情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

民主党が共謀罪新設の必要性から見直すように政府に要望~いいじゃない

2006-06-13 00:10:15 | 共謀罪
毎日新聞(←クリック)によると、【民主党「次の内閣」法務担当の千葉景子参院議員らは12日、「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を撤回するよう杉浦正健法相に申し入れた。「継続審議にしても新内閣の下でこれまでと同様の混乱が繰り返され、いたずらに時間が浪費されることは明白」として、法制化の必要性を再検討すべきだと主張している。法相は「国会で決めたことに従う」と答えたという。】

う~ん、いったん引けってことなのか、民主党の考え方をもさらに修正するような
根本的な変更を迫っているのか、よく分からない…。

そこで、民主党のHP(←クリック)をみてみると、次のような申入書が掲載されていた。(参考←クリック)

■■引用開始■■

「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」についての申し入れ書


法務大臣 杉浦正健殿


 標記法案については、国際組織犯罪防止条約の批准のための国内法制化として国会提出され、衆議院法務委員会で昨年10月以来計14回35時間20分にわたって審査が行われましたが、最終的に質疑終局に至ることなく今国会の会期末を迎えることとなりました。この間、与党と民主党から交互に計3通の修正案が提出され、実務者協議を踏まえて最終的な修正合意案の提出準備も進めてきましたが、与党と法務省・外務省との足並みの乱れから、合意案に沿った決着が頓挫したことは貴職もよくご存じのことと思います。

 こうした経過を踏まえると、今国会会期末にあたり、同法案をただ漫然と継続審査にしてみたところで、新内閣のもとでこれまでと同様の混乱が繰り返され、いたずらに時間が浪費されるだけとなることは明白であることから、下記の点について貴職が賢明なご判断を下されるよう申し入れます。

 記

1. 政府案については政府自らこれを撤回すること。この場合、同条約及び同条約の立法ガイド(2004年)を改めて精査し、わが国における国内法制化の必要性についても再検討すること。

2. 上記再検討の結果として、わが国において何らかの国内法制化が必要であるとする場合でも、「参加罪」又は「共謀罪」方式のいずれを選択するかを含め、「自国の国内法の基本原則に従って」(同条約34条1)法律案を策定すること。

3. 平岡秀夫衆議院議員の質問主意書に対して「かかる規定(同条約34条2)に留保を付することはできない」、「共謀罪の対象犯罪について更に限定することは、国際組織犯罪防止条約上できない」とした平成17年11月11日付けの政府答弁書については、上記2点の検討を踏まえて、必要に応じ、閣議に諮って訂正すること。

以 上

民主党「次の内閣」法務担当
千葉 景子

■■引用終了■■

「わが国における国内法制化の必要性についても再検討すること」…なるほど、根本的な見直しをする必要があることを認め、政府にも見直しを迫ろうということだったんだ。それなら大賛成だ。

できれば、民主党の皆さん、早めに、HPの共謀罪の説明(←クリック)を変更し、共謀罪を新設する必要がないことを説明してくださいねぇ…。



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

9・11は謀略なのか?~どんな疑問があるかくらいは知っておきたい

2006-06-12 01:15:05 | 有事法制関連
きくちゆみさんのブログ(ここ←)によると,今週号の写真週刊誌『フラッシュ』の94ー98ページに,911事件の実行犯が生きている、と7人の死んだはずのテロリスト(にされてしまった、おそらく無実の人たち)のことが紹介されているそうです。

きくちさんによると,【このこと(テロの実行犯が生きている)は、すでにいろいろなサイトで指摘され、ヨーロッパーのメディアが何度も取り上げたことではありますが、日本のメディアが取り上げたのはこれが初めてでしょう。
 やっと情報鎖国の日本でも少しずつ、911事件の真相が明らかにされてくるのは喜ばしいこと。ハディーサの虐殺のことも、もっと伝えて。イラク戦争も「テロとの戦い」も全く無意味なんだから。】ということです。

多くのHPで謀略説が紹介されているが,ここ←は,情報が集中しています。

前にも触れたことがありますが,ペンタゴンにできた穴はジェット機が突入したにしてはあまりに小さすぎる。チャーリーシーンも9・11は謀略だと公的に発言しています。

共謀罪などの「テロ」対策が実はまったく無意味なものかもしれない,これらの情報を1人ひとりが吟味する必要があるのではないでしょうか?

日本人も多数犠牲になっている以上,日本政府は,アメリカ政府に対して,これらの情報について,釈明をするように求めるべきだし,私たちは,日本政府に対して,アメリカ政府に釈明を求めるよう要請するべきだと思うのです。


◆◆季節さんのブログより◆◆
 「低気温のエクスタシーbyはなゆー」さんが、ここ8日に書かれていたが、その他に目にすることが無いので、紹介を。
 一度だけラジオのニュースで聞いたのだが、その後続報は無い。
 アメリカ陸軍中尉Ehren Watadaさんは、不当なイラク戦争と占領に反対する立場から、イラクへの派遣を拒否し陸軍から訴追される可能性が高くなっています。
 支援のHP http://thankyoult.live.radicaldesigns.org//index.php




■■9・11が謀略だとすると,ワタダさんのような若者の命は…




※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

木村太郎が共謀罪で不勉強コラム(爆取法には共謀罪があるのに…)~えっ東京新聞

2006-06-10 22:36:13 | 共謀罪
驚いたことに,東京新聞には「太郎の国際通信」という木村太郎氏のコラムが連載されており,しかも,本日は「カナダに見る『共謀罪』」と題して,共謀罪の必要性をアピールするものだった。共謀罪反対運動の先頭を切ってきた東京新聞が木村太郎氏のコラムを持っていること自体に違和感があるが,さらに,コラムの内容が共謀罪を推進するものだったから,驚きは2倍,3倍に…。

このコラムは,カナダで発生した次の事件に関するもの(読売←)。

【カナダ東部オンタリオ州のトロント周辺を拠点に爆弾テロを計画していたとして、同国の警察当局に逮捕されたイスラム教徒の容疑者17人が、ハーパー首相の暗殺を計画していた疑いがあることが6日、明らかになった。
 スティーブン・チャンド容疑者(25)の弁護士が記者団に明らかにした起訴事実によると、同容疑者は捜査当局に「首相の首を切断しようと思っていた」と供述。首都オタワの国会議事堂を襲撃し、国会議員らを人質に取ったうえで、政府にアフガニスタン駐留カナダ軍の撤退を要求する計画や、トロントにある放送局の襲撃も検討していた。
 容疑者は南アジアや中東出身の移民の家族が多く、インターネットなどで国際テロ組織アル・カーイダの影響を受け、独自の組織を結成したと見られている。トロント北方にテロ訓練キャンプを設営していたとも報じられており、当局は他国のテロ容疑者やイスラム過激派との関連についても捜査している。 】

