情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

有害サイト規制法案~民主党案をまね損ねた自民党案、有害法案であることは明白

2008-05-25 06:59:51 | インターネットとメディア
 まったく気に入らない。読売新聞(※1)によれば【インターネットの有害情報から子どもを守る対策として、自民党が今国会に提出するネット規制法案の原案が23日、明らかになった。インターネット上のサイトの有害性を判断する基準を作り、有害サイトを認定する主体は、政府が登録または指定した民間の第三者機関とする内容だ。政府の関与は、第三者機関への財政支援など間接的なものにとどめ、憲法が保障する「表現の自由」を侵害しないよう配慮した】ということだが、大メディアがこんな自民党の広報機関のようなことをしていていいのか?

 そもそも、自民党は原案を発表しておいて(あるいは各メディアにリークしておいて)、その原案を自党のサイトに掲載しないという情報管理体質を丸出しにしている(冒頭の画面参照)。

 スポニチは自民党案について、【有害情報の基準策定や有害サイトを判定する民間機関を政府が審査・登録する仕組みを導入する】と指摘した上、【民主党は有害サイトの判定を民間の第三者機関に委ねる独自案を策定しており、自民案では「国の関与が強まる」として難色を示すとみられ、協議は難航しそうだ】(※2)ときちんと問題点を説明している。

 簡単に言うと、自民党案は、政府が気に入らないサイトについて有害サイトというレッテルを貼って子どもの目に触れさせないようにすることができる余地を残しているということだ。

 そこで、自民党原案を見てみようと思ったら、上記のとおり、原案そのものは自民党サイトにはなかった。(少なくとも見つからなかった)

 それに引き替え、民主党案は、民主党サイトで簡単に見つかった。このあたりは、「秘密主義」の自民党とは違うように思える。

 サイトに掲載されている民主党案骨子(※3)についてコメントしておく。

①民主党案は、子ども用フィルタリングソフトウェアについて基本的に民間に委ねている。これは自民党案と比べ、評価できる。

②また、業者に対し、閲覧の制限を行う情報を、子どもの発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすることなどの方法で閲覧制限の範囲をできるだけ小さくするよう努力義務を定めている。これも評価できる。現に、有害情報について、次のようなものとするとされている。

(1) 子どもに対し、著しく性的感情を刺激する情報
(2) 子どもに対し、著しく残虐性を助長する情報
(3) 子どもに対し、著しく自殺又は犯罪を誘発する情報
(4) 性又は暴力に関する情報であって人の尊厳を著しく害するもの、著しく差別感情を助長する情報その他人の尊厳を著しく害する情報
(5) 特定の子どもに対するいじめに当たる情報であって当該子どもに著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの

これは、自民党案よりも限定されているはずだ。

③また、閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすることも努力義務として定めており、現に、「子ども用フィルタリングソフトウェアにより閲覧を制限する必要がないものに関する情報を収集し、これを子ども用フィルタリングソフトウェア事業者その他の関係者に提供する活動を行う民間団体」を支援することとされている。

④また、③の点について、「子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関し講じられた措置に関する民事上の紛争について活動するADR(仲裁)機関」の支援も定めている。

以上のとおり、民主党案は、自民党案に比べるとはるかに表現の自由について配慮した内容となっているようだ(ようだというのは、自民党案にはアクセスできないから…)。

もちろん、民主党案も全文をみてみないといけないが、少なくとも、法案を早めに公開しようという姿勢及び規制が行き過ぎないような仕組みを作ろうというする姿勢は評価できる。

…こういうところ一つとっても、もう自民党に政権を委ねることができないのは、はっきりしている。

…自民党がLDPラボというサイトで議員グッズを脳天気に宣伝しているのを見ると怒りを抑えきれない。こんなことに金と時間を使う前に、政党として最低限やるべきこと(自党の政策の開示)をやれと言いたい。自民党ダメポ…。




※1:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080523-OYT1T00710.htm?from=nwlb

※2:http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080523079.html

※3:http://www.dpj.or.jp/news/files/kodomonethouan.pdf



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