

 …こうして、暴走自衛隊員は安心して既成事実を次々とつくりだし、戦争を拡大する方向で進んでしまう。

 
参照:http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/480d661556e4bcaa958d44e4426f2c9d


このような方向での研究のみが進んでおり、自衛隊のシビリアンコントロールを図る方向での研究が進んでいないことは非常に恐ろしいことではないでしょうか…。

※冒頭の図は、論文より。

【PR】









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。