情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

東海村臨界事故7周年実行委員会立ち上げ集会~7月14日(金)夜7時

2006-06-26 07:45:31 | イベント情報(行かれた方はぜひご感想を)
たんぽぽ舎です。【TMM:No337】

7/14東海村JCO臨界事故7周年行動
  立ち上げ集会のご案内です。
ご参加いただくと幸いです。     転送歓迎です。

☆☆★東海村臨界事故7周年実行委員会立ち上げ集会★☆☆

   JCO臨界被曝事故を忘れない9・30の会主催

日 時:7月14日(金)夜7時~9時

会 場:たんぽぽ舎にて   参加費 800円

主な内容:大泉恵子さんのお話と基調報告(行動提起)
     ビデオ上映―JCO臨界事故の沈でん槽
           (レプリカ)の取材映像


 ◆ 東海村臨界事故から7年たちました。大内さん、
  篠原さんが「多臓器不全」で亡くなり、700名弱が
  被曝しました。
   事故のあったJCOの転換試験棟の直近(120m)
  で働いていた大泉昭一さん恵子さん夫妻は、その夜か
  ら下痢、嘔吐、頭痛、咽痛、無気力感(原爆ぶらぶら
  病)に悩まされ、やがて自殺願望にまでいたりました。
  300人からの同じような症状があったと茨城県の健
  康調査でわかっています。
 ◆ ところが政府は、住民被曝はあったが、健康被害は
  2人の死者以外はなかった、としているので、JCO
  は大泉さん夫妻にたいして「放射線恐怖症」「詐病」
  などといっています。広島、長崎に適用した米軍の基
  準をいまだに使っているからです。
  そのため広島、長崎の被爆者は0.8%しか認定され
  てこなかったのです。

 ◆ 大泉恵子さんはようやく元気になり、7年目にして
  事故の実体験をお話されます。葬られた事故の真実を
  広く知ってもらうときがきました。

 7月14日(金)は9・30臨界事故を忘れない7周年行
 動実行委員会立ち上げ集会です。
 多くの皆さんのご参集をお願いいたします。

      9月30日(土) 参加を!

  1 朝10時35分~11時30分 霞ヶ関で追悼集会
  2 13時~17時「7周年集会」(会場交渉中)

┌──────────────────────────┐
│好評   │
│ 『ものづくり』からみた東海村臨界事故の原因と責任 │
│      望月彰著 36頁 頒価400円 2006年5月発行 │
│ たんぽぽ舎64番パンフレット │
└──────────────────────────┘

主催:JCO臨界被曝事故を忘れない9・30の会
   連絡先 たんぽぽ舎気付

フィリピンでトヨタがしていることと新刊のご紹介

2006-06-26 07:41:35 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
【純利益1兆円日本一の会社トヨタ。あれだけの利益を上げたのは、多くの労働者の努力の結果であり、それ相応の見返りがなされて当然です。しかし、世界に多くあるトヨタの会社・工場で、それぞれの労働組合との間で対等の対場での交渉、賃金、労働条件の決定のルールが確立しているとは思えない。見える姿は、一貫して労働組合を忌避し、組合を作らせない、弱体化する、御用組合化する姿である。車は世界標準を上回っているかもしれないが、働く者の条件決定の仕組みが少しも世界標準ではない。

 さらに、トヨタの会長の奥田碩さんが財界の総理・経団連会長となるなど、トヨタ経営者が政治に対しても大きな発言力を持っている。その財界が今行おうとしていることに、「政治献金の再開」、「武器輸出3原則の見直し」等がある。これらは日本の根幹に関わることであり、この主張に疑問を呈する人も多い。

 こんな中でフィリピントヨタ労組支援の闘いは、私たちが持つその歯がゆさを乗り越えて、直接トヨタと闘う機会を与えてくれている。

 闘いの輪がフィリピン・マニラから日本・横浜・東京・豊田・ジュネーブへと広がり、時間が経つほどに無視できなくなっている。皆でこの闘いを支援し勝利を目指し、あのトヨタに物申す機会を大事にしようではないか。 】(フィリピントヨタ労組を支援する会のHPより)

トヨタの正体―マスコミ最大のパトロントヨタの前に赤信号はないのか

金曜日

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なぜ,写真がないのか…。



安倍改憲構想に反対の意思を示そう~自民党・公明党全議員へ怒りを!

2006-06-25 22:01:19 | 憲法改正国民投票法案そのほか
共同通信によると,【安倍晋三官房長官は25日までに、9月の自民党総裁選で「現行憲法の全面的な改正」を政権構想に盛り込む意向を固めた。安倍氏周辺が明らかにした。憲法が禁じる集団的自衛権行使の容認などを訴えることも検討。改憲を柱に「新たな国家像」構築を目指す姿勢を打ち出し、党員に浸透させたい考え。】だという。

これで,「改憲による集団的自衛権行使の容認」阻止の最初のステップが,総裁選であることが明確となった。まずは,このニュースが伝えられたこと自体について,自民党のHP(←クリック),公明党のHP(←クリック)を参照して,安倍が総裁に選ばれたならば,自民党及び連立している公明党へは絶対に投票しないし,身近な人にも投票をしないよう呼び掛けるつもりだ,という声を地元議員などに集中させましょう。特に総裁選で安倍に投票した者については,落選運動をするということも忘れずに!

小泉は,総裁選で公約したということを錦の御旗にして,郵政改悪を実施してしまった。安倍は,その先例に倣い,総裁選で改憲を公約にして,中央突破を図ろうとしている。

馬鹿にすんじゃない!という怒りを示そうではないですか!