木村太郎氏は,このグループの容疑が,「武器や爆発物の不法所持」だけでなく,「テロ活動に参加した共謀罪」だったと指摘し,日本では「共謀罪」の国内法が伴わないので,国際組織犯罪防止条約が批准できないと結んでいる。

木村氏は,日本の爆発物取締罰則(ここ←)に「第四条 第一条ノ罪ヲ犯サントシテ脅迫教唆煽動ニ止ル者及ヒ共謀ニ止ル者ハ三年以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」という規定があり,共謀段階で処罰されることをご存じなかったのだろうか?

(※第一条 治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ爆発物ヲ使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ死刑又ハ無期若クハ七年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス)

木村氏の指摘した事例は,日本には,すでに共謀段階で取り締まるべき行為については,共謀段階で取り締まることが出来るような法律が備わっていることを確認する意味で引用されるべきものであって,推進派の根拠となるべきものではない。木村氏は,もう一度勉強し直してきたらどうか?

また,そもそも,木村氏のコラムを何のチェックもしないで掲載した東京新聞にも反省して欲しい。同じ社内で共謀罪反対のために闘っている同僚がいるにもかかわらず,安易に「間違った」記事を掲載するなんて…。前線の記者にしてみれば,後ろから鉄砲を撃たれたようもんではないでしょうか?


…う~ん,でも,木村太郎氏は,こういう文章を書く機会を与えてくれたわけだから…「1億2000万共謀の日,日本政府に続いて(ここ←)木村太郎氏と共謀してしまいました」…ていうことかな。ラッキー





※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。





6月10日は共謀罪阻止を共謀する日~共謀罪新設不要!と国連で主張した日本政府と共謀します

2006-06-10 17:03:33 | 共謀罪
ここ最近,共謀罪新設は不要だ,共謀罪,参加罪に変わる第3の道があるはずだ,と言ってきましたが,何と日本政府が共謀罪新設の根拠とされている国際組織犯罪防止条約の検討過程で,第3のオプションを提案し,それに基づいて,参加罪の性格が「犯罪組織への参加」から「犯罪組織の行為への参加」に変更されていたことが分かった。日本政府も人が悪いねぇ。こんないいことを国民に黙って国連で提案していたなんて…。きちんと,国連での提案について説明をしたうえで,日本が選択する途について示して欲しい。6月10日,共謀罪阻止のための1億2000万共謀の日を迎え,私は「共謀罪の新設阻止」を日本政府と共謀します!

共謀罪を新設する必要がないという主張の根拠は,ここ←で示したとおり,①共謀罪はハードルが高いという国のために,参加罪がある,②その参加罪の規定をよく見ると日本ではすでに立法済みだと見なすことができる規定であり(例えば,銃刀法,暴対法,破防法など),結局,参加罪の新設も不要であるというものだった。

ところが,おったまげたことに日本政府がこの主張に完全に合致した主張を国際組織犯罪防止条約の検討段階でしていたのだ…。引用する。

■■引用開始(翻訳は管理人)■■

Proposals on article 3 (option 2) of the main Convention as presented in document A/AC.254/L.1/Add.2(主たる条約に関する提案) (ここ←)

1. Japan would like to present proposals on article 3, which is one of the most important and challenging articles in the draft Convention: important because this article, by imposing legal obligations on the contracting Parties to criminalize participation in a criminal organization, will provide effective measures in combating organized crime; and challenging because the introduction of the offence of participation is closely related to the basic principles of the domestic legal system of each State. (日本は,最も重要で困難な条約3条について,提案する。中略。困難というのは,共謀罪・参加罪の導入が各国の国内法システムの基本的原理と関係するからである)

2. The difficulty in introducing an obligation to criminalize the act of participation can be seen in the two options to article 3 themselves. Both provide two options in criminalizing the conduct, one based on the notion of conspiracy in the common law system and the other based on the notion of participation found in the civil law system. (3条が共謀罪と参加罪の二つのオプションを設けていること自体,困難性を示している。二つのオプションによって,英米法系のシステムにおける共謀罪という概念に基づいた犯罪類型と大陸法系のシステムにおける参加罪という概念に基づいた犯罪類型から選択できる)

3. However, in order to make this Convention as global as possible, the obligation stipulated in this article should also be acceptable to other legal systems in the world. In addition, this article should have some nexus to the notion of "organized crime" or "organized criminal group" to be defined in article 2 and article 2 bis. (しかし,この条約を世界各国が締結できるようにするためには,(英米法系,大陸法系以外の)ほかのシステムを持っている国でも受け入れられるようにしなければならない。また,この条項は,2条などに定めた「組織犯罪」や「組織犯罪集団」という概念とも関連している)

4. This proposal is made in the light of the above consideration and based on option 2 of article 3, which was proposed by the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland. Japan believes that the revisions of option 2 presented below are essential and minimum requirements for the obligation in this article to be acceptable to other legal systems in the world.(この提案は,イギリスと北アイルランドが提案した3条のオプション2に関する上記のような観点に基づくものである)

5. Subparagraph 1 (b) of article 3 introduces a legal obligation to criminalize the act of "participation". As stated above, the criminalization of "participation" is closely related to the basic principles of the domestic legal system of each State. For example, under the basic principles of Japanese criminal law, certain acts are punishable only when the crime in question is actually committed or attempted, and conspiracy or preparatory acts are punishable only in certain grave crimes. Thus, it is inconsistent with our legal principle to criminalize the acts of conspiracy and preparation of all serious crimes. Furthermore, our legal system does not have any provision which criminalizes acts of participation in certain criminal groups without any relevance to the commission of a concrete crime. Therefore, the obligation to criminalize the acts of "participation" should be realized within the framework of the fundamental principles of the domestic legal system. (3条1項(b)は,参加罪という概念を導入するものである。上述したとおり,参加罪という概念は,各国の国内法の基本原則と密接に関連する。例えば,日本の国内法の原則では,犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり,共謀や参加については,特に重大な犯罪に限定して処罰される。したがって,すべての重大な犯罪について,共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない。しかも,日本の法律は,具体的犯罪を実行しないである犯罪組織に参加すること自体を犯罪化する規定を有していない。それゆえ,参加行為の犯罪化を実現するためには,国内法システムの基本原則の範囲内で実現化するほかない)

