情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

前長崎市長銃殺事件死刑判決を肯定する社会とイラク戦争で亡くなる市民を見捨てる社会

2008-05-28 06:46:53 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
昨年4月、伊藤一長・前長崎市長が市長選の最中に射殺された事件で、殺人などの罪に問われた暴力団幹部に対し、長崎地裁の松尾嘉倫裁判長は、求刑通り死刑の判決を言い渡した。新聞の見出しには、「民主主義揺るがす」との文字が躍った。私は、死刑制度そのものに反対だが、そのことを抜きにしても、この死刑判決には違和感を覚える。

 民主主義を揺るがず…新聞に掲載された要旨には、次のように書いてある。

【暴力によって被選挙人の選挙運動と政治活動の自由を永遠に奪うとともに、選挙民の選挙権を著しく妨害した。民主主義を根底から揺るがす犯行である】

 民主主義を破壊するものは物理的な暴力だけではない。たとえば、選挙権の一票の価値に格差があるという問題がある。あるいは、小選挙区制で本当に市民の意思が反映されるのか、という問題もある。

 それらの問題については、裁判所も含め、社会は比較的冷淡な判断をする。

 あるいは、戦争の問題もある。戦争とは究極の暴力だ。イラク戦争に大義がないことは明白となっている。イラクで日々、亡くなっている多くの市民がいるが、それについても、比較的冷淡な反応を維持している。なぜ、死刑に賛成する人は、イラクで行われている殺人についても怒りを示し、米軍の撤退を叫ばないのだろうか…。

 見えるもの、分かりやすいものに怒りを駆り立て、見えにくいもの、分かりにくいものへは怒りを向けさせない…。

 これって、グリーンピース鯨肉横領告発問題でも同じではないだろうか…。

 鯨肉横領という重大な権力犯罪を見逃す一方で、わかりやすいグリーンピースの行動を批判する…。

 志布志事件などは、警察の正義感の行き過ぎ、使命感の行き過ぎではないことが明白であるにもかかわらず、警察は反省していない。それにもかかわらず、警察の「犯罪」を徹底的に糾弾しようとするものは少ない。本来、幹部総入れ替えをしてもいいくらいのことなのに…。

 死刑判決については、存置されている間は、少なくとも、慎重な判断が必要だ。いわゆる永山基準に照らし、本件において死刑判決は妥当な判断だったのだろうか…。 

 裁判員制度を前に、死刑判決を躊躇させないムードが作られることを危惧しています。




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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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