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原爆「語り部」の発言封じを撤回~偏向教育批判による言論封鎖にご注意

2006-06-25 21:48:15 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
朝日新聞によると,【長崎市の外郭団体・長崎平和推進協会(横瀬昭幸理事長)が、「語り部」を務める被爆者らに「政治的発言」の自粛を求める文書を出していた問題で、同協会は24日、文書の撤回を決めた。文書に対し、全国から質問や撤回要請が相次いだため、「文書が残れば今後の活動に支障が出る」と判断したという。】。まったく妥当な判断だ。そもそも,現体制に対する批判が偏っているとか,議論が分かれている問題については触れない,とか言われたのでは,教育は成り立たない。ロボットのように言われたままに動かせるのではなく,批判的に物事を考える視点を身につけさせることこそが,国家が危険な選択をすることを防ぐための最も有効な手段であるはずだ。

 この自粛の内容は,【「国民の間で意見が分かれている政治的問題についての発言は慎んでほしい」としたうえで、(1)天皇の戦争責任(2)憲法(9条)改正(3)イラクへの自衛隊派遣(4)有事法制(5)原子力発電(6)歴史教育や靖国神社(7)環境や人権など他領域の問題(8)一般的に不確定な内容(劣化ウラン弾問題など)――の8項目を例示した。】(上記朝日)というもの。

 被爆者にしてみれば,当然,自分たちと同じような目に遭う人が増えないようにするためには何が必要かということを伝えたいはずだ。何のために,辛い体験をわざわざ知らない人たちにアピールしているのか,長崎平和推進協会の関係者は考えたことがないのだろうか?

 今回は幸い文書が撤回されたが,発端は,【修学旅行などで証言を聞いた学校から「主張が偏っている」との指摘があったため】(上記朝日)らしい。どの学校がそのような指摘をしたのか?そのような指摘をする学校こそ,偏っているというほかない。教育のなんたるかを考え直してもらいたいもんだ。




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法務省が再度共謀罪へのご懸念に答える!~しかし,外務省へのリンクのみ…根本的疑問は無視するのか!

2006-06-25 00:11:02 | 共謀罪
法務省が,共謀罪に関する条約の立法ガイドの記述に関する翻訳について,保坂議員らの指摘(←クリック)に対して,反論をしてきた。ここ(←クリック)のtopicsの「組織的な犯罪の共謀罪」に対する御懸念について(2006/6/22) をクリックし,出てきたページの下の方の「国際組織犯罪防止条約の『立法ガイド』における記述について(外務省ホームページへのリンク)」をクリックする。

この問題は,
立法ガイド」(←クリック)のうち、パラグラフ51(43/543)にある「The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion - conspiracy or criminal association - in States that do not have the relevant legal concept.」を

「これらのオプションは、関連する法的概念を有していない国において、共謀又は犯罪の結社の概念のいずれかについてはその概念の導入を求めなくとも、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置をとることを可能とするものです」

と翻訳するか

「これらのオプションは、関連する法的概念を有していない国において、共謀又は犯罪の結社の概念のいずれについてもその概念の導入を求めなくとも、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置をとることを可能とするものです」

と翻訳するかという問題だ。

外務省は,上の翻訳が正しいとし,「念のため、『立法ガイド』を作成した国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)に対してご指摘のパラグラフの趣旨につき確認したところ、UNODCから、同パラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないことを意味するものではないとの回答を得ています」とし,法務省もこの部分をリンクする以上,同様の見解なのだろう。


しかし,共謀罪の問題は,実はここから先が問題だ。つまり,ここでいう参加罪とは何か?ということだ。参加罪というのは厳密には,犯罪組織に参加する行為そのものを犯罪化することだが,国際組織犯罪防止条約の参加罪は,犯罪組織に参加する行為そのものではなく,犯罪組織の犯罪行為などの一定の行為に参加する行為を犯罪とするものとなっているのだ。

したがって,いまの日本にある共謀共同正犯理論や予備罪などで十分,参加罪は日本には既に存在しているといえるのではないだろうか?

◆以上,詳しくは,
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/e2ec293558815aa740deb16e9b2cb9a3
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7a9e57a24925d9121e02622af77e0508
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/9fb1f7f3d353392cce15a991e91181bb
などをご参照下さい。


法務省には,ぜひ,この点についても明確なご回答をいただきたいところだ…。

日本は,準空気銃の所持さえ,禁止されるような国ですから(ここ←クリック),テロ対策は十分でしょう…。あっ,スイスアーミーナイフも持ってると逮捕(?!)されちゃいますよ(ここ←クリック)


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全取調過程の録画を法務省・検察庁に求めましょう!~不当逮捕不当取調をさせないために

2006-06-24 23:41:08 | 適正手続(裁判員・可視化など)
検察庁が取調について,自分に有利なところだけ録画録音するシステムを導入しようとしていることについて,ここなどで,問題点を指摘しました。この問題点について,弁護士会が次のような申し入れをしています。皆さんもこの申入書を参照して,ぜひ,法務省検察庁警察庁に警察段階を含むあらゆる取調の全過程を録画録音するよう要望して下さい。不当に逮捕されたときに不当な取調を受けないために…。


2006年6月13日

検事総長 松尾 邦弘  殿

日本弁護士連合会
会長 平山 正剛




取調べの録画・録音試行についての申入れ


本年5月9日,最高検察庁が発表した「裁判員裁判対象事件における被疑者取調べの録画・録音の試行」(以下,「本件試行」といいます。)についての当連合会の考え方は,同日付で当連合会が発表した「取調べの録画・録音試行についての法務大臣発言についての日弁連コメント」のとおりです。