6. Thus we propose to insert the phrase "Subject to the fundamental principles of its domestic legal system" between subparagraphs 1 (a) and (b) of article 3. (そこで,日本は,3条の1項(a)と(b)の間に,「国内法の基本原則に従って」というフレーズを加えることを提案する)

7. Subparagraph 1 (b) (i) of article 3 refers to the criminalization of "conspiracy" to commit a "serious crime", which is defined in subparagraph (b) of article 2 bis as conduct constituting a criminal offence punishable by a maximum deprivation of liberty of at least [...] years. Since the scope of this Convention should include some element related to "organized criminal activity", there should be some limitation to this provision in order to make it relevant to such an element. For the time being, such an element could be found in paragraph 1 of article 2 of the draft Convention, i.e. "serious crime involving an organized criminal group as defined in article 2 bis" as well as in subparagraph 1 (a) of article 3.(3条の1項(b)()は,「重大犯罪」を犯すことを「共謀する」ことを犯罪化するものである。ここでいう重大犯罪とは,2条の2の(b)で「長期●年以上の懲役に処せあっれる犯罪を構成する行為」と定義されている。この条約の範囲が組織犯罪行為に関連する要素を含まなければならない以上,そのような要素に関連させるためにこの規定は,限定されなければならない。そして,このような要素は,条約案2条1項及び3条の1項(a)に2条の2に定義された組織犯罪集団の関与する重大事件という部分に見られる)

8. Thus, we proposed to insert the phrase "involving an organized criminal group" after the phrase "a serious crime" in the first line of the English text in subparagraph 1 (b) (i) of article 3, with the possibility of changing the phrase in accordance with the future development in the drafting of paragraph 1 of article 2. (そこで,日本は,3条1 項(b) (i)の次に「組織犯罪集団の関与する」というフレーズをいれることを提案する。ただし,もし,2条1項の文言が変わればそれに従うものとする。)

9. Our basic position is that the notion "involving an organized criminal group" should mean activities conducted as part of the activities of a group having as its aim the commission of a serious offence and utilizing the structure of such a group. (日本の基本的立場は,「組織犯罪集団の関与する」という概念は,重大犯罪を実行することを目的とする集団の行為の一部として行われることあるいはそのような集団の組織を拡大する行為の一部として行われることを意味する,というものである)

10. Subparagraphs 1 (b) (i) and (ii) are drafted so as to introduce offences within the framework of either the common law system or the civil law system. In order to make this Convention globally acceptable, we believe that a third option, to criminalize the acts of "participation", should be introduced, taking into account the fact that the legal systems in the world are not limited to these two systems. (3条1項(b)の()と()は,英米法系あるいは大陸法系のシステムのいずれかに合致するものとして導入されるように考案されている。条約をさらに多くの国が受け入れられるようにするためには,世界各国のの法大系が英米法,大陸法という2つのシステムに限定されていないことから,第3のオプション,すなわち「参加して行為する」ことを犯罪化するオプションを考慮に入れなければならない)


11. Thus, we propose, as a basis for discussion, to add the following new subparagraph to subparagraph 1 (b) of article 3: (そこで日本は,3条1項(b)に次のような新しい条項を設け,新たなオプションとするべきだと提案する)
"(iii) Participation in acts of an organized criminal group which has the aim of committing a serious crime, in the knowledge that the person’s participation will contribute to the achievement of the crime." (()その行為に参加することが犯罪を既遂とすることに貢献することを認識しつつ,重大犯罪を実行することを目的とする組織犯罪集団の行為に参加すること)

12. Accordingly, we proposed to change the first three words in the chapeau of subparagraph 1 (b) from "Either or both" to "At least one". (この変更に伴い,3条1項(b)の柱書の文言を「一つあるいは両方」から「少なくとも一つ」に変えるよう提案する)


■■引用終了■■


どうですか。

日本は,英米法系(イギリス,アメリカ),大陸法系(ヨーロッパ)以外の法システムがあることを前提に,そのような第3の国々も条約に加盟できるように,共謀罪,参加罪以外の第3のオプションとして,「行為への参加罪」というものを提案したのだ。何という真っ当な主張か!

実際の条約の参加罪(ここ←の43/534)は,

(ii) The conduct of a person who, with knowledge of the aim
and general criminal activity of an organized criminal
group or its intention to commit the crime, takes an active
part in:
a. Criminal activities of the organized criminal group; or
b. Other activities of the organized criminal group in the
knowledge that his or her participation will contribute
to the achievement of the criminal aim;

とされており,日本政府は,

(ii)
組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)

と翻訳している(ここ←の6/61)。


改めて分かるように,これは,「参加罪」ではなく,「行為への参加罪」であり,まさに日本が提案した第3のオプションだ。条約では,「行為への参加罪」は「参加罪」を含むと考えたためか,「共謀罪」と「行為への参加罪」という二つのオプションになったようだ。


…ここまでみてきたとおり,日本政府は,日本の国内法には,「行為への参加罪」という概念がすでにあると考え,第3のオプションとして,「行為への参加罪」を提案した。

…そして,国連は,その日本の提案を受け入れ,現状の条約となった!!

…つまり,日本は,条約に加盟するために新たな犯罪類型を設ける必要はない。ましてや「共謀罪」は,まったく不要だ!!!

日本政府が条約制定過程でこのような提案をし,心憎い配慮をしていたことをここにばらし,日本政府と共謀して,共謀罪が不要であることを,ここに明記します。


法務省の方々,この懸念には,私と共謀して,きちんと答えて下さいねぇ。また,このブログをお読み頂いた方,ぜひ,共謀して,法務省にこの点を問い合わせて下さい。



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。



同意なければ,報道機関へ提供しない?!~安否情報システムで言論統制?

