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今日の筆洗

2023年01月11日 | Weblog

 一八二三年、サッカーの試合で、一人の少年がボールを拾い上げ、ゴールを目指して駆けだした。おなじみ、ラグビーの起源とされる英国のエリス少年の伝説である。今年で二百年ということになる▼高校ラグビー、大学ラグビーの全国大会が閉幕し、シーズンが終わりを告げる。このあたりから毎年、本格的に寒くなるような気がする▼高校の決勝戦は東福岡が報徳学園に41−10で勝利。高校三冠のかかった報徳だったが、思わぬ得点差がついた。大学の決勝はそれを上回る大差で、帝京が早稲田に73−20の記録的な圧勝。手が付けられぬ帝京の強さに、ワセダのファンは絶句したか▼「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」。野球の野村克也さんがよく使っていたがラグビーは「不思議の勝ちもなし」だろう▼個人の能力、戦術、選手層の厚さ。総合力がものをいうラグビーは番狂わせが少ない競技で、実力差がそのまま勝敗、得点差として表れる。その大差は言い訳のできぬ実力の差。エリス少年、残酷な競技をこしらえたものだ▼くやしくとも力の違いを受け止め、追いつき、追い越すため、次のチームがまた鍛錬を積んでいく。エリス少年がボールを抱えて以来、二百年の全てのチームがやってきたことでその心意気こそラグビーの最大の魅力かもしれぬ。来年も帝京だろうって? そんなことは分からない。