同コメントでも述べましたとおり,本件試行の問題点は,録画・録音を検察官の裁量に任せており,取調べ全過程の可視化としていない点にあります。警察における取調べも含め,取調べ全過程の録画・録音がなされるべきであり,この点については関係当局のさらなる英断を期待しますが,本件試行にあたっては,少なくとも以下の事項に留意されるよう申し入れます。



第1 本件試行の対象について
1 試行を決めた事件では取調べ全過程の録画・録音をすべきこと。
(理由)
取調べの状況を明らかにするためには,取調べの一部の録画・録音だけでは不十分であり,一部に止めることはかえって被疑者の権利を侵害する危険があって,録画・録音をされない部分をめぐって争いを生じる可能性も大きいといわざるを得ません。したがって,録画・録音を実施する以上,取調べ全過程の録画・録音をすべきです。

2 警察の取調べについても試行がなされるべきこと。
(理由)
本来,取調べの可視化は,部分的なものでは足りず,部分に止めることはかえって被疑者の権利を侵害する危険性があり,録画・録音がなされないと,作成された供述調書の任意性・信用性について無用の紛争を生じる可能性も極めて大きくなります。その意味で警察での取調べも録画・録音されるべきであり,検察官の指揮権(刑訴法193条,194条)によれば,かかる指揮は当然に可能と考えられます。本件試行に併せて,事件に応じて,検察官が指揮権を行使して,警察における取調べの可視化も実施させるべきです。

3 試行対象の事件を裁判員裁判対象事件に限定せず,少なくとも少年が被疑者となっている事件,知的障害を含む障害者が被疑者となっている事件,外国人が被疑者となっている事件,否認事件の全てについて試行すべきこと。
(理由)
近時の例を取っても,宇都宮誤認逮捕事件では,知的障害者が被疑者となっていますが,取調べの結果,虚偽の自白がなされ,問題となっています。そこで,知的障害を含む障害者,少年,外国人,さらに供述調書の任意性・信用性が争われることが類型的に多い否認事件においても,取調べの可視化を試行すべきです。

4 東京都下だけではなく,少なくとも大阪府下,福岡県下を重点的な試行地域とすべきこと。
(理由)
試行地域としては東京が中心となると伝えられていますが,当連合会が2006年1月20日に発表した「取調べの可視化の試験的実施の提案」に記載したとおり,多彩な刑事事件が多く,刑事弁護体制も充実していて,一定の検証が可能な地区として,少なくとも大阪府及び福岡県は重点的な試行地域とされるべきです。

5 弁護人から可視化の申入れがなされた事例では録画・録音を試行すべきこと。
(理由)
弁護人は,被疑者の供述の任意性・信用性について,将来問題が起こりうることを予測して取調べの可視化の申入れをすると考えられます。それゆえ,このような申入れがなされた事例では,必ず録画・録音を試行すべきです。

6 試行を決めた事件では,その旨が直ちに弁護人に告知されるべきこと。
(理由)
本件試行は,全事件を対象とするものではなく,試行される事件についてもどの範囲が録画・録音されるのかについて,必ずしも明らかとはされていません。したがって,試行を決めた事件については,被疑者において,録画・録音の試行についての対応の仕方を弁護人に相談することができるよう,その旨が直ちに弁護人にも告知されるべきです。なお,被疑者の同意を得て録画・録音を行うと伝えられていますが,そうであるとすれば,被疑者の同意を求める前に,録画・録音をする予定であることを弁護人に告知するべきです。


第2 録画・録音の方法について
1 取調官及び被疑者の双方の姿が同時に録画され,死角がないようにすること。
(理由)
取調べの状況を明らかにするためには,被疑者の上半身などの一部の映像だけでは十分ではなく,取調官の様子を含めた取調べの全体状況が明らかにされる必要があります。オーストラリアや香港などでは,そのような観点から,死角のないようにカメラの位置や取調官,被疑者の着席位置などの工夫がなされています。

2 取調官及び被疑者双方の発言が,確実に録音されるようにすること。
(理由)
マイクの位置などによっては,確実に音声が拾えず,後に反訳が不可能になる例などがよく見られます。マイクの位置を工夫し,確実に音声が拾えることが必要です。

3 録画・録音の年月日時分秒が自動的に記録されるようにすること。
(理由)
録画・録音が編集・改ざんされたなどという争いを後に残さないために必要です。録画装置では,自動的に録画日時が記録されるのが通常と思われますが,録音装置でも自動的に時報を録音するなどして,同様の措置を講ずる必要があります。なお,イギリスの録音機は,定期的に時刻が録音されるシステムとなっています。

4 録画・録音の内容は,複数の記録媒体に同時に記録し,うち一本は録画・録音終了と同時に封印するものとすること。
(理由)
これも前項と同様,録画・録音の内容が編集・改ざんされたなどという争いを後に残さないためです。イギリス,オーストラリアでも同様の措置が取られています。

5 被疑者に録画・録音の開始,中断及び終了が告知されること。
(理由)
録画・録音の開始,中断及び終了は確実に告知されることが必要です。なお,この点でも,イギリス,オーストラリアでの手続が参考にされるべきです。