2006-06-10 00:17:33 | 匿名発表問題(警察→メディア)
 ちょっと古いニュースですが,神戸新聞ニュース(ここ←)に【総務省消防庁は三日までに、外国からの武力攻撃などの有事に全国どこからでも家族や知人の安否を確認できる「安否情報システム(仮称)」について、自然災害や大規模事故での自治体による活用を積極的に認めることを決めた。尼崎JR脱線事故に対応した兵庫県内の自治体や医療機関などから、活用を求める声が相次いだため。同システムは二〇〇七年度から運用を始めるが、今後、自治体サイドで必要な事務手続きの検討を重ねる。】という記事がある。

さらに,読み進めると,【自治体や警察、病院などのパソコンと同庁のサーバーをインターネットで接続。自治体などは、避難したり負傷したりした住民から名前や住所、負傷の状況、名前を公表してもよいかなどを聞き、情報を送る。本人が希望すれば、報道機関への情報提供やインターネット上の公開もできる。】とあった。

えっ,本人が希望しない限り,報道機関への情報提供をしない…。犯罪被害者の匿名発表問題については,これまでなんども触れたが(ここ←など。カテゴリーの匿名発表欄をクリックして下さい),犯罪被害者だけでなく,災害時の被害者についてもなし崩し的に匿名発表にしようとしている…。

原資料にあたってみたが,確かにここ←の26/90にその旨の方針が書いてある…。

確かに,メディアに取材されることは鬱陶しい面もある。しかし,行政が情報を隠すことができるようになると,行政をチェックすることができなくなる。これは鬱陶しいとかいうレベルを超えた不利益だと思う。

手を変え品を変え,報道が規制されていく…。



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

橋本勝の政治漫画再生計画-第23回-

2006-06-09 10:57:11 | 橋本勝の政治漫画再生計画
ソンミでの 虐殺イラクで 繰り返し


【橋本さんのコメント】
まるで1968年のベトナムのソンミ村での村民大虐殺を再現しているような,米軍によるイラクでの住民虐殺の事実が次々と判明している。米国の『大義』による戦争の実体は,時うつり,所かわれど,少しも変わっていないのだ。


関連記事:http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/f9139f708acdb6dcf960c38007595437
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/d4952f42db91b856b69302eedc54fad9




※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

「歌わない自由を指導することは不適切」~国歌斉唱で文科相

2006-06-09 00:20:25 | 有事法制関連
共同通信(ここ←)によると,【小坂憲次文部科学相は8日午後の衆院教育基本法特別委員会で、学校現場での国歌斉唱の指導の在り方に関連し、「指導的立場の教師が『内心の自由があるから歌わなくてもいい』という言い方をすれば、逆の指導をしていると取られてもやむを得ない場合もある」と述べ、歌わない自由を生徒に伝えるのは適切な指導でないとの認識を示した。】【文科相はその上で「日本の国には国旗、国歌があることを客観的に教える。歌うか歌わないかは最終的に生徒がその場の状況で判断することはあるかもしれない。学習指導要領に従った方法で適切な指導が行われれば、(生徒に)素直に受け入れられる」と強調した。】という。

衆議院TVを聞くと,上記答弁は,笠井亮議員の質問に対するもの。笠井議員は,卒業式などで国歌に関連して,内心の自由があるから立つ立たないという指導をしたことについて処分されたことに関連して行われた。

小坂文部大臣は,共同通信が引用した答弁のほか,現場の教職員が教育指導を行う場合に,「適切な方法でやっていることは強制ではない」「ワールドカップでみんなが歌っているときに歌えないと困るよね。一緒に歌えるときに歌えるように歌詞だけは覚えておこうねという指導もある」などと答えている。

歌詞を覚えることと斉唱時に起立することは全く違うのではないでしょうか?

また,安倍官房長官は,【「最初に立っても立たなくてもいいと教えれば誤解を与える」との考えを示した。】が,これは,国旗国歌法制定時の官房長官答弁(起立するしないは内心の自由)を教師が言ってはいけないのかと笠井議員が追及した際に,答えたもの。立法時の答弁をこけにする答弁であり,安倍は官房長官を辞職するべきではないのか!




※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。


天皇に新聞が敬語を使うべきか?~価値観の強制にならないか?

2006-06-08 18:47:55 | メディア(知るための手段のあり方)
共同通信(ここ←)によると,【小坂憲次文部科学相は8日午前の衆院教育基本法特別委員会で、天皇、皇后両陛下が公園を散策されたことを報じた一部の新聞記事で敬語表現がなかったことについて「新聞だから、字数が限られているから、で済まされる問題ではない。敬語を使うべき方には敬語を使い、親しみを持つために使う言葉と敬語をうまく混ぜて伝えることが必要だ」と述べ、記事を批判した。】という。

早速,委員会のビデオを見ようと思ったが,なぜか,衆議院TVでは,本日の教育基本法特別委員会のビデオは流されていない…。

ビデオで確認できないが,問題にされた記事は,朝日新聞の次の記事だと思われる。

※その後,確認したら,保利耕輔が,国民統合の象徴である天皇陛下については敬語が必要なのではないか,という趣旨で質問したもので,まさに下記の記事が取り上げてあった。

■■引用開始■■
両陛下がお忍びで皇居外を散策(ここ←)
2006年 5月15日 (月) 06:07
 天皇、皇后両陛下は14日朝、皇居近くの北の丸公園をお忍びで散策した。両陛下は朝食前に皇居内を散策するのが日課だが、「外出」を伴った散策は極めて異例。宮内庁によれば、最近では03年8月に皇居外苑を散策して以来という。

 両陛下は出かける際に同公園そばを通ることが多く、以前から公園内での散策を希望していたという。この日、ともに軽装の両陛下は皇居・北側の乾(いぬい)門を徒歩で出発。途中の横断歩道では、赤信号で信号待ちする珍しい光景も見られた。数分で公園に到着した後、約30分間、植物を見るなど散策を楽しんだ。

 両陛下の姿に公園に居合わせた人は一様に驚いた様子だったが、両陛下は「おはようございます」と声をかけていた。犬の散歩中だった主婦は「母の日に合わせ、天皇陛下から皇后さまへのすてきなプレゼントになったのでは」と話した。
■■引用終了■■

上記共同によると,【安倍晋三官房長官はこれに関連し「個人的には」と前置きした上で「ここで敬語を使わなければ誰に敬語を使うのかと感じる。感じ方を強制するわけではないが、政治家個人としては違和感がある」と述べ、天皇、皇后両陛下を報じる記事に敬語を用いないことに疑問を示した。
 同時に安倍氏は「陛下への敬語の使い方は(報道)各社でニュアンスが違う。使い方に対して政府がとやかく言うべきではない。各社の判断と思う」とも述べた。】という。衆議院TVを見ても確かにそのような趣旨の発言をしている。

しかし,新聞が天皇を敬語を使うべき存在だと決めることの問題性については,いかに考えたらいいのか?

