政治家の女性問題と聞いてまず浮かぶのは自民党結成の立役者、三木武吉だろう。諸説あるが1946年の演説会でのことらしい。ライバル政治家が演説の中で武吉に4人の愛人がいることを暴露した▼この後、壇上に立った武吉さん、あわてず騒がず、こうやり返した。「4人ではなく事実は5人であります。(全員、老いているが)これを捨て去るごとき不人情は三木武吉にはできませんから、みな養ってはおります」▼浪花節な説明でむしろ、株を上げたそうだが、今の時代では考えられない。5人どころか1人でもそういう女性の存在が発覚すれば政治家には深刻な打撃となる。武吉と同じ讃岐出身の国民民主党の玉木雄一郎代表。知人女性との不倫関係が明るみに出て謝罪した▼先の総選挙で躍進した党の顔。「浮かれたところもあった」との説明に支持した方はがっかりしているだろう。同党が票を急速に伸ばしたのは給料の手取りを増やすという身近な政策に加え、穏健な保守層が今の自民党に感じにくい新鮮さや折り目の正しさを玉木氏の言葉に見たからである▼どなたにも過ちはある。なれど期待を集めたその玉木氏がいにしえの政治家めいた女性問題となれば裏切られた気分は大きくなる▼「一番近くにいる人を守れない人に国は守れない」。妻にそう叱責(しっせき)されたそうだ。おっしゃる通りでぐうの音も出なかろう。