6 録画・録音装置は,被疑者に心理的な圧迫を与えない大きさ,形状,設置位置とするように工夫すること。(但し,録画・録音のいわゆる隠し撮りとならないよう,前項の告知が確実に行われることが前提とされるべきです。)
(理由)
取調べの録画・録音に反対する意見の中には,録画・録音が,被疑者に心理的な圧迫を与え,自由に供述ができないということを大きな理由とするものがあります。しかし,論者が主張するような心理的な圧迫は,録画・録音装置の大きさ,形状,設置位置などを工夫することによって,可及的に小さなものとすることが可能です。したがって,試行にあたっては,心理的な圧迫を可能な限り小さなものにした上で,その効果について検証する必要があります。なお,そのような工夫が,いわゆる隠し撮りを許容するものであってはならないことは,前項で述べたとおりです。

以上のような各工夫については,オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の取調べ録画録音システム(ERISP)が極めて合理的に実現をしていますので,その方法を参考とされることがよいと考えます。




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50万円以下を例外扱いすることには強く反対!~サラ金金利引き下げ問題

2006-06-24 23:16:56 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
最高裁がグレーゾーン金利を無効とする判決を下したことを受け,消費者金融の金利を引き下げる方向で動きつつありますが,本日の朝日新聞(←クリック)によると【貸金業の上限金利の変更を検討している自民党金融調査会の幹部会は、現行の利息制限法の上限(年15~20%)に原則一本化する方針を固めた。違反すると刑事罰に問われる出資法の上限金利(29.2%)を段階的に引き下げ、この間にあるグレーゾーン(灰色)金利を撤廃する】としつつも,【ただ、少額・短期の融資は多重債務に陥る危険が少ないとして例外を認める可能性が高い。】とする予定らしい。

それでは,だめだ。【少額・短期の融資は多重債務に陥る危険が少ない】というが,最初は10万円くらいの融資額から始め,30万円,50万円と徐々に融資額を拡大していくのが借りる人のパターンだ。少額・短期なら問題ないというのはまったく現状認識が不足しているというほかない。

また,融資額が50万円が枠になっているというケースは結構多い。それでも8社から借りれば400万円まで借りられる。

50万円以下は,従前通りの高金利を認めるというのでは,このようなパターンの人については,放置するというに等しい。貸し出す側は50万円以下の枠を設定することで従前通り儲けることができる。

日本弁護士連合会は,低金利を実現するために,ここ(←クリック)で署名活動を行っています。ぜひ,多数の方のご署名をお願いします。

また,同時に自民党に抗議文を送りましょう。金融調査会の一覧表をお持ちの方はお教え下さい。



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靖国最高裁判決~新聞もきちんと伝えなきゃ!

2006-06-24 01:08:28 | メディア(知るための手段のあり方)
最高裁が,また,一歩後退する判決を下したが,それを容認しているのは,メディアではないのか?例えば,毎日新聞(←クリック)はこう伝える。

■■引用開始■■
小泉純一郎首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反するとして、全国6地裁で起こされた計8件の訴訟のうち、関西在住の日本人と韓国の戦没者遺族ら278人が国や首相に損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は23日、原告側の上告を棄却した。判決は「参拝で原告の法律上の権利や利益が侵害されたとは認められない」と述べた。歴代首相の靖国参拝を巡る初の最高裁判決だったが、憲法判断や参拝が私的か公的かの判断を示さないまま、原告側の敗訴が確定した。

 原告側は「首相の参拝によって、公権力からの干渉を受けずに戦没者をどのように祭るかを決める遺族の権利を侵害された」と主張し、1人1万円の賠償を求めた。第2小法廷は「人が神社に参拝する行為は、他人の信仰生活に対して干渉を加えるものではない」と指摘。「自分の心情や宗教上の感情が害されて不快の念を抱いたとしても、ただちに損害賠償を求めることは出来ない」と述べ、参拝を巡る憲法判断に入らずに請求を棄却した。同種訴訟に大きな影響を与えることになる。

 この訴訟は大阪地裁で起こされた第1次訴訟。1審は04年2月、公的参拝と認め、憲法判断には踏み込まず請求を棄却。2審・大阪高裁は05年7月、公私の区別も憲法判断も示さず原告側控訴を棄却した。この2件を含め、この日までに12件の判決が言い渡され、賠償請求はいずれも棄却されているが、福岡地裁判決(04年4月)と大阪2次訴訟の大阪高裁判決(05年9月)が違憲判断を示して確定した。【木戸哲】

■■引用終了■■

それに比べAFP(←クリック)は,判決の理由についてこう伝える。

■■一部引用開始■■
But a unanimous four-judge bench led by Judge Isao Imai refused to rule on the constitutionality of the visits.

"Visiting a shrine cannot by its nature pressure or interfere on other people's religious life," the ruling said.

"Therefore, even if people visit a particular shrine and it hurts other people's religious feelings or makes them feel unpleasant, it cannot be seen as damage to the plaintiffs' interests and they cannot seek compensation automatically.

"There is no difference in a visit to Yasukuni shrine by a man with the position of prime minister," he wrote.
■■引用終了■■

"There is no difference in a visit to Yasukuni shrine by a man with the position of prime minister," he wrote. の部分が日本の新聞,少なくとも全国紙などのネット上の記事では書かれていないようなのだ。

首相の地位にある者の訪問でも同じこと…ここがポイントでしょう!こういう安直な判断をしたことをきちんと書いて伝えないと…。

もちろん,ネットではなく本紙には書いてあるのだと思うが,首相と一般人とを同じように扱う最高裁のおかしさについては,ネット上の記事は短く書かないといけないという制約があっても,きちんと書かないといけないのではないか。こういう手加減が権力を増長させるのではないか。



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イラク戦争で米国は舵を切りつつあるのか~内部調査で新聞工作非難

2006-06-24 00:37:58 | メディア(知るための手段のあり方)
米軍関係者がイラクの新聞社に密かに掲載料を支払って米軍に好意的な記事を書かせていた問題で,国防省は,カネを払って記事を書かせたことについて,信頼を破壊するためそのような行為を止めるようにとの調査結果をまとめた。
A Defense Department investigation of Pentagon-financed propaganda efforts in Iraq warns that paying Iraqi journalists to produce positive stories could damage American credibility and calls for an end to military payments to a group of Iraqi journalists in Baghdad, according to a summary of the investigation(ここ←).