また,そもそも,個人的には,上記朝日の記事には違和感はない。

この国会答弁によって,朝日に対して,批判的なメッセージが届くと思う。私は,そのようなメッセージに負けないようにという応援メッセージを送りたい。



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。



共謀罪はなくてもよい~条約の文言から明らかやねんパート2

2006-06-07 23:48:16 | 共謀罪
共謀罪新設の根拠とされている国際組織犯罪防止条約の立法ガイド(←ここ)でまたまた,面白い表現を発見した。その一つが“The second option is more consistent with the civil law legal tradition and countries with laws that do not recognize conspiracy or do not allow the criminalization of a mere agreement to commit an offence.”というもの。必要部分だけ訳すと,「2つめの選択(すなわち,参加罪)は,単に犯罪を行うことを合意しただけでは犯罪化することを許さない国に適している」となる。

つまり,日本のように共謀罪という犯罪になじまない国については,共謀罪を新設するのではなく,参加罪を設けるように指示しているのだ。


では,その参加罪とは,どういうものか?

法務省の和訳(ここ←)では,参加罪の定義は,次のようなものである(5条)。


ii) 組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)



では, 日本は,この)の犯罪を処罰する法律をすでに有しているだろうか,それとも新設しなければならないだろうか?

まず,)のaは,犯罪行為への参加なので,当然,日本でも犯罪とされている。

次に)のbは,犯罪以外の活動への参加行為なので,一見,日本では,犯罪とされておらず,新たな立法が必要なような感じもする。

しかし,その他の活動といったって,いかなる活動でも処罰されるわけではなく,処罰の必要のある行為に限定されることになるはずだ。

そういう観点から,検討すると,日本でも,一般的に犯罪といえない行為を犯罪として処罰しているものはありそうだ。

例えば,銃刀法や特殊解錠用具の所持の禁止等に関する法律,軽犯罪法は,ナイフなどの武器や解錠用具を持ち歩くことすら禁止している。銃天国アメリカなどをみれば明らかだが,銃やナイフ,凶器の携行がそれだけで犯罪とされるというのは,必ずしも国際基準ではない。

よって,この銃刀法,特殊解錠用具…法,軽犯罪法は,)のbでいう「その他の活動」を処罰する法律だと言える。

また,暴対法は,暴力団が寄付金を募る行為や,暴力団に加入するよう「勧誘」する行為を犯罪とし,また,事務所の使用を一定程度制限し,これに反する行為を犯罪としている。これらも,立派に「その他の活動」を処罰する法律だと言える。

また,破防法は,破壊的団体について,公開の集会を行う行為などをを犯罪として処罰しているし,無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律も,寄付やメンバー勧誘を犯罪としている。

さらに,毒劇法は毒物の所持そのものを犯罪としている。

また,公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律は,テロ集団に対する資金援助を犯罪としている。

以上の犯罪は,それ自体が処罰されないにもかかわらず,物の性質自体に着目し,あるいは,関係団体の性格を考慮して,前倒しで犯罪として処罰されることになっているといえる。

これだけの行為を犯罪としていれば,十分,)のbの要件を満たしているのではないだろうか?

この点について,共謀罪・参加罪の新設は不要だという懸念があるのですが,法務省はいかがでしょうか?


本日,保坂議員は,ブログ(ここ←)で,

【国連が作成した立法ガイドの43パラグラフには、次のような興味深い言及がある。「各国の国内法の起草者は、単に条約テキストを翻訳したり、正確に言葉通りに条約の文言を新しい法律案または法改正案に含めるように試みるより、むしろ条約の意味と精神に集中しなければならない」「法的な防御や他の法律の原則を含む、新しい犯罪の創設とその実施は、各締約国に委ねられている」「国内法の起草者は、新しい法が彼らの国内の法的な伝統、原則と基本法と一致するよう確実にしなければならない」とされており、条約の文言をなぞる必要はなく、条約の精神に忠実であれば、かなり広範囲の裁量が認められていることがわかる。】

と主張されているが,まったく,そのとおりだと思う。条約は,各国の実状に応じて,適切な組織犯罪集団対策を行うよう求めているだけなのである。


共謀罪・参加罪の新設は実は不要だという懸念を最近あちこちのブログで見かけるのですが,法務省はその懸念について,HPで説明をしていただけるのでしょうか?



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

STOP米原リゾート&合意してないプロジェクト~ご紹介

2006-06-07 06:21:20 | 有事法制関連
STOP米原リゾート(ここ←)のご紹介。HPを見ると,すばらしい海中の様子が楽しめる…。こういう場所を強引に開発しようとしているところがあるということです。

■■署名用紙の引用開始■■


「森・海・サンゴ礁のつながり」を守り伝える聖地、沖縄県八重山諸島、石垣島の北部、米原に周辺の環境を一変させる大規模リゾートが計画されています。

「大和ハウス工業」「大和リゾート」「興ハウジング」「八重山興業」によるリゾート開発は当初の計画が変更され、建物は5階建て20m、客室数200と縮小されたものの、面積は農振農用地を含む8.2haに拡大され、今もって建物、敷地ともに自然環境と生活環境をまったく無視した開発と言わざるをえません。

現在、八重山観光ブームや離島移住ブームに沸く石垣島ですが、同時に大規模リゾート・レジャー施設の計画や分譲地の無秩序な開発が憂慮されています。石垣市は自然の保全と秩序ある開発の制度づくりを急いでいますが、現行法では乱開発を防ぐことができません。

桴海於茂登岳(ふかいおもとだけ)の豊かな森に抱かれた米原の海、サンゴ群落が数多くの生き物を育み、一歩足を踏み入れれば自然と触れ合える海、訪れた人が癒される海。そんなかけがえのない海を未来に残したいのです。

「米原の森・海・サンゴ礁」は私たち住民だけのものでなく、石垣市民の憩いの場、ひいては全国の八重山・石垣ファンの宝ものだと考えています。地球の遺産である米原の自然と生態系を守るため、署名の輪を全国に広めてゆきます。

「米原リゾート開発」反対住民の会  世話人 早川 始、勝見輝夫
〒907-0451 沖縄県石垣市桴海(ふかい)米原644-1
TEL/FAX 0980-88-2240

■■引用終了■■


もうひとつ,米軍再編についての日米政府による暴力的合意を拒否し、抵抗運動の思考を鍛える場を生み出す「合意してないプロジェクト」(ここ←)もご紹介します。わじっている(頭に来ている)ことを示すために,みんなでグーの写真を送りましょう。

