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今日の筆洗

2024年08月26日 | Weblog
ドラマ演出家の鴨下信一さんの『誰も「戦後」を覚えていない』(文春新書)の中に「国策炊き」なる、コメの炊き方が紹介されていた▼コメの入手が困難な戦時中、政府が奨励した炊き方だそうだ。コメを軽く洗い、ザルにあげて水を切らずにそのまま20時間置いて炊く。この間にコメは水を吸って膨張するので「炊き増え」するらしい。当時、鴨下さんの家でもやっていたが、量が増えたようでも「腹はすぐ減るからまったく無益」だったそうだ▼「国策炊き」は遠慮したいものだが、コメがなかなか手に入らない。家人の命を受けて、スーパーを何店も回ってみたが、からっぽの棚にため息が出る。育ちざかりのお子さんがいらっしゃる、ご家庭はさぞお困りだろう▼昨年夏の猛暑の影響で流通量が減っていたところに南海トラフ地震の臨時情報を受けて、買いだめに走った人も多いようでスーパーなどでの欠品が起こっているという。コロナ後の訪日客の回復で外食需要も増えている▼江戸川柳の<飯はよい物と気のつく松の内>。正月は雑煮ばかりになるのでコメの味が恋しくなるという通り、手に入りにくいと聞けば、やっぱりその味が恋しくなるか▼主食の品薄に不安にもなるが、買いだめなどに走らず、冷静に対応するしかあるまい。新米の出回る9月には品薄も解消されると聞く。食欲の秋には間に合うことを願う。