このスキャンダルは,
■■引用開始■■
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20051202k0000m030024000c.htmlより、
イラク情報戦:米軍が好意記事提供 現地紙に掲載料支払う
 【ワシントン和田浩明】イラク駐留米軍がイラクの新聞に対して米国に好意的な記事を秘密裏に提供し、掲載料まで支払っていると米ロサンゼルス・タイムズ紙が30日報じた。現地における米国のイメージ改善を目指した情報戦の一環。記事には米国に不利な内容はなく、米国防総省上層部からも「われわれがイラクで推進する民主的原則や言論の自由に反し、米軍の信頼度を損ないかねない」との批判が出ているという。
 同紙によると、記事の提供はバグダッドにある駐留米軍の「情報戦タスク・フォース」と呼ばれる部門が指揮している。同部門は地元新聞とラジオ局各1社を買収し、イラク国民向けに米国の宣伝活動を展開しているという。
 記事は米軍関係者が執筆し、米国防総省の契約業者である「リンカーン・グループ」(ワシントン)が翻訳、同社のイラク人スタッフがフリーランスの記者や広告関係者を装って各紙に売り込んでいる。これまでに数十本が掲載された。
 今年8月6日にはチャラビ・イラク移行政府副首相の側近が経営する「アル・モタマル」紙がテロを非難する記事を掲載。掲載料は50ドル(約6000円)だった。同紙編集長は「記事はインターネット経由で送られてくる」と説明している。
 同月2日には独立系の「アッドストゥール」紙がイラクへの開発投資が増えているとの記事を1500ドル(約18万円)を受け取って載せた。7月には高級紙「アル・マダ」を米ドル札の束を持った男が訪れ、テロ非難記事の掲載に900ドル(約10万7000円)を払ったが、連絡先は残さず、領収書も受け取らなかった。
毎日新聞 2005年12月1日 18時39分
■■引用終了■■
というもの(ここ←)。


これまでは,ケーシー米軍司令官は,調査を始めさせる一方で,対イラク新聞工作を続けることを言明していた。
But since then, Gen. George W. Casey Jr., the senior American commander in Iraq, appointed Admiral Van Buskirk to look into the practice. He has also made clear in public statements that he favored aggressive use of Iraq's media to influence public opinion there, and that he would continue unless told by more senior officials to stop.

それにもかかわらず,今回,中止を求めるレポートが出たのは,立派と言えば,立派。調査した担当者は,カネを払って記事を掲載することは表現の自由の概念を傷つけることになるがそれについて軍が検討しなかったと非難している。
He also faulted the military for failing to examine whether paying for placement for articles would "undermine the concept of a free press," in Iraq, according to the summary.

こういう独立した判断を下せるところが米国の強みと言えば,強みなのかなぁ…ちょっと褒めすぎ?



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自民党が共謀罪民主党丸飲み案を隠蔽するために提出した法案全文(6条の2)

2006-06-22 00:43:41 | 共謀罪
衆院法務委員会の与党理事らが、民主党修正案を「丸のみ」する方針について「一切なかったことになる」と述べて、撤回することを明らかにしたうえ,委員会に示した「与党側修正試案」(経過についてはこちら←)のうち主要な部分を引用して紹介します。いったん丸飲みしたものをはき出すとことの問題性,与党のこの新たな修正案の問題点については,保坂議員のブログにあるので,その一部を引用することにします。


■■法案引用開始(※は保坂議員の注釈の該当部分)■■
第六条の二
次の各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く=※1)に当たる行為で,組織的な犯罪集団の活動(組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての共同の目的が死刑若しくは無期若しくは長期五年以上(ヤメ蚊注:ここは「四年以上」の誤記か?!)の懲役若しくは禁固の刑が定められている罪(別表第*に掲げるものを除く)又は別表第一(第一号を除く)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的犯罪集団に帰属するものをいう。)として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行について,具体的謀議を行いこれを共謀した者(=※2)は、その共謀をした者のいずれかによりその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われた場合において(=※3),当該各号に定める刑に処する。ただし、情状により,実行に着手する前に自首した者(=※4)は、その刑を減軽し、又は免除する。

一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮

二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮

2 前項各号に掲げる罪(別表第*に掲げるものを除く)に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

3 前二項の罪については,第一項本文に規定するその共謀に係る犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われたことを疑うに足りる相当な理由があるときに限り,刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により逮捕し,又は勾留することができる(=※3)。

4 第一項及び第二項の規定の適用に当たっては,思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならず,かつ,労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。


付則
(1,2省略)
3 同条第一項又は第二項に規定する共謀をした者がその共謀に係る犯罪を犯したときは,当該罪を定めた規定により処罰され,同条第一項又は第二項の規定によっては処罰されないことに留意しなければならない(=※5)。