■■「5.15アピール」の引用開始■■

日米軍事再編は、決して沖縄の負担軽減ではない
 日米両政府により、「沖縄の負担軽減」という虚偽の下で推進され合意された今回の在沖米軍再編問題は、沖縄県民を愚弄するものと言わざるをえない。私たちは、日米両政府に対して満腔の怒りをもって抗議し、以下の四点を総意として表明する。

一、今回の在沖米軍基地再編は決して沖縄の負担軽減にならない。
二、普天間基地を無条件に即時閉鎖し撤去すべきである。
三、辺野古沿岸新基地建設に断固反対し阻止する。
四、自衛隊の在沖米軍基地共同使用は、これを認めない。


 2005年10月、日米両政府は、在日米軍の抑止力維持と沖縄の負担軽減への取り組みを確認した在日米軍再編の中間報告に合意したと発表した。その後、在沖米軍基地に関しては、普天間基地の辺野古移設と本島中南部の米軍基地の整理縮小、そして海兵隊員約八千人のグアム移転とが一括して推進される、いわゆる「パッケージ論」の内容が沖縄の負担軽減の具体策として表明された。
その合意を受けて、2006年4月7日には、日本政府と名護市長との間で普天間基地の移設計画として、辺野古沿岸にV字型の二本の滑走路と港湾施設を備えた新たな米軍基地を建設することで合意をみたとの発表があった。
私たちは、沖縄住民の意思をまったく反映しないこれらの在沖米軍再編に関する「二つの合意」に対して批判し、全面的に反対の意思を表明する。

一、今回の在沖米軍基地再編は決して沖縄の負担軽減にならない。
 これらの二つの合意は、なによりも主権者たる住民の頭越しに行われ、民主主義的な手続きを著しく欠落させている。そのことは、沖縄県民の世論調査で辺野古沿岸の新基地建設に対して約70%が反対し、宜野座村議会や近隣市町村の漁協組合も反対決議を表明している点からも明白である。沖縄県民の大多数は、今回の在沖米軍再編案は、決して沖縄の負担軽減にならないと強く反発している。
 日本政府は、在沖米軍海兵隊員約8千人のグアム移転にかかる60億9千万ドル(約7千億円)の財政負担を説明する根拠として、「沖縄の負担軽減のため」という理由を強調している。つまり、財政難の状況下で巨額の支出を容認する説明理由として、沖縄の負担軽減が論拠にされている。
 しかし、沖縄住民からすると、辺野古への基地建設とパッケージとなった海兵隊のグアム移転は決して沖縄の負担軽減にならない。移転する海兵隊員はこれまで住民に被害を与えた実戦部隊ではなく司令部要員が中心であり、さらに辺野古への新たな基地建設によって沖縄本島北部地域は軍事要塞となり基地被害が増大することが容易に予想される。
 私たちは、今回の日米両政府による在沖米軍再編案が、なんら沖縄の負担軽減に貢献するものでなく、むしろ未来にわたって沖縄の基地負担の状況を固定化し強化する政策にほかならないと強く批判する。「沖縄の負担軽減」という日本政府の説明は、国民の目を欺くために沖縄を利用しているに過ぎないのである。巨額の財政負担を強いる米軍再編費用に関して言うならば、日本国民に限られないすべての納税者の権利としてそのような理不尽な政策に抗議し批判すべきだと考える。

二、普天間基地を無条件に即時閉鎖し撤去すべきである。
 市街地の真ん中に立地し老朽化の激しい普天間基地は、無条件に即時閉鎖し撤去すべきである。2004年の沖縄国際大学への軍用ヘリ墜落爆発事故を指摘するまでもなく、普天間基地の危険性の除去は火急の要件であり、地域住民の安全を守るためにも無条件に即時閉鎖し撤去するよう主張する。

三、辺野古沿岸新基地建設に断固反対し阻止する。
 沖縄戦後史における米軍基地建設は、沖縄戦の延長で米軍による「銃剣とブルドーザー」によって土地を強制的に接収され拡張された占領の歴史として現在に至っている。しかし、辺野古へ新たな基地建設を認めることは、米軍による強制的な土地接収というこれまでの経緯とはまったく異なるものとなる。二度と戦争に加担しないという沖縄戦の教訓や沖縄戦後史の遺産を生かすためにも、私たちは辺野古沿岸新基地に断固反対し、建設を阻止する。

四、自衛隊の在沖米軍基地共同使用は、これを認めない。
 今回の米軍再編は、日米両政府にとって軍事戦略上の効率性や機能強化の観点に基づく再編であり、日米の軍事一体化が最大の主眼である。そのことは、沖縄に負担増を強いる在沖米軍基地全体を自衛隊と共同使用する案が在日米軍再編の最終報告に盛り込まれた事実がそのことを裏付けている。米軍だけでも過重な負担を強いられているなかで、米軍基地を自衛隊が共同使用することはさらなる基地負担となる。沖縄戦のさなか住民の多くが米軍と日本軍に挟まれて逃げ回った経験は、いまだ忘れ去られた遠い過去の物語ではない。米軍であれ、今ふたたび日本軍となろうとする自衛隊であれ、私たちは、沖縄の地を再び軍靴が踏みしだくことに反対し、それを認めない。

 いま、沖縄だけでなく日本は、大きな転換期にある。

 私たちは、沖縄に暮らす有権者と将来の有権者として、または沖縄に心を寄せる者として、あるいは国家が規定するいかなる分断をも超えて、ただこの世界で平穏に暮らしていくことを望む者として、日本が再び戦争のできる国にならないために、この声明を発表し世界に訴えるものである。

■■引用終了■■



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

共謀罪はなくても構わない?~条約の立法ガイドに明記?

2006-06-07 01:48:56 | 共謀罪
共謀罪はすでに軽犯罪法で規定されているから,改めてつくる必要なし(ここ←参照)…というのはそれなりに説得力あるかなぁと思っていますが,本日の保坂議員のブログをみてあっと驚いた。「適切な法的な概念を持たない国においては、共謀罪又は結社罪という名の制度を導入することなしに、組織犯罪に対して効果的な措置を講ずるという選択肢は許容されている」…。ということは,暴対法や破防法,組織犯罪処罰法などがきちんと定められている日本においては,効果的な措置が講じられているため,共謀罪や結社罪を新設する必要はない…ということになる。

原文にあたってみよう。確かに,条約の立法ガイド(ここ←)の43/534に次のような一文がある。

The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion — conspiracy or criminal association — in States that do not have the relevant legal concept.


