リンゴを使った洋菓子タルト・タタンが失敗から生まれたことは以前も書いた。タルトを作ろうとした姉が型に生地を敷くのを忘れてオーブンにかけたのを妹が気づき、上から生地をかぶせて焼き上げたという説である▼失敗やトンチキから生まれた食べ物は数多いそうだ。ある調味料メーカーのウェブサイトに「これ、ぜんぶ 失敗作」と紹介されていたが、おもしろい▼肉じゃがはビーフシチューを再現しようとしてしょうゆを入れたもの。高野豆腐は豆腐を屋外に放置して凍らせてしまった結果であり、豚骨ラーメンのスープはレシピを間違えて長時間、強火で煮過ぎたためにできたとあった。「パイ生地」「ドーナツ」もそうだという。人気の食べ物が並ぶ▼問題は失敗から何ができるか何が生まれるかだろう。新型ロケット「H3」1号機が打ち上げに失敗した。二段目エンジンが点火せずやむなく破壊とはくやしい▼期待が大きい分、壊れて消えたロケットへの世間の風当たりは強いか。これまでも打ち上げはたびたび延期され、やっと飛んだかと思えば、失敗。国際競争で勝てるのか、「ものづくり日本」はどこへいったのかの心配も分かる▼叱るりつける気はないが、国民は期待している。失敗の原因究明はもちろん、このくやしさから何かをつかんでいただきたい。今度こそは。反省会は肉じゃがとタルト・タタンで。