■■引用終了■■



■■保坂議員の注釈引用開始■■

1、「組織的な犯罪の共謀罪」の対象犯罪については、従来通り「長期4年」とするが、「過失犯」「陰謀・共謀罪」など28を除外することにする。(★これは、陰謀罪が共謀罪の対象犯罪となっているのはおかしいと私が指摘した点だが、法案作成上の初歩的なミスなので、運用上の影響は何もない。業務上過失の共謀などありえないからだ)

2、「共謀」の定義をさらに明確にするために「具体的な謀議を行いこれを共謀した者」と改める。「目配せ」だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にする。(★「目配せで成立」とは、現状の共謀共同正犯が認定される基準が最大限に拡張されており『沈黙の共謀』でも認められていることから出てきた答弁で、共謀罪への懸念が一般化する糸口になった。実は『まばたきでも成立』との答弁もあったが、ここは修正しましたよということだろう)

3、「組織的な犯罪の共謀罪」の処罰条件として「実行に必要な準備、その他の行為」を加えて、この行為がない限り「逮捕・勾留」が出来なくなるようにした。(★ここまで言うのであれば、日本の刑法体系に存在している「予備」でいいのではないか。「実行に必要な準備、その他の行為」と「予備」がどう違うのかが論点となるだろう。共謀罪を導入しなくとも、犯罪の既遂・未遂前の「予備」を明確に位置づけることで条約との整合性はクリアできるのではないか)

4、自主減免について、「共謀を行った者が実行着手の前に自首した場合に刑を必要的に軽減又は免除する」を削除し、「情状により刑を免除する」と規定を改める。(★これで、密告社会批判に応えて共謀したが密告せずに中止した者に「情状」を認めることが出来るというのだが、「情状」をかけてやるかどうかは捜査当局の裁量次第である点は変わらない)

5、「組織的な犯罪の共謀罪」を犯した者が、その犯罪を実行した場合には、実行犯罪によって処罰され、二重処罰にはならないことを明確にする。(★これも、5月の野党勉強会で出てきた論点だ。アメリカは二重処罰があたり前のように行われている)

■■引用終了■■


飲んだ唾吐かんとけよ!という啖呵があるが,与党は丸飲みしたものを早くも丸吐きしよとしている。まさに偽装丸飲みだった。




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ブッシュ側近不起訴~追いつめられるネタだっただけに残念

2006-06-21 22:32:02 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
米中央情報局(CIA)の工作員の氏名漏洩問題に絡み、取材源の公表を拒否し、法廷侮辱罪に問われた米ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者(57)が6日、米バージニア州の施設に収監されるなどした一連の事件で(ここ参照「←クリック),フィッツジェラルド特別検察官が工作員の氏名がメディアに漏れたことについて,機密情報漏洩の疑いで,ブッシュ大統領の懐刀であるカール・ローブ上級顧問を調査するなどしていたが(ここ参照←クリック),結局,【米ブッシュ政権内で大統領が最も信頼を置くローブ大統領次席補佐官が、中央情報局(CIA)工作員実名漏えい事件で起訴されない見通しとなった。14日付の米紙ワシントン・ポストによると、3年近くかかった特別検察官の捜査は、ローブ氏不起訴で終了する見通し。副大統領首席補佐官だったリビー被告は起訴されたものの、「政権ぐるみではないか」と指摘された漏えいそのものの立件はなされておらず、全容が解明されないままの幕引きとなる。】もようだ(ここ←)。

この問題は,【ブッシュ政権のイラク戦争を批判していた元ガボン米大使ジョセフ・ウィルソン氏の夫人の素性が、マスコミに公表されたのがきっかけ。2003年7月14日、保守のコラムニスト、ロバート・ノバク氏は、ホワイトハウスの複数の政府当局者の情報を基に、夫人の実名を挙げ、CIAの秘密工作員だと暴露した。この情報漏洩は、政府批判を行なっていたウィルソン氏への報復との見方も出ている。】というもの(前記ベリタ)。

macska dot orgさんは,【当時のブッシュ政権はイラクが大量破壊兵器を所有しているという名目でイラク侵攻の準備を進めており、ニジェールからの核物質輸入説はそうした主張を裏付ける数少ない論拠の1つだった。ところがこの外交官は、それが偽造であったことを誰にも分かるような形で明らかにしてしまったのだ。その直後、ホワイトハウス内部から情報提供を受けた保守系コラムニストによって彼の妻がCIAの所属であることを実名込みで暴露されたのは、政権側からの彼に対する報復であり、これ以上しゃべればもっと何か起きるぞという脅しであったという見込みが高い。】と説明している。


◆疑惑が解明されなかったことは本当に残念だ。


上記時事通信は,【ローブ氏の不起訴は共和党に追い風だ。選挙参謀として能力を発揮する同氏は大統領の側近中の側近。2004年の大統領選挙でブッシュ再選の中心的役割を果たした。事件の重しが取れれば政治的活動は自由度を増し、共和党不利といわれる中間選挙に向けて態勢立て直しに全力を挙げるとみられる。】と伝えている。


◆ブッシュの息の根を止めることができたネタだけに本当に残念!