私の訳では,

「共謀又は犯罪結社に関連する法的な概念を持たない国においては、共謀又は犯罪結社という概念を導入することなしに、組織犯罪集団に対して効果的な措置を講ずるという選択肢は許容されている」

という感じかな。


つまり,共謀罪とか犯罪結社罪という概念をもともと持っていない国に対しては,強制的にその概念に基づく犯罪化を求めるのではなく,そのほかのやり方による組織犯罪対策をすればよいということだ。

どっひゃー。国会での答弁は,この解釈を無視したもので,国民に対する裏切り行為というほかない…。


※といったんは、書いたのですが、落ち着いて読むと、共謀罪とか犯罪結社罪という概念のどちらか一方を持っていない国は、持っていない概念について導入する必要がない…というようにも読めそう。そうだとすると、必ずしも、第3のオプションを認めているとはいえなさそうだ。ただし、条約がすべての国が共謀罪か犯罪結社罪か、少なくともどちらかの犯罪類型を有していることを前提としているとすれば、それは必ずしもそうではなく…。ということで、見出しも弱めに訂正しました。


法務省に問い合わせませんか?

※いずれにせよ、両方の犯罪類型を有していない場合は、どうするのか、条約制定過程でいかなる議論があったのか、法務省に問い合わせてみたいところです。軽犯罪法の件と併せて…。




※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

共謀罪,継続審議へ?~丸飲みしようとした以上,廃案あるのみ!!

2006-06-06 01:51:02 | 共謀罪
日経(ここ←)によると,【与党は5日、今国会の会期末が18日に迫っていることを踏まえ、審議中の法案の取り扱いについて協議した。社会保険庁改革関連法案や共謀罪の創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案の成立は断念し、継続審議とすることを確認。高齢者の窓口負担引き上げを盛り込んだ医療制度改革法案は14日の参院本会議での成立を目指す方針を決めた。】という。共謀罪は,継続審議?!今回,民主党案を丸飲みしようとした以上,現行の政府案や与党案は,不適切だったことを自白したようなものなんだから,廃案あるのみ!

しかも,昨日,ここ←で指摘したように,わざわざ,共謀罪を新設しなくとも,日本には,「人の身体に対して害を加えることを共謀した者は,共謀したことをもって処罰される」という軽犯罪法の規定があり,共謀が犯罪化されているのであるから,共謀罪の新設は不必要なのである。

与野党の法務委員,法務省などに,廃案あるのみ!,共謀罪の新設不要!と訴え続け,共謀罪の新設が蘇らないように封印しましょう!


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

米軍のイラク市民虐殺が次々と明らかに~BBCなどが報道(NHKは何してんねん)

2006-06-06 01:19:10 | 有事法制関連
共同通信(ここ←)によると,【英BBC放送は1日、イラク中部イシャキで今年3月、駐留米軍が女性や子どもを含む一家11人を虐殺した疑いを示す新たなビデオ映像を入手したと報じ、その一部を放映した。】という。

このBBCのビデオは,ここ←の写真下のVideoをクリックすれば見ることができる。戦争の実態がわかるビデオですので,英語で分かりにくいですが,見て下さい。(こちらも←是非)

上記共同によると,【米兵が殺害した可能性は事件当時も指摘されたが、米軍は武装勢力と交戦中に建物が崩壊し、住民ら4人が圧死したと説明していた。】というが,【ビデオを分析したBBC記者によると、銃撃のあとのある大人や子どもの死体が写っており、圧死という米軍の説明とは食い違っていた。】という。

また,共同は,【イラク中西部ハディーサでも昨年11月、米海兵隊員が幼児ら民間人24人を虐殺した疑惑が表面化しており、イシャキでの虐殺が確認されれば、米軍への批判がさらに高まり、イラク市民の反米感情も激化しそうだ。】と分析している。

この件を含む虐殺問題については,朝日新聞も次のように伝えている。

■■引用開始(ここ←)■■

イラク駐留米軍による市民殺害の疑いが相次いで指摘されていることに関し、米ホワイトハウスのスノー報道官は2日の会見で「3件について米軍が調査している」と明らかにした。一方、駐留部隊は新たな規律訓練を始めることを決めた。

 報道官が調査を認めたのは、(1)西部ハディサで昨年11月に市民24人が殺害された事件(2)中部ハマンディヤで今年4月にイラク人男性が射殺された事件(3)中部イシャキで3月に子供や女性を含む市民11人が殺害されたとされる事件。ハディサの事件では海兵隊が無抵抗の女性や子どもらを射殺した疑いがもたれている。

 ハマンディヤでは、複数の海兵隊員らが男性を家から引きずり出して射殺したとされる。遺体のそばに自動小銃を置くなど偽装工作をした疑いも浮上。AP通信は弁護士の話として、隊員らが殺人罪などで近く起訴される可能性があると報じている。

 一方、イラク駐留多国籍軍は3日、イシャキの事件について「対応に問題はなかった」との声明を発表。テロ組織アルカイダ幹部の捕獲作戦中の部隊が屋内から激しい銃撃を受け、反撃した、と反論した。だが、APテレビは現場で少なくとも子ども5人らの遺体を撮影したと主張。軍の説明と食い違っている。

■■引用終了■■


これら子ども達の死について,私たち1人ひとりが責任があると思う。少なくとも自衛隊の派遣を押し止めるよう政府にメッセージを送ることはできたはず。いまも,早期戦争終結に向けて政府が動くように,声を挙げることはできるはずだ…。

あえて言おう。9・11で犠牲になったのは,企業戦士だった。いま,イラクで殺されているのは,私たちの身近にいるのと同じ子どもたちです。秋田の事件があれだけ大きく報道されるのに,イラクでの虐殺について,十分な報道がされないことは本当に残念です…。