ところで,ブッシュ政権幹部がCIAの工作員の情報を漏らしたという皮肉的状況は,従軍慰安婦問題について「あれは単なるビジネスだ」などと主張する安倍次期首相候補が,従軍慰安婦をネタに信者を脅して献金を募っている統一協会の関連団体の合同結婚式に祝電を送るという皮肉的状況といい勝負だなぁ…。




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橋本勝の政治漫画再生計画-第25回-

2006-06-21 15:56:02 | 橋本勝の政治漫画再生計画
ブーツ・オン・ザ・グラウンド(日本列島)


【橋本さんのコメント】
ブッシュ,小泉のコンビによる大いなる成果ともいうべき米軍再編が着々と進む。特に神奈川の座間に,米軍統合作戦司令部が移駐されることに顕著なように,日本がアメリカの世界戦略の重要拠点となり,米軍に取り込まれた自衛隊が,共に戦うなんてことになりかねない。米軍の軍靴がのしかかるグラウンド(日本列島)の運命やいかに。



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このニュースは統一協会への祝電よりも…「自衛隊の海外派遣、恒久法制定に安倍氏前向き」

2006-06-21 00:42:18 | 有事法制関連
朝日新聞によると,【安倍官房長官は20日の記者会見で、イラク南部サマワに派遣している陸上自衛隊の撤収に関連し、特別措置法なしで自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法の制定に前向きな姿勢を示した。自衛隊のイラク派遣などをきっかけに、政府・与党内には、自衛隊の海外での多国籍軍参加を念頭に、恒久法制定を求める声があり、次期政権の課題の一つになりそうだ。】とのこと。

同紙は,さらに,【安倍氏は恒久法の制定について「(自民)党ですでに協議検討が行われている。機動的な対応、国際貢献も可能になってくる」と説明。政府関係者も「次期政権は取り組まざるを得ない。具体化はイラクから空自がすべて撤収してからだ」との見通しを示した。】と伝えている。



このような発言をする安倍を絶対に首相にしてはならない!

首相にしたら,信任されたと言って,次からは実戦に参加することになるだろう…。

この発言をインターネット上だけでなく,もっと多くの人に伝えましょう!

殺人者にも被害者にもなりたくはない!





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デジタル時代のNHK懇談会報告~政治から自立するために放送法改正を!

2006-06-21 00:17:55 | メディア(知るための手段のあり方)
デジタル時代のNHK懇談会の報告が6月19日,発表された。その内容は,ここ(←クリック)で確認することができるが,少なくとも,政治的圧力からいかに自立するかという観点ではしっかりした問題意識が盛り込まれているものとなっている。

20頁からの「おわりに-公共放送の自主自律のために、放送法は根本的に再検討されるべきである」をゆっくり味わって欲しい。

特に,21頁あたりに次のような指摘がされている。

【NHKの仕組みや事業内容、予算の成立の要件等については、放送法をはじめとする諸法令に定められている。経営委員会の委員が衆参両議院の同意に基づいて、内閣総理大臣によって任命されること、各年度の予算についても、国会承認を必要とすること等は、その端的な例である。NHKの公共性は、内閣や国会が関与するこうした仕組みによって担保される、というわけである。
 だが、ほんとうにそうなのだろうか。むしろこの制度こそが、NHKが、政府や政党や政治家の意向や動向に必要以上に気を配り、肝心の視聴者を軽視する傾向を生みだしてはいないだろうか、と私たちは危倶している。】


この問題意識は正しい。民主的コントロールという名目で政治権力によって監視されているのが,現在のNHKの姿である。


【議院内閣制のもとでは、議会は,有権者の選挙によって選ばれた議員によって構成され、内閣は議会の信任によって成立している。有権者のさまざまな期待は個々の政党や政治家に託され、立法につながり、行政によって税金を財源に実行される仕組みだが、果たしてこの一連の過程で、公共放送NHKの視聴者はどこに位置するのだろうか。
 視聴者は有権者と同義なのか。有権者の代表たる衆参両議院の議員は、同時に、税金とは別に受信料を支払っている視聴者を代表できるということか。あるいは、NHKは予算等の説明を国会ですれば、視聴者へのアカウンタビリティー(説明責任)を果たしたことになるというのだろうか。】


視聴者に対する責任と国会に対する責任とを混同してはならないはずだ…。


【おそらく、そうではない。NHKに限らずマスメディアは、立法行政・司法の三権から十分な距離をとって存立し、広範な視聴者や読者とのあいだに(直接的)な信頼関係を築くことで、その存在の根拠と正統性を獲得するものである。このことは近代という時代が言論・報道・表現の自由を基盤に成り立って以降、どの社会においても繰り返し問われてきたテーマであり、そのたびに確認されたのは、メディアが視聴者や読者と直接に向き合うことの重要性であった。】


メディアの存在価値は,権力の監視に尽きるわけです。


【私たちは、一連の不祥事の背後に、この重要性を忘れさせる制度的問題があったのではないか、という疑念を捨てきれない。相次いだ金銭的不祥事や、政治的中立性を問われたりする行為は、一見別々に見えるが、いずれも視聴者の軽視という同根から発している。これらは、NHKが視聴者に対してではなく政府や政治家の意向や動向に過敏に配慮せざるを得ない放送制度と、それを根拠づける放送法が生じさせたのではないか、少なくともその遠因を形成してはいないだろうか。】


そのとおり。なぜ,NHKの予算について,国会の前に,自民党の総務会などに会長が出席して質問されなければならないのか。そのようなことを許す制度であっていいのか?


【このように語りながら、私たちが感じているのは「時の流れ」、つまりは時代が確実にひとめぐりした、という思いである。現在の放送法制の骨格は、民意を国会に集中させるという戦後民主主義の高揚のなかで、先人たちが知恵を絞り、もっともふさわしい制度として形作ったはずである。それからテレビ放送が始まり、高度経済成長があり、民放が続々と登場し、NHKの放送波も増え、ハイテクや情報化や国際化の広がりと深まりにつれて経済も政治も社会も多様化し、複雑化してきた。3 0余回という放送法改正の軌跡は、それぞれの範囲になされた工夫と努力を示しているだろう。】


ここは美化している。日本の戦後の民主化は,放送法の改悪によって,つぶされてしまった。占領下では,直接郵政省(現総務省)が放送局免許権を握るのではなく政府から独立した独立行政委員会である電波管理委員会が免許権を握ることで,放送局が時の政権の道具とされることを防ごうとしたが,吉田首相は,サンフランシスコ講和条約締結後,まもなく,電波管理委員会を廃止し,郵政省が直接放送局に口出しすることを可能とした。そして,後に田中角栄はこの権限を使って放送局を系列化し,掌握してしまったのである。この点について,事実と対峙する必要がある。報告書は次のように続ける。


【そのなかで、マスメディアはときには「第4の権力」と呼ばれるほどに巨大化し、強い影響力を持つようになった。視聴者や読者がテレビや新聞雑誌に向ける目はかつてなく厳しくなり、それはとくに受信料で成り立つ公共放送NHKに注がれるようになった。こうした時代の変化、人々の意識の変容は、いま重く蓄積され、5 6年前に原型が制定された放送法によってその基本構造がほぼ固定されたままの放送制度とのあいだに大きなズレを生じさせているのではないだろうか。】


ここはやはり事実から目をそらせている。戦後は,自民党に対する予算の事前説明などを仰々しく行うことはなかったが,長期政権となるにつれ,説明の規模が大きくなり,ついには,会長までも出席するようになってしまった…。

【放送法は、この重大な問題の解決に向けて、根本から両検討されるべきである。公共放送NHKが視聴者に直接にアカウンタビリティーを果たし、広く合意を形成し、信頼関係を醸成できる仕組みが構築されるよう、その基本構造にまでさかのば-って見直されるべき時期にきている。】


見直すべきだという結論には大いに賛成する。


【これが容易でないことは、私たちも理解している。国会に代わって、誰が、どのような機関が、公共放送NHKの事業内容や予算等を審議・承認し、監督するのか。そのための機関をあらたに設置するのか、あるいは現在の経営委員会の役割を定義しなおして第三者機関に改組し、その任に当たらせるのか。そもそもそのような機関の人選をどうするのか。その人たちが広範な視聴者の意向や期待を反映していると、どうすれば保障できるのか…。】


そのヒントは,戦後間もなくの電波管理委員会にあるはずだ。

【どれも難問ばかりだが、だからといって放置しておくわけにはいかない。これらに向き合うことは、この国の民主主義のあり方を問うことと同義であり、その努力なしに主張される改革が十分な正統性を持つことはないだろう。マスメディアが高度に発達した国々はどこも、この同じ課題に直面し、それぞれのやり方でメディアと、とりわけ影響力の大きい公共放送と政府や政治家との距離をとろうと試行錯誤をかさねている。
 その努力の核心をなすのは、公共放送は視聴者のものであり、視聴者のためにあり、視聴者のみに責任を負うという信念である。その信念が貫き通されるなら、たとえどんな困難にぶつかろうとも、そのときは視聴者が公共放送を励まし、支えてくれるだろう。信念はそうした視聴者に対する信頼感にも基づいている。それはまた、私たちがたどり着いた結論でもあった。】

励ましたいと思う。そのためには,NHK内部でも自立する法的枠組みを真面目に検討して欲しい。

…というか,我々の側が,放送法を改正し,NHKの自立を実現すべく,積極的に,声を挙げなければならないと思う。メディアのあり方は,政治のあり方に密接に関連するのだから…。


参照記事:「NHKが独立行政委員会制度を提案?!…過去完了形」←クリック
「言論の多様性を確保する方法」←クリック



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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会は機能しているのか?~市民のチェックが必要!

2006-06-20 02:34:39 | 適正手続(裁判員・可視化など)
刑務所などに収容された人に対する人権侵害を防ぐために,今年,新たに採用された第三者審査機関である「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」(ここ←)が,この度10回目の開催を迎えた(ここ←)。ところが,10回行って,刑務所の処置に問題があったと判断したのは,新聞社宛の手紙の発信が禁じられたことを取り上げた1件のみだ。そもそも,毎回,20件くらいしか調べていないが,年間7500件くらいの不服が寄いるというから,事務局での選別が公正に行われているかどうかが重要となる。

葉山弁護士は第1回検討会で次のように述べている。

■■引用開始■■
○葉山委員 多くて月100件くらいあるということなのですが,果たしてこの5人の委員でそれを処理できるかどうか。それで,情願している人にとっては,やはり公平に公正にやっているということが保証されなければいけないし,そう思えるような形にしなければいけないと思うんですね。5人の委員でそれが果たして審査できるかどうか。そうするとやっぱり,事務局の機能を非常に強くして,だけど事務局が法務省だけだと内々にやっているんだというふうに情願する人から見られるので,外部の人をですね,人権擁護法案では確か弁護士を入れてというようなことがありましたので,外部の委員を入れた事務局を構成するということをですね,すぐとは申し上げませんけど,そういうことを少し構想していただけたらと。もしそういうことが当分できないということであれば委員を増加するなどしていくつかの部門を分けてですね,分科会みたいなものを設けて処理をするとか,何かそういう手当をしないとまずいのではないかなというように思っています。取りあえず今,こういうことでスタートさせてですね,追々進んでいったときに問題が生じたときにそこら辺を御配慮いただけたらと思っています。
■■引用終了■■

被収容者に対する処遇がいかに公正になされるか,というのは,塀の外の人に対する権力による人権侵害の程度のバロメーターではないかと思う。

時々,検討会のページにアクセスして,どんな検討がなされているかチェックしましょう!




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