BBCは,ハディサについても米軍と目撃者の説明の違いを図示するなどして丁寧に報道しているのに…(ここ←)。




※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。


国際組織犯罪防止条約を批准するのに共謀罪新設は不要~すでにある共謀罪

2006-06-04 22:45:17 | 共謀罪
改めて軽犯罪法(ここ←)の条文をじっくり見ていて,かなり広範な共謀罪がすでに日本にあることが分かった。その規定は「他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合」というものだ。この条文があれば,組織犯罪について共謀段階での犯罪化をもとめる国際組織犯罪防止条約を批准することが出来るのではないだろうか。保坂議員のブログ(ここ←)を見ると,フランスは,条約を批准するに当たって,「暗殺と毒殺をするよう、誰かに何か報酬や贈り物をあげるか、あげると約束した者」を処罰する法律だけを設けたという(事後的に)。それだけで十分に批准できるというのだ。bravo!ブラボー!セビアン!トレビアン!なんてこったい!それならば,軽犯罪法の存在だけで十分批准できるはずだ。これまで共謀罪をめぐって議論したのは何だったのか…。

軽犯罪法は,第一条で「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」と定めたうえ,29号で「他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者」と規定している。


他方,保坂議員のブログによると,

【フランスでは国連条約(国際組織犯罪防止条約)の批准はとっくにしていて(2002年)、そのあと「合わせる」ための国内法整備は2004年に出来ています。
「犯されていない罪」に対して「コンピラシー」(共謀)だけで処罰されることになった犯罪が1種類加えられています。(2004年3月9日の法律で刑法に加えられた条項)。「暗殺と毒殺をするよう、誰かに何か報酬や贈り物をあげるか、あげると約束した者は、その犯罪が行われなくても10年の禁固刑と15万の罰金を受ける。犯罪が実行・未遂された場合はこの条項ではなくて、共犯罪として罰せられる」】

というのだ。

フランスにできて日本にできないことはない…はずですよね。それとも,フランスのような政治大国の政府にはできても,アメリカのポ●政府にはできないのでしょうか…。そんなことはないですよねぇ,日本政府は,決してアメリカのポ●政府ではないですもんね…。

法務省は直ちに批准した諸国の法制度を全て調べるべし!その情報なくして,共謀罪の新設が必要だと二度と口にしないでもらいたい!

しかも,法務省は,共謀罪に関する説明の中で,フランスについて,刑法第450-1条に,凶徒の結社罪として,「重罪等の準備のために結成された集団又はなされた謀議に参加したとき(準備のため,客観的行為がなされることを要する)。」という規定があるから,これを根拠に,国際組織犯罪防止条約を批准したとしていた(ここ←)。

保坂議員の説明が正しければ,法務省はこの点でも国民に嘘をついたことになる!

この懸念に法務省はいかに回答して頂けるのでしょうか…。


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

「ああ、あのフィリピン刑事(デカ)」~でも,警察署の名前すら匿名…

2006-06-04 17:55:01 | 匿名発表問題(警察→メディア)
警察による匿名発表を認めることの弊害について何度も書いてきたが,落合洋司弁護士のブログで見つけたこの記事(ここ←)には,びっくり。外国人キャバレーに捜査情報を流して接待を受けていた複数の警官(処分は懲戒免職など)について,高知県警は,氏名を伏せたばかりか,所属する警察署名すら隠して,発表したという。警察庁の発表指針に基づいたというが,まったくあきれるほかない。とにかく,メディアの発表段階は実名とする原則を設けておかないと,都合の悪いことは何でも匿名となりかねない…。


記事うち,匿名に関する部分は次のとおり。

■■引用開始■■
県警実名、署名明かさず

 県警は2日発表した接待汚職事件の処分で、懲戒免職や停職処分などとした16人をすべて匿名とし、どこの署に所属しているのかも明らかにしなかった。

 県警は「警察官以外の関係者もおり、警察庁の発表指針を基に個別に検討した結果だ」と説明。接待を受けたとして懲戒処分にした巡査部長ら4人についても、明らかにしたのは階級と所属課、年齢のみ。事件の舞台となった窪川署の名前も伏せた。

 懲戒免職を実名で公表している県や県教委の対応と大きな隔たりがある。高知新聞には2日、「これだけの不祥事を起こしておいて、なぜ匿名なのか」と県警の姿勢を批判する声が相次いだ。

■■引用終了■■


ちなみに,事件の概要は次のとおり。

■■引用開始■■

窪川署員らの外国人キャバレー通いは、地元客の間では有名だった。頻繁に接待を受ける署員らの姿には、風俗営業の許認可権限を持つ「官」の“たかりの構図”さえ浮かぶ。14年末に高知市で発覚した同じ外国人キャバレーを舞台にした警察官汚職事件を再び繰り返した県警。自浄力を失った県警組織の病巣の根深さがあらためて露呈した。

 「ああ、あのフィリピン刑事(デカ)」―。同署刑事生活安全課員だった窪内孝志容疑者(55)の書類送検を知った地元客らはそうあだ名で呼び、「(キャバレーに)ずぶずぶに漬かっていた」と言い捨てた。

 同署員らは以前から、事件摘発の打ち上げや外部団体との懇親で、この外国人キャバレーを利用。1時間に3000―4000円前後は掛かる料金システムだが、経営者は代金を取らずに利用させることも多かったという。

 同店はフィリピン人女性らをホステスとして働かせ違法な営業実態だった。署員らはそれを黙認状態で接客を受け、次第に「付け」と称してただで飲食するなど深みにはまっていった。中でも、窪内容疑者の“たかりぶり”は突出していた。

 同容疑者は15年6月に長岡郡本山町の本山署に異動後も管内を抜け出し、キャバレー通いを続けた。「帰国したホステスを追いかけてフィリピンに行った」と聞かされた同僚もいるほどだ。

 県警は窪川署員らのキャバレー通いを14年に匿名の投書で把握しながら、当時は署長が口頭で注意しただけで、問題の悪質さを突き詰めなかった。

 14年末に高知署員の外国人キャバレーでの汚職事件が発覚後、県警は警察官に職務倫理についての作文を提出させるなど、各署ごとに不祥事防止対策を取ったという。しかし、同容疑者は漫然と通い続けていた。

 村田達哉警務部長は2日の記者会見で「二度と起きないよう取り組んできたが、本当に特異な者がまだいた」と強調した。その一方で、「それ以上に、幹部が止められなかったことが大きな問題だ」と県警組織の構造的問題にも言及した。

 現場警察官の中には「『だらしない個人の犯罪』として済ませられる問題ではない」「若い課員を引き連れていった課長の責任はもっと重いはずだ」と、今回の処分にさえ不満の声がある。

 不祥事を繰り返す県警の病巣はどこにあるのか。幹部と現場の警察官が一体になって考え、あしき体質に向き合わなければならない。

■■引用終了■■



※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。